THE MUSCLE NEWSPAPER
KINNIKU TIMES › 栄養・サプリ  › 記事
栄養・サプリ

プロバイオティクスで持久力は上がる?21試験・685人のメタ分析、筋力には差なし

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
木のスプーンを添えたヨーグルトボウル
SUMMARY|この記事の要約

プロバイオティクスの摂取で運動能力は全体として小〜中程度改善し(標準化平均差0.38)、有酸素性の持久力では0.74とより大きかったことが、21試験・685人のメタ分析で示された。一方、上半身・下半身の筋力やスプリントには有意な差がなかった。

プロバイオティクス(善玉菌のサプリ)の摂取で、運動能力の指標は全体として小〜中程度改善し、特に持久力で差が大きかった。一方、筋力やスプリントには有意な差がなかった。Zhangらの研究チームが、健康な人を対象にプロバイオティクスとプラセボ(偽薬)を比べた21件のランダム化比較試験(計685人)をベイズ統計でメタ分析し、2026年1月30日に学術誌『Frontiers in Nutrition』で発表した。

プロバイオティクス摂取と運動能力のメタ分析の概要図
図:Zhangほか「Effect of probiotic intake on athletic ability in healthy people: a systematic review and Bayesian meta-analysis」Frontiers in Nutrition(2026)Graphical Abstract/出典:Frontiers in Nutrition/ライセンス:CC BY 4.0(改変なし)

どんな人が、何をどれだけ摂ったのか?

分析に含まれた21件の試験の内訳は、アスリートが12件、一般の成人が8件、高齢者が1件である。1種類の菌だけを使った試験が12件、複数の菌を組み合わせた試験が9件で、最も多く使われていたのは乳酸菌の一種「ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)」だった。摂取期間は30〜110日、形態はカプセルが16件、飲料が3件、ヨーグルトが2件。試験の実施地域はアジアが63.6%を占めた。

プロバイオティクスで持久力は上がる?結果の数字

効果の大きさは標準化平均差(SMD)で示され、0.2前後が「小さい」、0.5前後が「中程度」の目安とされる。

項目 SMD(95%信用区間) 判定
運動能力全体 0.38(0.17〜0.60) 改善
有酸素性の持久力 0.74(0.39〜1.10) 改善
下半身の筋力 0.20(−0.03〜0.44) 有意差なし
上半身の筋力 0.07(−0.25〜0.40) 有意差なし
ラクトバチルス・プランタルム 0.82(0.12〜1.50) 改善
中用量(1日10億〜1,000億CFU) 0.38(0.14〜0.62) 改善

スプリント、方向転換、無酸素性の持久力でも有意な差は見られなかった。用量は中用量だけで改善が確認され、少ない量と多い量では有意差がなかった。摂取期間の分析では、110日の摂取で改善が最も大きかった(係数0.93、95%信用区間0.24〜1.64)。

エビデンスの確かさは?研究の限界

運動能力全体の結果について、エビデンスの確かさを評価する「GRADE」は「中程度」とされた。出版バイアスの検定でも大きな偏りは見られなかった。一方で著者らは、試験ごとに測定方法がそろっていないこと、参加者の少ない試験が多いこと、菌株や用量の記載が統一されていないこと、長期の追跡データが少ないことを限界に挙げている。高齢者を対象にした試験は1件のみで、菌株別や用量別の結果の多くは確かさが「低い」と評価された。

腸内細菌と筋肉の関係については、腸内細菌ロゼブリアと筋力の研究を紹介した記事も参考になる。

よくある質問

プロバイオティクスで筋力は上がる?

このメタ分析では、上半身・下半身とも筋力に有意な差は見られなかった。改善が確認されたのは主に持久力である。

どの菌が良い?

菌株別ではラクトバチルス・プランタルムで改善が見られたが、菌株別の結果の多くは試験数が少なく、確かさは限られる。

どのくらいの期間続けた試験が多い?

対象となった試験の摂取期間は30〜110日で、分析上は110日で改善が最も大きかった。

KINNIKU TIMESの視点

筋肥大や筋力アップを目的にプロバイオティクスを選ぶ根拠は、現時点では乏しい。一方、ランニングや自転車など持久系の種目にも取り組む人にとっては、小さな上乗せが期待できる可能性がある。サプリメントは食事やトレーニング、睡眠の代わりにはならないため、まずは基本を整えたうえで、ヨーグルトなど普段の食品から試すのが無理のない選択だろう。


出典:Zhang X, et al. Frontiers in Nutrition(2026年1月30日)