ビタミンD摂取でアスリートの筋力は上がるのか 8研究284人で検証
アスリート284人を対象にした8件のRCTのメタ分析で、ビタミンD補給による筋力全体への有意な効果は確認されなかった。
ただし下肢筋力と屋内競技選手に限っては、統計的に有意な改善が示された。
プロ・大学競技レベルのアスリート284人を対象にした8件のランダム化比較試験(RCT)のメタ分析で、ビタミンD補給による筋力全体への統計的に有意な効果は確認されなかったが、下肢筋力に限ると有意な改善が示された。2019年4月30日、中国・上海体育大学の研究者らが学術誌「PLOS ONE」に発表した系統的レビュー・メタ分析が明らかにした。
どんな研究をまとめたのか
Zhang・Quan・Caoの3氏による本論文は、ビタミンD補給と筋力・筋パワーの関係を調べたランダム化比較試験8件を統合したメタ分析である。対象は計284人で、いずれも実業団やプロ、大学の競技チームに所属する競技選手である。評価指標は上肢・下肢の筋力と、垂直跳びなどの筋パワーで、効果量は標準化平均差(SMD)で示されている。
筋力・筋パワーへの効果はどの程度だったのか
| 評価項目 | SMD | 95%信頼区間 | p値 | 有意差 |
|---|---|---|---|---|
| 筋力全体 | 0.05 | −0.39〜0.48 | 0.84 | なし |
| 下肢筋力 | 0.55 | 0.12〜0.98 | 0.01 | あり |
| 上肢筋力 | −0.19 | −0.73〜0.36 | 0.50 | なし |
| 筋パワー | 0.05 | −0.24〜0.34 | 0.73 | なし |
さらに競技種目で分けた追加分析では、屋内で練習する選手に限ると筋力全体でも有意な改善が示された(SMD0.48、95%信頼区間0.06〜0.90、p=0.02)。屋外選手では同様の有意差は確認されていない。
なぜ下肢・屋内選手でだけ差が出たのか
論文は、下肢筋力のみ有意差が出た背景について明確な機序を示していないが、屋内選手で効果が見られた点については日照時間の少なさからビタミンD不足に陥りやすく、補給による改善の余地が相対的に大きかった可能性を考察として挙げている。ただしこの屋内選手の分析は全体8件のうち一部を使った部分集団解析であり、研究数自体は多くない点には注意が必要である。
サプリメントとしての注意点
ビタミンDは摂り過ぎると高カルシウム血症などのリスクがある脂溶性ビタミンである。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、成人の耐容上限量は100μg/日とされている。不足が心配な場合は、自己判断で大量に摂取するのではなく、血液検査で血中濃度を確認したうえで、医師や薬剤師に相談することが望ましい。
よくある質問
ビタミンDを飲めば筋トレの効果が上がりますか
このメタ分析では筋力全体への有意な効果は確認されていない。下肢筋力や屋内競技選手では有意な改善が見られたが、誰にでも同じ効果が出るとは言い切れない。
自分がビタミンD不足かどうかはどう分かりますか
血液検査で血中25(OH)D濃度を調べれば確認できる。日照時間が少ない、外出が少ないなど心配がある場合は医療機関に相談してほしい。
KINNIKU TIMESの視点
ビタミンD補給は、万能の筋力アップ手段ではなく、特に日照不足になりやすい屋内競技の選手や下肢の筋力強化を目指す場合に検討の余地がある、という位置づけで捉えるのが妥当である。摂取量は耐容上限量を踏まえたうえで、まずは適度な日光浴や食事(魚類・きのこ類など)を優先し、サプリメントで補う場合も自己判断の大量摂取は避けたい。FITPEAKでは特定の商品を推奨するものではなく、不足が疑われる場合は医師・栄養士への相談を勧める。
出典:Zhang L, Quan M, Cao ZB. "Effect of vitamin D supplementation on upper and lower limb muscle strength and muscle power in athletes: A meta-analysis." PLOS ONE 2019;14(4):e0215826(CC BY 4.0)/公益財団法人長寿科学振興財団(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」耐容上限量の解説)/関連記事:カフェインと運動パフォーマンスの解説
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