ランナーにプロテインは必要?23試験・1,146人のメタ分析、効果は持久時間のみ
持久系トレーニング中のプロテイン補給は、23試験・1,146人のメタ分析で「疲労困憊までの時間」だけを有意に延ばし(標準化平均差0.45)、最大酸素摂取量や除脂肪量、体脂肪には有意差がなかった。中国の研究チームが学術誌Frontiers in Nutritionに発表した。
ランニングや自転車などの持久系トレーニング中にプロテインを追加しても、改善がはっきり確認できたのは「疲労困憊までの時間」だけだった。中国の武漢体育学院などの研究チームが、23件のランダム化比較試験(参加者1,146人)を統合したメタ分析の結果を、学術誌「Frontiers in Nutrition」に2025年8月に発表した。最大酸素摂取量や除脂肪量、体脂肪には有意な差がみられなかった。

どんな研究を集めたのか
対象は、持久系トレーニングにプロテイン補給を加えた群と、加えない群(プラセボや炭水化物など)を比べた試験である。参加者は18〜63.5歳の健康な成人で、78%が男性、757人がトレーニング経験者だった。
- たんぱく質の摂取量:体重1kgあたり1日0.96〜3.8g(多くは1.2〜2.3g)
- 種類:ホエイ11件、大豆4件、牛乳・カゼイン・コラーゲンペプチド各2件、アミノ酸・牛肉各1件
- 期間:6〜26週(多くは8〜12週)
持久系の運動にプロテインは効く?項目別の結果
効果の大きさは標準化平均差(SMD)で示され、0.2前後が「小さい」、0.5前後が「中程度」の目安である。
| 項目 | SMD(95%信頼区間) | 判定 |
|---|---|---|
| 疲労困憊までの時間 | 0.45(0.15〜0.76) | 有意に向上 |
| 除脂肪量 | 0.13(−0.01〜0.28) | 有意差なし |
| 最大酸素摂取量 | 0.10(−0.07〜0.27) | 有意差なし |
| 体脂肪 | −0.11(−0.24〜0.03) | 有意差なし |
| タイムトライアル | −0.02(−0.43〜0.40) | 有意差なし |
唯一有意だった疲労困憊までの時間は、5件・170人分のデータに基づく。エビデンスの確実性は「中程度」と評価された。最大酸素摂取量は、トレーニング未経験者に限るとSMD 0.21とやや高かったが、統計的な有意差には届かなかった。
結果をどう読むべきか:研究の限界
除脂肪量や最大酸素摂取量の確実性は「低い」、タイムトライアルは「非常に低い」とされた。74%の試験がランダム化の方法を十分に開示しておらず、65%で参加者が盲検化されていなかった。女性は全体の22%にとどまる。また、疲労困憊までの時間は一定の強度で運動を続けられる時間を測るテストであり、レースのタイムとは性質が異なる点にも注意が必要だ。
プロテインと運動能力全般については、75試験を統合した別のメタ分析の記事も参考になる。
よくある質問
ランナーもプロテインを飲むべき?
このメタ分析で改善が確認されたのは疲労困憊までの時間のみで、タイムトライアルや最大酸素摂取量には差がなかった。
持久系でプロテインを飲むと筋肉は増える?
除脂肪量はわずかに増える傾向(SMD 0.13)だったが、統計的に有意ではなかった。
1日のたんぱく質量の目安は?
対象試験の多くは体重1kgあたり1.2〜2.3gで、1日の摂取量と最大酸素摂取量の変化の間に有意な関係は見られなかった。
KINNIKU TIMESの視点
持久系トレーニングをする人にとって、プロテインは「記録を大きく伸ばす道具」ではなく、食事で不足しがちなたんぱく質を補う手段と考えるのが妥当だ。まずは食事全体で体重1kgあたり1.6g前後を目安に確保し、足りない分を補う形で使うとよい。補う場合は価格も比べて選びたい(プロテインの最安比較)。