VBTは筋トレに効く?27試験・694人の分析、スクワット1RMは%1RM固定を上回る
挙上速度で重さを決めるVBTや、回数で重さを調整するAPRE、チェーンやバンドを使う可変抵抗は、1RMの何%と固定する方法よりスクワット1RMを伸ばした(効果量0.41〜0.62)。27件のランダム化比較試験・694人を統合したネットワークメタ分析の結果である。
重さを「その日の調子」や「挙上スピード」で調整する方法は、1RMの何%と決めて固定する方法よりスクワットの最大挙上重量を伸ばしやすい——。Jinxuan Bao氏らの研究チームが27件のランダム化比較試験(参加者694人)を統合したネットワークメタ分析を、学術誌『Frontiers in Physiology』で2026年6月30日(火)に公開した。最大筋力ではチェーンやバンドで負荷を変える方法、ジャンプ力では回数に応じて重さを調整する方法が上位になった。

比べた5つの筋トレ処方とは?
分析の対象は、健康で運動習慣のある13〜35歳を対象にした試験である。競技者、大学生、中高生の選手などが含まれ、介入期間は3〜24週、多くは週2〜3回の筋トレだった。比べたのは次の5つの「重さの決め方」である。
- PBT(パーセンテージ法):1RMの何%と決めた重さで行う、最も一般的な方法
- APRE(自己調整漸進法):限界まで挙げた回数に応じて次のセットの重さを増減する
- VBT(速度ベーストレーニング):バーの挙上速度を測り、速度の低下(10〜20%程度)を目安に重さや回数を決める
- RPE/RIR法:「きつさ」や「あと何回挙がるか」の主観で調整する
- VRT(可変抵抗トレーニング):チェーンやゴムバンドで20〜40%程度の負荷を足し、挙げる位置によって重さを変える
研究チームは6つのデータベースから2025年11月1日までの論文を検索し、13,138件から条件に合う27件を選んだ。評価項目はバーベルスクワットの1RMと、垂直跳び(カウンタームーブメントジャンプ)の高さである。
スクワット1RMが伸びたのはどの方法?
パーセンテージ法と比べた効果の大きさ(標準化平均差、SMD)は下表のとおりである。0.2前後で小さい、0.5前後で中程度、0.8以上で大きいとされる目安である。
| 方法 | スクワット1RM(SMD) | 垂直跳び(SMD) |
|---|---|---|
| VRT(チェーン・バンド) | 0.62(有意) | 0.27(有意差なし) |
| APRE(回数で調整) | 0.59(有意) | 1.08(有意) |
| VBT(速度で調整) | 0.41(有意) | 0.62(有意) |
| RPE/RIR法 | 0.12(有意差なし) | −0.38(有意差なし) |
順位を示すSUCRA値は、最大筋力でVRTが83.1%、APREが79.1%、VBTが57.1%、RPE/RIR法が23.4%、パーセンテージ法が7.4%だった。ジャンプ力ではAPREが96.6%で首位、VBTが74.4%で続いた。研究間のばらつき(異質性)は、1RMで25.9%、ジャンプで49.9%だった。
「きつさ」で調整する方法はなぜ振るわなかった?
主観で重さを決めるRPE/RIR法は、今回の分析ではパーセンテージ法と明確な差が出なかった。論文はこの理由を断定していないが、主観の評価は慣れや経験に左右されやすい。一方、APREやVBTは「実際に挙がった回数」や「実測の速度」という客観的な数字を使う点が共通している。
研究の限界は?
筋トレの試験は参加者に内容を隠す(盲検化)のが難しく、研究ごとにプログラムもばらつく。5つの方法すべてを直接比べた試験は少なく、多くは間接比較による推定である。対象は13〜35歳の運動経験者で、筋肥大は評価していない。論文も結果は慎重に解釈すべきだとしている。
筋トレの方法を網羅的に比べた別の分析はフライホイールはジャンプ力に効く?62研究の分析で、周期の組み方はピリオダイゼーションのメタ分析で紹介している。
よくある質問
VBTには専用の機器が必要?
必要である。バーの速度を測る計測機器やアプリが要るため、まずは回数で重さを調整するAPREの考え方から取り入れるのが現実的である。
1RMの何%で組むメニューは効果がない?
効果がないわけではない。今回の比較対象としての基準であり、他の方法はそこに「上乗せ」がある可能性が示されたという意味である。
チェーンやバンドは初心者でも使える?
使えるが、対象研究は運動経験者が中心だった。フォームが固まってから、ジムの設備に応じて試すのがよい。
KINNIKU TIMESの視点
スクワットを伸ばしたい人が明日から試せるのは、「その日の最終セットで何回挙がったか」を記録し、次のセットや次回の重さを決める習慣である。調子の良い日は重さを上げ、悪い日は下げる。これだけでも、毎回決まった%で組むより体調に合った負荷をかけやすい。ジャンプ力やスプリントが必要な競技者は、スピードが落ちたらセットを終える意識も持ちたい。