ビタミンD・カルシウムで骨折は防げる?69試験・15万人のメタ分析で効果はほぼなし
カルシウム、ビタミンD、またはその併用のサプリメントは、骨折と転倒の予防に「ほとんど、あるいはまったく益がない」。英医学誌BMJに載った69試験・153,902人のメタ分析の結論で、ビタミンD単独では骨折リスクの比が1.00と差がなかった。
骨の健康のためにビタミンDやカルシウムのサプリメントを飲んでも、骨折や転倒はほとんど減らない可能性が高い。カナダの研究チーム(筆頭著者:オリビエ・マッセ〈Olivier Massé〉氏)は2026年5月20日、成人を対象にした69件のランダム化比較試験(計153,902人)を統合したシステマティックレビューとメタ分析を英医学誌『The BMJ』に発表し、「定期的なサプリメント摂取を支持しない」と結論づけた。9月には米科学ニュースサイトScienceDailyも取り上げている。
どんな研究か
対象は、骨粗しょう症の治療薬を使っていない18歳以上の成人で、サプリメントと偽薬(または何もしない群)を比べた試験である。参加者の87%は施設ではなく地域で暮らす人で、73%は骨折の高リスク者ではなかった。年齢の中央値は71.2歳だった。
| サプリの種類 | 試験数・人数 |
|---|---|
| カルシウム単独 | 11試験・9,067人 |
| ビタミンD単独 | 36試験・92,045人 |
| カルシウム+ビタミンD | 15試験・51,126人 |
ビタミンDで骨折や転倒は減るのか
結果はリスク比(1.00なら差なし、1より小さいほどリスクが低い)で示された。
| 種類 | 骨折全体 | 股関節の骨折 | 転倒 |
|---|---|---|---|
| カルシウム単独 | 0.91(0.81〜1.01) | 1.63(0.86〜3.03)※確実性が非常に低い | 0.91(0.78〜1.06) |
| ビタミンD単独 | 1.00(0.95〜1.06) | 1.13(1.00〜1.27) | 1.01(0.98〜1.04) |
| カルシウム+ビタミンD | 0.91(0.84〜0.99) | 0.84(0.74〜0.96) | 0.92(0.84〜1.00) |
括弧内は95%信頼区間。股関節の骨折は大腿骨の付け根部分の骨折を指す
ビタミンD単独は、6万人以上を含む確実性の高い証拠で、骨折にも転倒にも差がなかった。カルシウムとビタミンDの併用では骨折全体で約9%、股関節の骨折で約16%低い数値が出たが、著者らは併用についても「ほとんど、あるいはまったく効果がない」と評価し、全体として「骨折と転倒の予防に、ほとんど、あるいはまったく益がない」と結論づけた。
誰にでも当てはまるのか
当てはまらない可能性がある人もいる。論文は、特定の骨の病気がある人や骨粗しょう症の治療を受けている人では必要性が異なる可能性に触れている。また、今回の結論は「健康な人が骨折予防のために飲む」場合の話であり、医師にビタミンD不足と診断された人の治療を否定するものではない。サプリの利用や中止は、自己判断ではなく医師に相談したい。
ScienceDailyによると、研究チームは代わりに、バランストレーニングや筋トレを含む運動、転倒の危険の点検などを組み合わせた対策を優先すべきだとしている。筋トレの効果についてはサルコペニアの高齢女性を対象にしたメタ分析も参考になる。
よくある質問
ビタミンDのサプリで骨折は防げる?
36試験・92,045人を統合した今回の分析では、ビタミンD単独で骨折のリスク比は1.00で、差はみられなかった。
カルシウムとビタミンDを一緒に飲むのは意味がある?
併用では骨折がわずかに少ない数値が出たが、著者らは効果は「ほとんど、あるいはまったくない」と評価した。定期的な摂取を勧める根拠にはならないとしている。
骨折や転倒を防ぐには何をすればよい?
研究チームは、バランストレーニングや筋トレを含む運動プログラムなどを優先すべきだとしている。
KINNIKU TIMESの視点
「とりあえずビタミンD」は、少なくとも骨折や転倒の予防という目的では期待しすぎないほうがよさそうだ。一方で、筋トレは死亡リスクの低さとの関連を示す研究もあり(ハーバード大の約15万人追跡研究、観察研究のため因果関係は未確定)、体を守る習慣としての優先順位は高い。家族に高齢者がいるなら、サプリを買い足す前に、筋トレやバランス運動を一緒に始めてみてはどうだろうか。なお、本研究は筋力や筋肉量への影響を評価したものではない点にも注意したい。
出典:Massé O, et al. Calcium, vitamin D, or combined supplementation to prevent fractures and falls: systematic review and meta-analysis. The BMJ(2026年5月20日)/ScienceDaily(2026年9月)