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自重とウエイトはどっちがいい?|筋肥大・筋力・続けやすさで比べる

FITPEAK編集部 読了目安 9分

筋肉を大きくしたい、体を引き締めたいという目的なら、自重トレーニングでも限界近くまで行えば、ウエイトと近い変化が期待できます。持ち上げられる最大の重さ(最大筋力)を伸ばしたいなら、重い負荷をかけやすいウエイトが有利です。どちらか一方に決めるより、目的と環境で選び、必要に応じて組み合わせるのが現実的です。

自重とウエイト、結局どっちがいい?

目的によって答えが変わります。 大まかに分けると次のとおりです。

目的 向いている方法 理由
筋肉を大きくしたい(初心者〜中級者) 自重でもウエイトでもよい 限界近くまで行えば、負荷の重さによる筋肥大の差は小さいと報告されている
最大筋力を伸ばしたい(重い物を持ち上げる力) ウエイト 重い負荷で練習した動きほど、最大筋力が伸びやすい
運動を習慣にしたい・費用をかけたくない 自重 道具も移動も不要で、すきま時間に行える
体の動かし方・バランスを身につけたい 自重 自分の体を支えて動かすため、体幹やバランスも同時に使う
脚を強く鍛えたい(中級者以上) ウエイト、または片脚の自重種目 両脚の自重スクワットは早い段階で軽くなりやすい

自重トレーニングそのもののメリットと限界は、柱の記事自重トレーニングの効果でまとめています。この記事では、ウエイトとの比べ方に絞って説明します。

自重でもウエイトと同じくらい筋肉はつく?

同じくらいの負荷になるよう調整し、限界近くまで行えば、筋肉のつき方に大きな差は出にくいことが研究で示されています。

腕立て伏せの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)

  • 菊池と中里(2017年)の研究では、大学生の男性18人を、ベンチプレス(最大挙上重量の40%)のグループと、膝をつくなどで同じくらいの負荷に調整した腕立て伏せのグループに分け、週2回・8週間トレーニングしました。どちらのグループも、大胸筋と上腕三頭筋の厚み、ベンチプレスの最大挙上重量が増え、腕立て伏せのグループでも最大挙上重量は61.1kgから64.2kgに増えました。研究者は、同じくらいの負荷の腕立て伏せはベンチプレスと同程度に効果的だと結論づけています。
  • Calatayudら(2015年)は、筋トレ経験の豊富な大学生30人を対象に、6回が限界のベンチプレスと、ゴムバンドで負荷を加えて6回が限界になる腕立て伏せを5週間比べました。筋肉の活動の大きさがそろうように条件を整えたところ、両方のグループで同じくらい筋力が伸びました。
  • Kotarskyら(2018年)は、ある程度鍛えている男性23人を、段階的にきつくする腕立て伏せのグループ(14人)とベンチプレスのグループ(9人)に分け、週3回・4週間比べました。どちらもベンチプレスの最大挙上重量が増えました。

さらに、Schoenfeldら(2017年)が21件の研究をまとめた分析では、すべてのセットを限界まで行った場合、軽い負荷(最大挙上重量の60%以下)でも重い負荷でも、筋肥大は同程度でした。一方で、最大挙上重量の伸びは重い負荷のほうが大きいという結果でした。

ここで大切なのは、どの研究でも「負荷を調整し、限界近くまで行っている」点です。毎回楽にできる回数で止めていると、自重でもウエイトでも筋肉はつきにくくなります。自重でどこまで大きくできるかは自重で筋肥大はできる?で詳しく解説しています。

自重がウエイトより劣るのはどんなところ?

負荷を細かく、大きく上げにくいことと、鍛えにくい部位があることです。

負荷を上げる手段が限られる

ウエイトは2.5kg刻みのように重さを足せますが、自重は体重が一定です。回数を増やす、ゆっくり動く、片腕・片脚にする、角度を変えるといった方法で負荷を上げますが、段階の間が大きくなりがちです。たとえば、両脚のスクワットから片脚のピストルスクワットへは、一気にきつくなります。間をうめる工夫は自重で負荷を上げる方法で紹介しています。

回数が増えると、筋肉より先に息や集中力が切れる

軽い負荷で何十回も繰り返すと、筋肉が限界になる前に、息苦しさや飽きで止まってしまうことがあります。スクワットを50回以上できるようになったら、片脚の種目に切り替える、動きをゆっくりにするなどで、20回前後で限界がくる強さに調整するのが目安です。

引く動きと、脚の後ろ側が鍛えにくい

道具なしでは、背中を鍛える「引く」動きが限られます。机やテーブルを使った斜め懸垂(インバーテッドロウ(Inverted Row))や、公園の鉄棒での懸垂を取り入れると補えます。

斜め懸垂(インバーテッドロウ)の3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)

背中の鍛え方は自重で背中を鍛える、懸垂がまだ1回もできない人の練習方法はKINNIKU TIMESの懸垂ができない人の練習をご覧ください。

ウエイトにはない、自重のよいところは?

場所・時間・費用の制約が少なく、続けやすいことです。

  • すぐ始められる: ジムへの移動がなく、着替えも最小限で済みます。1日10分でも、毎日積み重ねやすい形です。
  • 体を一つにまとめて動かす: 腕立て伏せは胸や腕だけでなく、体幹で体をまっすぐ保つ必要があります。自分の体を思いどおりに動かす力が身につきます。
  • 重さを落とす事故が少ない: バーベルを体の上に落とす、といった危険がありません。一人でも取り組みやすい方法です。
  • 公的な指針の量を満たしやすい: 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は筋力トレーニングを週2〜3日行うことを勧めており、世界保健機関(WHO)の2020年の指針(Bullら、2020年)も、主要な筋肉を使う筋力強化の活動を週2日以上行うよう示しています。どちらも、ウエイトに限った話ではなく、自重の運動で満たせます。

時間・費用・安全面で比べると?

続けやすさの面では自重、負荷の調整のしやすさではウエイトに分があります。 筋肉への効果だけでなく、生活の中で続けられるかどうかも、選ぶうえで大切な基準です。

比べる点 自重 ウエイト(ジム)
始めるまでの手間 その場ですぐ始められる 移動・着替え・器具の準備が必要
費用 ほぼかからない 会費や器具の費用がかかる
負荷の調整 種類・回数・速さで調整(段階が大きい) 重さを細かく足せる
けがの起こりやすさ 重さを落とす危険がない。手首や肩の使いすぎに注意 重さの選び方やフォームを誤ると負担が大きい
必要な知識 種目の段階を知っていると伸ばしやすい 器具の使い方・重さの決め方を学ぶ必要がある

どちらの方法でも、効果の差を生むのは「続けた期間」と「少しずつ負荷を上げたかどうか」です。週に1回しか行けないジムより、週3回続けられる自宅の自重のほうが、結果につながることも十分にあります。反対に、ジムに通う時間をとれる人が自重だけにこだわる理由もありません。自分が無理なく続けられる方法を選ぶことが、何より大切です。

目的別に、どう組み合わせればいい?

家では自重、週1〜2回はウエイト、という組み合わせも有効です。 生活に合わせて、次の3つの形から選んでみてください。

形 週の内容 向いている人
自重だけ 自重の全身メニューを週3回(各種目2〜3セット、8〜20回で限界近く) ジムに通わない人、運動を習慣にしたい人
自重中心+ウエイト 自重を週2回、ジムでスクワットやデッドリフトなど脚・背中のウエイトを週1回 脚や背中をもっと強くしたい人
ウエイト中心+自重 ジムで週2〜3回、家での自重は腕立て伏せや体幹など短時間で補う 最大筋力を伸ばしたい人、競技をしている人

自重だけで行う週3回メニューの例

種目 回数 セット 休憩
自重スクワット(きつくなったらブルガリアンスクワット) 12〜20回 3 60〜90秒
腕立て伏せ(難しければ膝つき) 8〜15回 3 60〜90秒
斜め懸垂 8〜12回 3 60〜90秒
ヒップリフト 15〜20回 2 60秒
プランク 30〜60秒 2 60秒

各セットは、限界の1〜2回手前まで行うのが目安です。決めた回数の上限を楽にこなせたら、より難しい種類に変えましょう。ブルガリアンスクワットのやり方はKINNIKU TIMESのブルガリアンスクワットのやり方で、そのほかの種目の動きは3D種目図鑑で確かめられます。初めての人向けの1週間の組み方は自重トレーニングの初心者メニューにあります。

痛みが出たら、その種目をすぐに中止してください。持病のある人、妊娠中の人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたときは、すぐに運動をやめてください。ウエイトを使う場合は、無理な重さを扱わず、慣れるまでは指導者のいる環境で行うと安心です。

自重からウエイトに移るタイミングは?

自重の種目を難しい種類にしても、20回以上楽にできてしまう段階が、ひとつの目安です。

具体的には、次のような状態になったら、ウエイトを加えることを考えてもよいでしょう。

  • ブルガリアンスクワットを片脚20回以上、楽にこなせる
  • 足を台にのせたデクラインプッシュアップを20回以上できる
  • 最大筋力を伸ばしたい、競技で重い負荷に慣れておきたいなど、目的がはっきりしてきた

逆に、まだ自重の種目で限界近くまで追い込めているなら、急いでウエイトに移る必要はありません。自重の種目を体操競技のように極めていく「カリステニクス」という道もあります。詳しくはカリステニクスとはをご覧ください。

よくある質問

自重トレーニングだけでも筋肉は大きくなりますか?

限界近くまで行い、少しずつ負荷を上げていけば、筋肉は大きくなると考えられています。研究では、同じくらいの負荷に調整した腕立て伏せとベンチプレスで、胸の筋肉の厚みが同程度に増えたと報告されています。

初心者はどちらから始めるのがよいですか?

始めやすさで考えると、自重がおすすめです。動きの基本を覚えながら、自宅ですぐ取り組めます。ジムに通える環境があり、指導を受けられるなら、最初からウエイトを使っても問題ありません。

自重とウエイトを同じ日に行ってもいいですか?

問題ありません。たとえば、ジムで脚のウエイト種目を行い、仕上げに腕立て伏せやプランクを加える形があります。同じ部位を続けて限界まで追い込みすぎないよう、全体の量に気をつけてください。

女性はどちらが向いていますか?

性別よりも、目的と続けやすさで選ぶのがよいでしょう。自宅で無理なく続けたい場合は自重が始めやすい方法です。女性向けの組み方は女性の自重トレーニングとダイエットにまとめています。

自重で最大筋力は伸びますか?

伸びます。研究でも、腕立て伏せのトレーニングでベンチプレスの最大挙上重量が増えています。ただし、重い負荷での最大筋力をできるだけ伸ばしたいなら、重い負荷を扱えるウエイトのほうが有利と報告されています。

出典

この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。