プロバイオティクスで持久力は上がる?21試験・685人のメタ分析、筋力には差なし
プロバイオティクスの摂取で運動能力は全体として小〜中程度改善し(標準化平均差0.38)、有酸素性の持久力では0.74とより大きかったことが、21試験・685人のメタ分析で示された。一方、上半身・下半身の筋力やスプリントには有意な差がなかった。
プロバイオティクス(善玉菌のサプリ)の摂取で、運動能力の指標は全体として小〜中程度改善し、特に持久力で差が大きかった。一方、筋力やスプリントには有意な差がなかった。Zhangらの研究チームが、健康な人を対象にプロバイオティクスとプラセボ(偽薬)を比べた21件のランダム化比較試験(計685人)をベイズ統計でメタ分析し、2026年1月30日に学術誌『Frontiers in Nutrition』で発表した。

どんな人が、何をどれだけ摂ったのか?
分析に含まれた21件の試験の内訳は、アスリートが12件、一般の成人が8件、高齢者が1件である。1種類の菌だけを使った試験が12件、複数の菌を組み合わせた試験が9件で、最も多く使われていたのは乳酸菌の一種「ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)」だった。摂取期間は30〜110日、形態はカプセルが16件、飲料が3件、ヨーグルトが2件。試験の実施地域はアジアが63.6%を占めた。
プロバイオティクスで持久力は上がる?結果の数字
効果の大きさは標準化平均差(SMD)で示され、0.2前後が「小さい」、0.5前後が「中程度」の目安とされる。
| 項目 | SMD(95%信用区間) | 判定 |
|---|---|---|
| 運動能力全体 | 0.38(0.17〜0.60) | 改善 |
| 有酸素性の持久力 | 0.74(0.39〜1.10) | 改善 |
| 下半身の筋力 | 0.20(−0.03〜0.44) | 有意差なし |
| 上半身の筋力 | 0.07(−0.25〜0.40) | 有意差なし |
| ラクトバチルス・プランタルム | 0.82(0.12〜1.50) | 改善 |
| 中用量(1日10億〜1,000億CFU) | 0.38(0.14〜0.62) | 改善 |
スプリント、方向転換、無酸素性の持久力でも有意な差は見られなかった。用量は中用量だけで改善が確認され、少ない量と多い量では有意差がなかった。摂取期間の分析では、110日の摂取で改善が最も大きかった(係数0.93、95%信用区間0.24〜1.64)。
エビデンスの確かさは?研究の限界
運動能力全体の結果について、エビデンスの確かさを評価する「GRADE」は「中程度」とされた。出版バイアスの検定でも大きな偏りは見られなかった。一方で著者らは、試験ごとに測定方法がそろっていないこと、参加者の少ない試験が多いこと、菌株や用量の記載が統一されていないこと、長期の追跡データが少ないことを限界に挙げている。高齢者を対象にした試験は1件のみで、菌株別や用量別の結果の多くは確かさが「低い」と評価された。
腸内細菌と筋肉の関係については、腸内細菌ロゼブリアと筋力の研究を紹介した記事も参考になる。
よくある質問
プロバイオティクスで筋力は上がる?
このメタ分析では、上半身・下半身とも筋力に有意な差は見られなかった。改善が確認されたのは主に持久力である。
どの菌が良い?
菌株別ではラクトバチルス・プランタルムで改善が見られたが、菌株別の結果の多くは試験数が少なく、確かさは限られる。
どのくらいの期間続けた試験が多い?
対象となった試験の摂取期間は30〜110日で、分析上は110日で改善が最も大きかった。
KINNIKU TIMESの視点
筋肥大や筋力アップを目的にプロバイオティクスを選ぶ根拠は、現時点では乏しい。一方、ランニングや自転車など持久系の種目にも取り組む人にとっては、小さな上乗せが期待できる可能性がある。サプリメントは食事やトレーニング、睡眠の代わりにはならないため、まずは基本を整えたうえで、ヨーグルトなど普段の食品から試すのが無理のない選択だろう。