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筋トレのテンポは遅いほど効く?14研究のメタ分析、約1秒の速い動作でも筋肥大は同等

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
ジムでダンベルを使ってトレーニングする男性
SUMMARY|この記事の要約

筋トレの反復テンポは、1回約1秒の速い動作でも約3.5秒の遅い動作でも筋肥大の効果はほぼ同じで、14研究のメタ分析で差の推定値は0.09と「ごくわずか」だった。ブラッド・シェーンフェルド氏らが米学術誌Journal of Strength and Conditioning Researchに発表した。

筋トレの動作をゆっくり行っても、速く行っても、筋肥大の効果はほとんど変わらない。ブラッド・シェーンフェルド(Brad Schoenfeld)氏らが参加する研究チーム(筆頭著者はエネス〈Enes〉氏)が、反復のテンポ(動作速度)だけを変えて比較した14研究をメタ分析し、米国ストレングス&コンディショニング協会の学術誌「Journal of Strength and Conditioning Research」2025年12月号に発表した。1回約1秒の速い動作と約3.5秒の遅い動作で、筋量の伸びの差は「ごくわずか」だった。

ジムでトレーニング器具を持つ男性
写真はイメージです(Unsplash)

どんな研究を集めたのか

対象は、健康な成人を対象に、下ろす局面(エキセントリック)または持ち上げる局面(コンセントリック)のテンポだけを変え、重量や回数などほかの条件をそろえた研究である。条件をそろえていない研究は除外した。

  • 研究数:14(下ろす局面を操作した研究9、持ち上げる局面4、両方を扱ったクロスオーバー研究1)
  • 評価項目:除脂肪量または筋量の変化
  • 解析方法:ベイズ統計による階層メタ分析

各研究のテンポは「遅い」「速い」の2群に分けて比較した。

区分 操作した局面の所要時間 平均
遅いテンポ 1.7〜4.5秒 約3.5秒
速いテンポ 0.3〜2秒 約1秒

ゆっくり動かすほうが筋肉はつくのか

結果は「差はほぼない」だった。各群のトレーニング前後の変化(標準化した効果量)は、速いテンポで0.43、遅いテンポで0.34と、どちらも同程度に筋量が増えていた。

同じ研究内で両者を直接比べると、差の推定値は0.09で、わずかに速いテンポが上回ったものの、95%信用区間は−0.04〜0.22とゼロをまたいでおり、明確な差とはいえない。差が「小さい」以上である確率は45.0%、「中程度」以上は0.1%、「大きい」以上は0.1%未満と算出された。

下ろす局面か持ち上げる局面か、上半身か下半身か、限界まで追い込んだかどうかで分けた解析でも、差は「ごくわずか」から「小さい」の範囲だった。

研究の限界は

集まった研究は14本と多くはなく、下位分析では推定の確実性にばらつきがあった。著者らも、特定の条件では差が出る可能性を残している。また、比較した「遅い」テンポは最長でも4.5秒で、1回に10秒以上かける極端に遅い方法は、この分析の結論の範囲外である。

よくある質問

筋肥大にはゆっくり下ろす動作が必要?

必須ではない。約1秒と約3.5秒の比較では、筋量の伸びにほとんど差がなかった。

速く動かすとケガをしやすい?

この研究はケガのリスクを評価していない。反動を使わず、動作を制御できる範囲で行うのが前提である。

何秒のテンポを選べばよい?

この分析が扱った約0.3〜4.5秒の範囲なら、筋肥大の面では好みや種目に合わせて選んでよいと考えられる。

KINNIKU TIMESの視点

「3秒かけて下ろせ」といった指導は根強いが、筋肥大の観点ではテンポにこだわりすぎる必要はなさそうだ。むしろ、遅くするほど扱える重量や回数が減る点に注意したい。優先すべきは、限界近くまで反復すること、週あたりのセット数を確保すること、そして可動域を大きく使うことである。テンポは、フォームを安定させたい種目や関節に不安がある場合に遅めにするなど、目的に応じて調整する道具と考えるとよい。関連して、限界まで追い込むべきかを検証した試験や、1日3秒のエキセントリック筋トレの研究も参考になる。


出典:Enes A, Schoenfeld BJ, et al. "How Slow Should You Go? A Systematic Review With Meta-Analysis of the Effect of Resistance Training Repetition Tempo on Muscle Hypertrophy." J Strength Cond Res. 2025;39(12):1331–1339/PubMed