タルトチェリーの効果は?19試験・385人のメタ分析、筋力は早く戻るが筋肉痛は差なし
アスリート385人・19試験のメタ分析では、タルトチェリー(酸味の強いサクランボ)を摂ると、筋肉を傷める運動の後の最大筋力が直後から72時間後まで有意に早く回復した(効果量0.63〜2.14)。一方、筋肉痛やクレアチンキナーゼには有意な差がなく、証拠の確実性は「非常に低い〜中程度」とされた。
タルトチェリーの摂取は、激しい運動で傷んだ筋肉の「力の戻り」を早める可能性があるが、筋肉痛を和らげる効果は確認されなかった。ワエル・ダーブ氏(Wael Daab)らの研究チームが、トレーニングを積んだアスリートを対象とした19試験・385人のデータを統合したシステマティックレビューとメタ分析を、2026年4月7日に学術誌「Sports Medicine - Open」で発表した。
タルトチェリーとは?どんな研究を集めた?
タルトチェリーは酸味の強いサクランボで、ポリフェノールを多く含む。スポーツ栄養の研究では、濃縮液やジュースの形で運動後の回復への効果が調べられてきた。今回の分析は、筋肉に損傷を与える運動の前後にタルトチェリーを摂取し、プラセボなどと比べた試験を集めたものである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研究数・人数 | 19試験・385人(1試験あたり7〜54人) |
| 性別 | 男性のみ13試験、女性のみ1試験、男女混合5試験 |
| 研究デザイン | クロスオーバー8試験、並行群11試験(二重盲検は11試験) |
| 摂取した形 | 濃縮液7、ジュース5、ジュースのブレンド4、粉末2、飲料1 |
| 筋損傷を起こす運動 | ランニングや団体競技などの全身運動、特定の筋肉への伸張性(エキセントリック)運動や筋トレ |
筋力の回復はどれくらい早まった?
最も効果がはっきりしたのは最大筋力(最大随意収縮)の回復である。11試験を統合すると、運動直後から72時間後まで、どの時点でもタルトチェリー群の方が有意に高かった。垂直跳び(カウンタームーブメントジャンプ)は48時間後のみ、炎症の指標であるC反応性たんぱく(CRP)は直後から48時間後まで有意な改善がみられた。
| 指標 | 時点 | 効果量(95%信頼区間) |
|---|---|---|
| 最大筋力(11試験) | 直後 | 0.63(0.05〜1.22) |
| 最大筋力 | 24時間後 | 1.12(0.20〜2.05) |
| 最大筋力 | 48時間後 | 1.29(0.25〜2.34) |
| 最大筋力 | 72時間後 | 2.14(0.34〜3.94) |
| 垂直跳び(6試験) | 48時間後 | 1.41(0.18〜2.64) |
| CRP(8試験) | 直後/24時間後/48時間後 | −0.46/−0.73/−0.68 |
※効果量はプラスが筋力の回復が良いこと、CRPのマイナスは炎症の指標が低いことを示す。ただし信頼区間が広く、最大筋力では研究間のばらつき(I²)が69〜93%と大きい。
筋肉痛やCKには効かない?
筋肉痛、筋損傷の指標であるクレアチンキナーゼ(CK)、炎症性物質のIL-6とTNF-α、関節の可動域については、統合した結果に有意な差はなかった。「筋肉痛が消える」というイメージとは異なり、差がみられたのは主に筋力の戻りと一部の炎症指標に限られる。
タルトチェリーは1日どれくらい、いつ飲む?
多くの試験は1日1〜2回の摂取で、濃縮液なら1回約30mL、ジュースなら236〜355mLを1日2回とする方法が多かった。期間は、運動の4〜7日前から飲み始めて運動後2〜4日続ける方法が典型的である。論文は、改善がみられた研究では朝と晩の2回に分けて、1日約1,200mgのポリフェノールを7〜8日間摂っていた例が多いと整理している。
この研究の限界は?
証拠の確実性(GRADE)は「非常に低い〜中程度」と評価された。対象は男性が中心で、1試験の人数も少ない。運動の種類や製品の形、量もまちまちで、特定の研究を除くと結果が変わる時点もあった。効果量の大きさそのものより、「筋力の回復にはプラスの傾向がある」程度に受け止めるのが妥当である。
よくある質問
タルトチェリーは筋肉痛に効く?
このメタ分析では、筋肉痛に有意な差はみられなかった。差が出たのは主に最大筋力の回復である。
タルトチェリーはいつから飲めばいい?
多くの試験は運動の4〜7日前から飲み始め、運動後も2〜4日続けていた。
普通のサクランボでも同じ効果がある?
分析に含まれたのはタルトチェリーの濃縮液やジュースなどで、一般的な生食用サクランボで同じ結果になるかは検証されていない。
KINNIKU TIMESの視点
タルトチェリーは「筋肉痛を消すもの」ではなく、「傷んだ筋肉の力が戻るのを後押しするかもしれないもの」と捉えるのが正確である。試合や大会が短い間隔で続く人、ハードな練習の翌日にも力を出す必要がある人には検討の余地がある。一方、日常の筋トレで回復を急ぐ必要がないなら、まずは睡眠とたんぱく質、練習量の管理が優先だ。なお、ポリフェノールの筋トレ効果を調べたメタ分析では、長期の筋トレへの上乗せ効果は確認されていない。ジュースで摂る場合は糖分とエネルギーも増えるため、減量中の人は量に注意したい。
出典:Daab Wほか, Sports Medicine - Open 12(2026年4月7日)/PubMed 41945263