THE MUSCLE NEWSPAPER
KINNIKU TIMES › 論文解説・新常識  › 記事
論文解説・新常識

ピリオダイゼーションは筋トレに必要?35研究のメタ分析、筋力は上乗せ・筋肥大は差なし

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
色違いのバンパープレートが並ぶ様子
SUMMARY|この記事の要約

総ボリュームをそろえると、ピリオダイゼーション(期分け)した筋トレは期分けしない筋トレより1RMを小さく上乗せした(効果量0.31)が、筋肥大には差がなかった。35研究を統合したメタ分析が学術誌「Sports Medicine」で報告している。

総ボリューム(重量×回数×セット数)をそろえた条件では、ピリオダイゼーション(期分け)した筋トレは、期分けしない筋トレより最大筋力を小さく上乗せしたが、筋肥大には差がなかった。デンマークの研究チーム(筆頭著者はルーカス・モースゴー〈Lukas Moesgaard〉氏)が35研究を統合したシステマティックレビューとメタ分析の結果で、2022年に学術誌「Sports Medicine」に掲載された。

ジムの床に置かれたバーベル
写真はイメージです(Unsplash)

ピリオダイゼーションとは何か

ピリオダイゼーションは、トレーニングの重量や回数を計画的に変えていく方法である。この研究では主に次の3つを比べた。

  • 期分けなし(非ピリオダイゼーション):期間中、同じ重量と回数を続ける
  • 線形ピリオダイゼーション:数週間ごとに段階的に重量を上げ、回数を減らしていく
  • 波状ピリオダイゼーション:日ごと、または週ごとに重量と回数を上下させる

研究チームはPubMed、Scopus、SPORTDiscusの3つのデータベースを検索し、比較する条件どうしで期間全体の総ボリュームがそろっている研究を対象にした。評価したのは1RM(1回だけ挙げられる最大重量)と筋肥大である。

筋力と筋肥大、結果はどう違ったのか

比較 評価項目 結果 効果量(95%信頼区間)
期分けあり vs なし 1RM 期分けありが有利 0.31(0.04〜0.57)
期分けあり vs なし 筋肥大 差なし 0.13(−0.10〜0.36)
波状 vs 線形 1RM 波状が有利 0.31(0.02〜0.61)
波状 vs 線形(トレーニング経験者) 1RM 波状が有利(境界的) 0.61(0.00〜1.22)
波状 vs 線形(未経験者) 1RM 差なし 0.06(−0.20〜0.31)
波状 vs 線形 筋肥大 差なし 0.05(−0.20〜0.29)

効果量0.31は一般に「小さい」とされる水準である。つまり、期分けは最大筋力をわずかに伸ばすが、筋肉の大きさには影響しなかったことになる。波状と線形の比較では、波状のほうが1RMの伸びが大きかったが、分けて分析するとトレーニング経験者でのみ差がみられ、未経験者では差がなかった。

なぜ筋力だけに差が出たのか

研究チームは、期分けが最大筋力に影響する理由について、筋肉そのものの変化ではなく、筋トレに伴う神経系の適応が関係している可能性を示している。筋肥大に差が出なかったことと合わせると、期分けの効果は「筋肉の量」よりも「筋肉を使いこなす能力」に表れやすいといえる。

この研究の限界は?

メタ分析で比べたのは「期分けあり対なし」と「線形対波状」の2通りだけで、ブロック型など他の方法どうしの比較は研究数が少なく統合できなかった。また、経験者で波状が有利という結果は信頼区間の下限が0.00と境界上にあり、確実とまでは言い切れない。対象は総ボリュームをそろえた研究に限られるため、ボリュームそのものを増やす効果とは別の話である点にも注意が必要である。

よくある質問

筋肥大が目的ならピリオダイゼーションは必要?

このメタ分析では、総ボリュームが同じなら期分けの有無で筋肥大に差はなかった。筋肉を大きくする目的なら、必須とはいえない。

線形と波状、どちらを選べばいい?

筋肥大には差がなかった。最大筋力を伸ばしたいトレーニング経験者では、日ごと・週ごとに重量と回数を変える波状型が有利な傾向がみられた。

初心者にも期分けは効果がある?

未経験者では、線形と波状の間で1RMの伸びに差はなかった。どちらの方法を選んでも、同程度の伸びが期待できる。

KINNIKU TIMESの視点

見た目の筋肉を大きくしたい人は、複雑なプログラムを組むより、週あたりの総セット数を確保し、継続できる形を優先すればよい。一方、ベンチプレスやスクワットの1RMを伸ばしたい中級者以上は、「月曜は5回×高重量、木曜は10回×中重量」のように日ごとに刺激を変える波状型を試す価値がある。頻度や総量の考え方は部位ごとの頻度を比べたメタ分析や、米国スポーツ医学会(ACSM)の新ガイドラインも参考になる。


出典:Moesgaard L, et al. Effects of Periodization on Strength and Muscle Hypertrophy in Volume-Equated Resistance Training Programs: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Medicine 52(7):1647–1666(2022年)/PubMed(PMID: 35044672)/デンマーク首都地域研究ポータル(抄録)