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自重で負荷を上げる方法|筋トレがきつくなくなった時の8つの工夫

FITPEAK編集部 読了目安 10分

自重トレーニングで負荷を上げるには、重さの代わりに「回数」「ゆっくり下ろす」「体の角度」「片手・片脚」などを変えます。目安は、決めた回数の上限を全セットでこなせたら一段階きつくすることです。研究では、重さを足さずに回数を増やしていく方法でも、重さを足す方法と同じくらい筋肉が育ったと報告されています。

なぜ負荷を上げ続ける必要があるの?

体は受けた刺激に慣れていくため、同じ内容を続けると、いつか筋肉にとって「きつくない」運動になってしまうからです。この考え方を「漸進性過負荷(ぜんしんせいかふか)」と呼びます。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)の2009年の見解(position stand)は、目標に向けてさらに体を変えていくには、負荷を少しずつ高めていくトレーニングが必要だとしています。ウエイトの場合は、決めた回数より1〜2回多くできるようになったら、重さを2〜10%増やすことがすすめられています。

自重トレーニングでは重さを数%ずつ足すことができません。そのかわり、回数や体の角度、片手・片脚などで、きつさを段階的に上げていきます。

重さを足さなくても、筋肉は育つ?

育ちます。回数を増やす方法や、難しい種目へ段階的に進む方法でも、筋力と筋肉が伸びることが研究で示されています。

プロトキンら(2022年)の研究では、1年以上の脚のトレーニング経験がある43人を、「回数をそろえて重さを増やす」グループ(22人)と「重さをそろえて回数を増やす」グループ(21人)に分け、週2回・8週間トレーニングしてもらいました。その結果、筋肉の厚み、筋力、筋持久力の変化に、実用上の大きな差は見られませんでした。研究者は、どちらの進め方も筋肉を伸ばす方法として有効だとまとめています。

コタルスキーら(2018年)は、ある程度トレーニング経験のある男性23人に、難しさを段階的に上げていく腕立て伏せ(14人)か、ベンチプレス(9人)を週3回・4週間行ってもらいました。どちらのグループでもベンチプレスの1RM(1回だけ挙げられる重さ)が伸び、自重の種目を段階的に難しくする方法でも上半身の筋力が伸びることが示されました。なお、この4週間では筋肉の厚みに有意な変化はありませんでした。

さらに、カラタユドら(2015年)は、トレーニング経験の豊富な大学生30人を対象に、6回で限界になるベンチプレスと、ゴムバンドで負荷を足した腕立て伏せ(同じく6回で限界)を比べました。どちらも筋肉の働き方(筋電図)は同じくらいで、5週間後の筋力の伸びも同じくらいでした。きつさをそろえれば、腕立て伏せでもベンチプレスと同じような効果が期待できるということです。

自重で負荷を上げる8つの方法は?

下の8つの方法を、上から順に試すのがおすすめです。上ほど手軽で、下ほどきつさの上がり方が大きくなります。

方法 やり方の例 きつさの上がり方
1. 回数を増やす 10回→12回 小さい
2. セットを増やす 2セット→3セット 小さい
3. ゆっくり下ろす 3〜4秒かけて下ろす 中くらい
4. きつい位置で止める 下で2秒止める 中くらい
5. 動きの幅を広げる 手の下に本を置いて深く下ろす 中くらい
6. 体の角度を変える 足を台に乗せる 中〜大きい
7. 片手・片脚にする 片脚スクワット 大きい
8. おもりを足す 水を入れたペットボトルをリュックに入れる 調整しやすい

1. 回数を増やす

手軽に始められる方法です。ただし20回を超えてくると、息が上がって筋肉が限界に届きにくくなります。20回が楽になったら、ほかの方法に切り替えましょう。

2. セットを増やす

1種目2セットから3セットへ増やします。週あたりのセット数が多いほど筋肉の増え方が大きくなる関係が研究で見られています。セット数の目安は 自重トレーニングの回数・セット・頻度 にまとめています。

3. ゆっくり下ろす

腕立て伏せなら胸を床に近づける動き、スクワット(Squat)ならしゃがむ動きを、3〜4秒かけて行います。回数は同じでも、筋肉が力を出している時間が長くなります。

4. きつい位置で止める

腕立て伏せなら胸が床に近い位置、スクワットならしゃがんだ位置で2秒止めます。反動が使えなくなるので、ごまかしがききません。

5. 動きの幅を広げる

両手の下に同じ高さの本などを置き、胸を手より低い位置まで下ろします。ブルガリアンスクワット(Bulgarian Split Squat)で前足を低い台に乗せる方法もあります。肩や膝に痛みが出ない範囲で行ってください。

6. 体の角度を変える

腕立て伏せは、手を高い位置につくほど楽に、足を高い位置に乗せるほどきつくなります。足を台に乗せるデクラインプッシュアップ(Decline Push-up)は、通常の腕立て伏せの次の段階に向いています。

デクラインプッシュアップの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)

7. 片手・片脚にする

体重のほとんどを片側で支えるので、きつさが大きく上がります。脚とお尻の種目は特にこの方法が効果的で、ヒップリフト(Glute Bridge)を片脚にするだけでも、同じ回数でかなりきつくなります。

片脚ヒップリフトの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)

8. おもりを足す

リュックに水を入れたペットボトルや本を入れて背負うと、数kg単位で負荷を足せます。重さが細かく調整できるのが利点です。リュックがずれないよう、肩ひもを締めて行ってください。

種目ごとにどんな順番で難しくすればいい?

押す・脚・引く・体幹の種目ごとに、やさしい順に並べました。今の段階で目標の回数をこなせたら、右の段階へ進みます。

部位 段階1 段階2 段階3 段階4 段階5
押す(胸・腕) 壁に手をつく腕立て インクライン腕立て伏せ 膝つき腕立て伏せ 腕立て伏せ デクラインプッシュアップ
二の腕・肩 ベンチディップス(膝曲げ) ベンチディップス(脚伸ばし) ダイヤモンドプッシュアップ(Diamond Push-up) パイクプッシュアップ(Pike Push-up) 足を台に乗せたパイクプッシュアップ
脚 椅子に座って立つ 自重スクワット バックランジ(Reverse Lunge) ブルガリアンスクワット ピストルスクワット(Pistol Squat)
お尻 ヒップリフト 下で2秒止めるヒップリフト 片脚ヒップリフト 足を台に乗せた片脚ヒップリフト ―
背中 スーパーマン(Superman) 膝を曲げた斜め懸垂 脚を伸ばした斜め懸垂 懸垂(逆手) 懸垂(順手)
体幹 デッドバグ(Dead Bug) プランク(Plank) サイドプランク 片手を浮かせたプランク ―

片脚で深くしゃがむピストルスクワットは、脚の種目の中でもかなり難しい段階です。最初は椅子に座るところまで下ろし、少しずつ深くしていきます。

ピストルスクワットの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)

懸垂の段階は 懸垂ができない人の練習法 で0回から1回までの進め方を、順手と逆手の違いは 懸垂の順手と逆手の違い で解説しています。ブルガリアンスクワットのフォームは ブルガリアンスクワットのやり方 が詳しいです。各種目の動きは 3D種目図鑑 で確認できます。

負荷はいつ、どれくらい上げればいい?

「回数の幅」を決めておき、全セットで上限に届いたら一段階上げる方法がわかりやすく、続けやすいです。これを「ダブルプログレッション」と呼ぶことがあります。

  1. 種目ごとに回数の幅を決める(例: 8〜12回を3セット)
  2. 毎回、各セットでできる回数をメモする
  3. 3セットすべてで上限の12回に届いたら、次の回は一段階きつい方法か種目に変える
  4. きつくした直後は回数が8回前後に落ちる。そこからまた12回を目指す
  5. 下限の8回にも届かないなら、一つ前の段階に戻す

ACSMの見解でも、決めた回数より1〜2回多くできるようになったら負荷を上げることがすすめられており、この進め方と同じ考え方です。

4週間の進め方の例(腕立て伏せ)

週 種目 回数×セット 工夫
1週目 腕立て伏せ 8〜10回×3 ―
2週目 腕立て伏せ 10〜12回×3 回数を増やす
3週目 腕立て伏せ 8〜10回×3 3秒かけて下ろす
4週目 デクラインプッシュアップ 8〜10回×3 足を台に乗せる

一度に2つ以上の要素を変えると、きつくなりすぎてフォームが崩れやすくなります。変えるのは1回に1つだけにしましょう。

痛みが出たらその種目はすぐに中止してください。持病のある人、妊娠中の人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。運動中に胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止して休み、続く場合は医療機関を受診してください。新しい段階に進んだ直後は、関節に違和感が出やすいので、回数を控えめにして様子を見てください。

負荷を上げるときにやりがちな間違いは?

よくある間違いは、次のとおりです。

  • 回数を増やすことだけにこだわり、30回、50回と増やし続ける
  • フォームが崩れたまま次の段階に進む(腕立て伏せで腰が落ちる、スクワットで膝が内側に入る)
  • 反動を使って回数を稼ぐ
  • 一度に回数・角度・速さをすべて変える
  • 疲れが抜けていないのに毎回きつくしようとする

停滞したときは、1〜2週間ほど回数やセットを減らして回復させてから、もう一度上げていくのも一つの方法です。休みの取り方は 筋トレの休養日の目安 を参考にしてください。

よくある質問

腕立て伏せが30回以上できるようになりました。次は何をすればいいですか?

回数を増やし続けるより、足を台に乗せるデクラインプッシュアップや、手幅をせまくするダイヤモンドプッシュアップに進むのがおすすめです。下ろす動きを3〜4秒かける方法もあります。種目の一覧は 腕立て伏せの種類 にまとめています。

どのくらいの間隔で負荷を上げればいいですか?

決まった期間はありません。決めた回数の上限を全セットでこなせたときが上げる合図です。初心者のうちは1〜2週間ごとに上げられることもありますが、慣れてくると数週間かかることもあります。

回数を増やす方法と、種目を難しくする方法はどちらがいいですか?

プロトキンら(2022年)の研究では、回数を増やす方法も重さを増やす方法も、筋肉の伸びに大きな差はありませんでした。20回くらいまでは回数を増やし、それ以上になったら種目を難しくする、という組み合わせが実践しやすいです。

負荷を上げずに同じメニューを続けるとどうなりますか?

体が慣れて、筋力や筋肉の伸びがゆるやかになっていきます。健康を保つ目的なら同じメニューを続けることにも意味がありますが、体を変えたい場合は少しずつきつさを上げていきましょう。筋肉を大きくしたい人は 自重で筋肉は大きくなる? もあわせて読んでみてください。

ウエイトを使ったほうが早いですか?

重い重量を1回挙げる力を伸ばしたいなら、重さを細かく足せるウエイトのほうが効率的です。見た目の筋肉や健康づくりが目的なら、自重でも工夫しだいで十分に取り組めます。比べ方は 自重とウエイトはどっちがいい? で、自重トレ全体の考え方は 自重トレ大全のトップ から読めます。

出典

この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。