ヒップリフトのやり方|お尻に効かせるコツと回数の目安・片脚の方法
ヒップリフト(Glute Bridge)は、あお向けでひざを立て、かかとで床を押してお尻を持ち上げる種目です。「腰を反らせず、お尻をしめて上げる」ことが大切なコツで、初めての人は10〜15回×2セットから始めると無理がありません。慣れたら片脚で行うと、道具なしで負荷を上げられます。
ヒップリフトの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
ヒップリフトとは?どこに効くの?
ヒップリフトは、お尻の大きな筋肉である大殿筋と、太ももの裏側のハムストリングスを主に使う種目です。床にあお向けになって行うため、立って行うスクワットやランジよりもひざへの負担が少なく、体力に自信のない人でも始めやすいのが特長です。
股関節を伸ばす(太ももと胴体を一直線にする)動きは、立ち上がる、階段を上る、歩くといった日常の動作の土台になります。デスクワークで座っている時間が長い人は、お尻の筋肉を使う機会が少なくなりがちなので、自宅で取り入れやすい種目のひとつです。
エクストロムら(2007年)は、健康な男女30人を対象に、ヒップリフト(ブリッジ)や片脚ヒップリフトを含む9種目の筋活動を調べました。その結果、ヒップリフトは最大筋力の45%を下回る活動量で、筋力を大きく伸ばすというより持久力や姿勢を安定させる力を養う種目に向いていると報告しています。つまり、両脚のヒップリフトは「入門用」としてとても優れている一方、慣れてきたら片脚にするなど負荷を上げる工夫が要る、ということです。
脚とお尻のトレーニング全体の組み方は、自重で脚とお尻をきたえる方法にまとめています。
正しいやり方は?手順を確認しよう
基本の手順は次のとおりです。上の3Dアニメーションで、腰とひざの角度を確かめながら行ってください。
- あお向けに寝て、ひざを立てます。足は腰幅に開き、かかとはお尻からこぶし1〜2個分ほど離します。
- 両腕は体の横に置き、手のひらを床につけます。あごを軽く引き、目線は天井に向けます。
- 息をはきながら、かかとで床を押してお尻を持ち上げます。肩・腰・ひざが一直線になる高さで止めます。
- 上で1〜2秒止まり、お尻の筋肉を意識してしめます。
- 息をすいながら、2〜3秒かけてゆっくりお尻を下ろします。床にお尻がつく直前で止めると、負荷がぬけにくくなります。
動作中は息を止めないでください。 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の情報シートでも、筋トレ中に息をこらえると血圧が急に上がるため、息をこらえないように注意するよう示されています。
お尻に効かない・腰が痛いのはなぜ?よくある間違い
お尻に効いている感じがしない、腰や太もも裏ばかり疲れるという場合は、次のような原因が考えられます。
- 腰を反らせすぎている: 高く上げようとして腰を反ると、お尻ではなく腰の筋肉に負担が集まります。肩・腰・ひざが一直線になったら、それ以上は上げません
- 足がお尻から遠すぎる: かかとが遠いと太もも裏ばかり使い、足をつりやすくなります。こぶし1〜2個分の距離に近づけます
- つま先で押している: つま先に体重がのると、太ももの前側に効きやすくなります。かかとで床を押す意識を持ちます
- ひざが内側に倒れる: ひざとつま先の向きをそろえ、ひざの間をこぶし1個分ほど開けたままにします
- 反動で速く動いている: 勢いをつけるとお尻の筋肉がしっかり働く時間が短くなります。下ろすときは2〜3秒かけます
腰に痛みが出た場合は、上げる高さを低くして、お尻をしめる意識を強めると改善することがあります。それでも痛む場合は中止してください。
何回やればいい?レベル別の回数とセット
初めての人は10〜15回×2セットが目安です。正しいフォームで最後の数回がきつく感じる回数を選びましょう。
| レベル | 種目 | 回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者 | ヒップリフト | 10〜15回 | 2セット | 60秒 |
| 中級者 | ヒップリフト(上で3秒止める) | 15〜20回 | 3セット | 60秒 |
| 中級者 | 片脚ヒップリフト | 左右8〜12回 | 2〜3セット | 60〜90秒 |
| 上級者 | 片脚ヒップリフト(足を台にのせる) | 左右12〜15回 | 3セット | 90秒 |
頻度は週2〜3日が目安です。厚生労働省のガイド2023では、成人と高齢者に筋トレを週2〜3日行うことを勧めており、筋トレには自重で行う運動も含まれるとしています。アメリカスポーツ医学会(ACSM)の2009年の指針でも、筋トレに慣れていない人は週2〜3日の頻度が勧められています。
20回以上が楽にできるようになったら、回数を増やし続けるより片脚にするほうが効率よく負荷を上げられます。回数・セット・頻度の考え方は自重トレーニングの回数・セット・頻度、負荷の上げ方は自重トレで負荷を上げる方法でくわしく解説しています。
片脚ヒップリフトのやり方は?
片脚ヒップリフトの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
片脚ヒップリフト(Single-leg Glute Bridge)は、片方の脚だけでお尻を持ち上げる方法です。体重を片脚で支えるため負荷が大きくなり、左右の差にも気づきやすくなります。
- 基本のヒップリフトと同じように、あお向けでひざを立てます。
- 片方の脚を床から浮かせ、ひざを伸ばして前に出すか、ひざを胸に引き寄せます。
- 床についている脚のかかとで床を押し、お尻を持ち上げます。
- 骨盤が左右に傾かないように注意し、上で1〜2秒止めます。
- ゆっくり下ろします。決めた回数を終えたら、反対の脚も同じ回数行います。
骨盤が傾く、浮かせた脚の側のお尻が下がるといった場合は、まだ片脚の負荷が早いサインです。両脚のヒップリフトで上で止める時間を長くするところからやり直しましょう。
やさしくする・きつくする方法は?
自分の体力に合わせて、次のように調整できます。
やさしくする方法
- 上げる高さを低くする: 腰や太もも裏に不安がある人は、お尻を床から少し浮かせる程度から始めます
- 回数を減らし、1回ずつ止める: 5〜8回でも、上で2秒止めれば十分な刺激になります
- 足を少し前に出す: ひざの曲がりがゆるくなり、動作が楽になります(太もも裏を使う割合は増えます)
きつくする方法
- 上で3〜5秒止める: 筋肉が働いている時間が長くなります
- 下ろす動作を4秒かける: ゆっくり下ろすだけで負荷が上がります
- 片脚で行う: 上の節で紹介した片脚ヒップリフトです
- 足を台やソファにのせる: 足の位置が高くなると、動く範囲が広がり負荷が増えます
器具を使うヒップスラストとは何が違う?
ヒップスラストは、ベンチに背中をあずけ、腰の上にバーベルなどのおもりをのせてお尻を持ち上げる種目です。ヒップリフトと同じく股関節を伸ばす動きですが、背中が高い位置にあるぶん動く範囲が広く、おもりで負荷を細かく増やせます。
ネトら(2020年)は、お尻の筋肉の活動を調べた16本の研究をまとめた系統的レビューで、バーベルを使うヒップスラストを、お尻の筋活動が「とても高い」(最大筋力の60%を超える)種目のひとつに分類しました。またコントレラスら(2016年)は、ヒップスラストに慣れた女性13人を対象に、バーベル・ゴムバンド・アメリカン式の3つのヒップスラストを比べ、バーベルを使う方法でお尻の平均の筋活動が大きかったと報告しています。
自宅ではヒップリフトと片脚ヒップリフトでお尻をきたえ、さらに負荷を上げたくなったらジムでヒップスラストに進む、という順番が取り組みやすいでしょう。ヒップスラストのくわしい手順はヒップスラストのやり方で解説しています。
安全に行うための注意点は?
痛みが出たらすぐに中止してください。腰やひざに持病がある人、けがをしている人、妊娠中の人は、始める前に医師に相談してください。運動中に胸の痛み・息苦しさ・めまいを感じたら、すぐに中止して休んでください。
妊娠中は、あお向けの姿勢を長く続けることが勧められない時期もあります。自己判断せず、医師の指示にしたがってください。
よくある質問
ヒップリフトは毎日やってもいいですか?
軽い負荷で回数も少なければ毎日行っても大きな問題になりにくいですが、筋肉の回復を考えると週2〜3日が目安です。お尻や太もも裏に強い筋肉痛が残っているときは休みましょう。毎日行う場合の考え方は自重トレーニングは毎日やってもいい?を参考にしてください。
ヒップリフトだけでお尻は大きくなりますか?
両脚のヒップリフトは負荷が比較的軽いため、慣れてくると刺激が足りなくなります。片脚で行う、上で止める時間を長くするなど負荷を上げ、スクワットやランジなどほかの種目と組み合わせることをおすすめします。結果には食事や睡眠、個人差も関わります。
太もも裏がつりそうになります。どうすればいいですか?
足がお尻から遠すぎる可能性があります。かかとをお尻に近づけ、かかとで押してお尻をしめる意識を持ってください。始める前に軽く太もも裏を伸ばしておくのも一つの方法です。
腰が痛くなるのはなぜですか?
高く上げようとして腰を反らせていることが多い原因です。肩・腰・ひざが一直線になる高さで止め、おなかに軽く力を入れたまま行いましょう。それでも痛みが続く場合は中止し、医師に相談してください。
ほかの種目の3Dの動きも見られますか?
はい。3D種目図鑑で、スクワットや片脚の種目など、さまざまな種目の動きを確認できます。自重トレ全体の情報は自重トレ大全のトップからご覧ください。
出典
- Ekstrom RA, Donatelli RA, Carp KC. 2007「Electromyographic analysis of core trunk, hip, and thigh muscles during 9 rehabilitation exercises」J Orthop Sports Phys Ther
- Neto WK ほか 2020「Gluteus Maximus Activation during Common Strength and Hypertrophy Exercises: A Systematic Review」J Sports Sci Med
- Contreras B ほか 2016「A Comparison of Gluteus Maximus, Biceps Femoris, and Vastus Lateralis Electromyography Amplitude for the Barbell, Band, and American Hip Thrust Variations」J Appl Biomech
- American College of Sports Medicine 2009「Progression models in resistance training for healthy adults」Med Sci Sports Exerc
- 厚生労働省 2024「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート:筋力トレーニングについて
この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。