チンアップ(逆手懸垂)のやり方|効く筋肉と回数の目安、肘を守るコツ
チンアップ(Chin-up)は、手のひらを自分に向けた逆手で鉄棒を握って行う懸垂です。順手の懸垂と同じく背中の広い筋肉が主に働き、それに加えて腕の前の筋肉(上腕二頭筋)がよく使われます。1回以上できる人は、肩幅で握り、反動を使わずに胸を棒へ近づける形で回数を重ねるのが基本です。まだ1回もできない人は、先に段階的な練習から始めましょう。
チンアップ(逆手)の3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
チンアップはどこに効く?順手の懸垂と何が違う?
答えから言うと、背中の広い筋肉(広背筋)が主役で、腕の前(上腕二頭筋)と胸(大胸筋)も強く働きます。
ユーダスら(2010年)は、男性21人・女性4人の計25人で、順手の懸垂、逆手のチンアップ、回転する持ち手を使う懸垂の筋活動を比べました。広背筋の筋活動は、3種類とも最大の力を出したときの117〜130%と高い値でした。そのうえで、チンアップは順手の懸垂より大胸筋と上腕二頭筋の活動が高く、順手の懸垂は僧帽筋の下部の活動が高いという結果でした。
つまり、背中を鍛える点はどちらも同じで、チンアップは腕の前と胸が、順手は背中の上の方が少し多く働く、という違いです。握り方による筋活動の違いをさらに詳しく知りたい人は、懸垂の順手・逆手で筋活動はどう変わるかをご覧ください。
腕の前が働くぶん、順手より回数が多くできる人もいます。順手と逆手を交互に取り入れると、背中と腕をまんべんなく鍛えられます。
チンアップが1回もできないときは?
まだ1回もできない人は、無理にぶら下がって反動で上がろうとせず、段階的な練習から始めてください。0回から1回を目指す練習は、懸垂ができない人の練習方法で詳しく解説しています。
足が床についたまま引く斜め懸垂(インバーテッドロウ)も、同じ背中の筋肉を使う土台づくりに役立ちます。逆手で斜め懸垂を行うと、チンアップに近い腕の使い方を練習できます。
チンアップのやり方は?
- 鉄棒を逆手(手のひらが自分に向く)で、肩幅に握ります。親指は棒に回して、しっかり握ります
- 腕を伸ばしてぶら下がり、肩を耳から遠ざけるように少し下げます
- 脚は軽くそろえ、お腹に力を入れて体の揺れを止めます
- 胸を張り、肘を体の横から下へ引くように、1〜2秒で体を引き上げます
- あごが棒の上に出るか、胸の上部が棒に近づいたところで一瞬止めます
- 2〜3秒かけて腕が伸びきる手前まで下ります。引くときに吐き、下りるときに吸います
動きは上の3Dアニメーションで、横と正面から確認できます。下りるときにゆっくり動くことで、回数が少なくても十分な刺激になります。
よくある間違いは?
- 反動で上がる: 脚を振ったり体をあおったりすると、背中への負荷が減り、肩にも負担がかかります
- あごだけを突き出す: 首を前に出して棒を越えようとすると、首を痛めやすくなります。胸を棒に近づけます
- 肩がすくむ: ぶら下がった状態で肩が耳に近づいていたら、下げてから引き始めます
- 手幅が狭すぎる・広すぎる: 逆手で手幅を広げると手首と肘に負担が増えます。肩幅が目安です
- 下で一気に落ちる: 腕が伸びきった瞬間に衝撃がかかり、肘や肩を痛めやすくなります
- 毎回限界まで続ける: 腕の前は回復に時間がかかります。最後の1〜2回を余力として残す日も作ります
肘の内側・肩・手首に痛みが出たら中止してください。鉄棒は始める前にぐらつきがないか確かめ、手がぬれているときは行わないでください。持病のある人、妊娠中の人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。運動中に胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止してください。
何回・何セットやればいい?
反動なしでできる回数の半分から8割程度を1セットにし、3〜5セットが始めやすい形です。アメリカスポーツ医学会(ACSM)の指針(2009年)では、筋トレ初心者は8〜12回で限界になる程度の負荷、週2〜3日が目安とされています。チンアップはこの回数に届かない人も多いため、1セットの回数を少なくしてセット数で量を確保します。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、筋トレを週2〜3日行い、休息日をとることがすすめられています。
| レベル | できる回数 | 1セットの回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初級 | 1〜3回 | 1〜2回 | 4〜5セット | 2〜3分 |
| 中級 | 4〜8回 | 3〜6回 | 3〜4セット | 2分 |
| 上級 | 10回以上 | 8〜12回 | 3〜4セット | 2分 |
セット間の休憩の考え方はセット間の休憩時間をご覧ください。全体の組み立て方は自重トレーニングの回数・セット・頻度にまとめています。
やさしくする・きつくする方法は?
やさしくする
- 下りる動きだけ行う: 台に乗って上の位置から始め、3〜5秒かけて下ります
- 上で止める: あごが棒の上に出た位置で、5〜10秒保ちます
- 斜め懸垂を逆手で行う: 足が床につくぶん、負荷が軽くなります
きつくする
- 下りる時間を長くする: 4秒かけて下ります
- 上で2秒止める: 引ききった位置で止めると、背中と腕の負荷が増えます
- 腕が伸びきるところから毎回始める: 可動域を広くとります
- 順手の懸垂と組み合わせる: 日によって握りを変えると、背中の上部にも刺激が入ります
自重で負荷を上げるほかの方法は自重で負荷を上げる方法で解説しています。
よくある質問
チンアップと懸垂(順手)はどちらがいいですか?
どちらも背中の広い筋肉をよく使います。研究では、チンアップは腕の前と胸、順手は背中の上の方の活動が高い結果でした。目的に合わせて選ぶか、両方を交互に行うのがおすすめです。
チンアップで腕は太くなりますか?
腕の前の筋肉はよく働くので、鍛える助けになります。ただし、筋肉が大きくなるかどうかは、回数やセット数、食事、休養の積み重ねで決まります。自重での筋肥大については自重で筋肉は大きくなるかをご覧ください。
肘の内側が痛くなります。どうすればいいですか?
逆手は肘の内側に負担が集まりやすい握り方です。まず回数とセット数を減らし、反動と一気に落ちる動きをやめてください。それでも痛む場合は中止し、順手や斜め懸垂に替えましょう。痛みが続くときは医師に相談してください。
自宅でできますか?
ドア枠に取り付ける器具もありますが、取り付けが甘いと外れて落ちる危険があります。公園の鉄棒など、地面に固定された設備で行うのが安心です。
毎日やってもいいですか?
背中と腕を強く使う種目なので、1〜2日あけて週2〜3回が目安です。ほかの種目の動きは3D種目図鑑で、記事全体は自重トレ大全のトップから探せます。
出典
- Youdas JW, et al. 2010「Surface electromyographic activation patterns and elbow joint motion during a pull-up, chin-up, or perfect-pullup rotational exercise」Journal of Strength and Conditioning Research
- American College of Sports Medicine 2009「Progression models in resistance training for healthy adults」Medicine & Science in Sports & Exercise
- 厚生労働省 2024「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 筋力トレーニングについて」
この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。