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カリステニクスとは?|自重トレとの違いと初心者の始め方・技の段階

FITPEAK編集部 読了目安 9分

カリステニクスとは、器具をほとんど使わず、自分の体重を負荷にして体を鍛え、懸垂や逆立ち、マッスルアップといった「技」を段階的に身につけていくトレーニングです。広い意味では自重トレーニングと同じですが、技の習得という目標と、鉄棒や平行棒を使う点に特徴があります。初心者は、押す・引く・脚・体幹の4つの基本から始めます。

カリステニクスとは何?

カリステニクス(Calisthenics)は、自分の体重を使った運動で筋力と体の操作性を高めるトレーニングの総称です。 語源はギリシャ語の「美しい」と「力」を合わせた言葉とされ、古くから体操や軍隊の体力づくりに取り入れられてきました。

最近では、公園の鉄棒や平行棒を使い、懸垂、ディップス、逆立ち、マッスルアップ、フロントレバーといった技を練習する、一つの競技・文化として広まっています。海外では技の美しさや難しさを競う大会も開かれています。

イタリアのThomasら(2017年)は、カリステニクスを「体重と体操の動きにもとづく、世界に広がった分野」と説明し、運動習慣のない男性28人を対象に8週間のカリステニクスのトレーニングを行いました。その結果、運動しなかったグループに比べ、腕立て伏せの回数が16.4%、懸垂の回数が39.2%増え、姿勢の評価や体組成も改善しました(握力には差がありませんでした)。研究者は、大きな器具を使わずに姿勢・筋力・体組成を高められる方法だとまとめています。人数の少ない研究ですが、器具に頼らない方法で体が変わりうることを示しています。

自重トレーニングとカリステニクスは何が違う?

やる運動はほぼ同じですが、目標と使う道具に違いがあります。

比べる点 一般的な自重トレーニング カリステニクス
主な目的 健康・筋力の維持、体を引き締める、筋肥大 技の習得、体を思いどおりに動かす力、筋力
場所 自宅の床 公園の鉄棒・平行棒、自宅
道具 なし、または椅子・タオル 鉄棒、平行棒(パラレルバー)、つり輪など
進め方 回数やセット数を増やす 難しい種類・技へ段階的に進む
代表的な種目 スクワット、腕立て伏せ、プランク 懸垂、ディップス、逆立ち、マッスルアップ、レバー系の技

つまり、自宅で行う自重トレーニングは、カリステニクスの入り口ともいえます。自重トレーニングの効果やメリットについては自重トレーニングの効果を、ウエイトとの比べ方は自重とウエイトはどっちがいい?をご覧ください。

カリステニクスの基本の動きは?

押す、引く、脚、体幹の4つです。 技はどれも、この4つの力の組み合わせでできています。

押す動き

腕立て伏せ、ディップス、パイクプッシュアップ(Pike Push-up)など、体を押し上げる動きです。パイクプッシュアップは、お尻を高く上げて肩に体重をのせる種目で、逆立ち腕立てへの準備になります。

パイクプッシュアップの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)

引く動き

懸垂(プルアップ(Pull-up))、斜め懸垂など、体を引き寄せる動きです。カリステニクスの中心となる動きで、マッスルアップやフロントレバーの土台になります。

懸垂(順手)の3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)

懸垂が1回もできない人は、KINNIKU TIMESの懸垂ができない人の練習から始めてください。順手と逆手で使われる筋肉の違いは懸垂の順手・逆手の違いで解説しています。

脚

スクワット、ランジから、最終的には片脚で深くしゃがむピストルスクワット(Pistol Squat)を目指します。片脚の種目はバランスと柔軟性も必要になります。

ピストルスクワットの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)

体幹

プランク、レッグレイズ、ぶら下がっての膝上げなど、体をまっすぐ保ったり、脚を持ち上げたりする力です。鉄棒の技では、体幹の力が足りないと体が揺れたり、腰が反ったりしてしまいます。

初心者は何から始めればいい?

まずは自宅で4つの基本を週3回、2〜3か月続け、土台の筋力をつけることから始めます。 次の表は、カリステニクスを始める人のための段階表です。上の段の目標を達成したら、次の段に進む目安にしてください。

段階 押す 引く 脚 体幹
1 はじめて 膝つき腕立て 10回 机を使った斜め懸垂 8回 自重スクワット 20回 プランク 30秒
2 基礎 腕立て伏せ 15回 斜め懸垂(体を低く)12回 バックランジ 片脚12回 プランク 60秒
3 中級の入口 パイクプッシュアップ 10回、ディップス 8回 懸垂 5回 ブルガリアンスクワット 片脚12回 ぶら下がり膝上げ 10回
4 中級 壁を使った逆立ち 30秒 懸垂 10回 補助つきピストルスクワット 片脚5回 ぶら下がり脚上げ 8回
5 技への準備 壁逆立ちの腕立て 3回 胸まで引く懸垂 8回 ピストルスクワット 片脚3回 Lシット 10秒

各種目は2〜3セット、セット間の休憩は90秒〜2分ほどとります。種目の動きは3D種目図鑑で確認できます。

週3回の基本メニュー(段階1〜2の人)

種目 回数 セット 休憩
腕立て伏せ(難しければ膝つき) 8〜15回 3 90秒
斜め懸垂 8〜12回 3 90秒
自重スクワット 15〜20回 3 90秒
プランク 30〜60秒 2 60秒

1日おきに、週3回行います。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が勧める、筋力トレーニングを週2〜3日行うという目安にも合っています。

カリステニクスでも筋力は伸びる?

伸びます。種類を段階的に難しくしていけば、器具を使ったトレーニングと同じように筋力を高められることが研究で示されています。

Kotarskyら(2018年)は、ある程度鍛えている男性23人を対象に、段階的に難しい腕立て伏せへ進むグループと、ベンチプレスのグループを比べました。週3回・4週間の練習で、どちらのグループもベンチプレスの最大挙上重量が増え、研究者は「さまざまな段階の種目で練習の条件を保てば、カリステニクスで上半身の筋力を高められる」と述べています。

ここで大事なのは「段階的に難しくする」ことです。同じ種目を同じ回数で続けるだけでは、体はすぐに慣れてしまいます。カリステニクスの段階表は、負荷を上げるための道筋そのものです。ほかの負荷の上げ方は自重で負荷を上げる方法にまとめています。

カリステニクスの代表的な技は?

目標にされやすい技は次のとおりです。 どれも、段階表の4〜5を超えた中級者以上が練習する内容です。

  • マッスルアップ: 鉄棒にぶら下がった状態から、引き上げてそのまま腕で押し上げ、鉄棒の上に体を出す技。胸まで引く懸垂と、深いディップスの力が必要です。
  • 逆立ち(ハンドスタンド): 壁なしで逆さまに立つ技。肩の力とバランス、手首の準備が必要です。
  • フロントレバー: 鉄棒にぶら下がり、体を床と平行に、あお向けのまま水平に保つ技。背中と体幹の強い力が必要です。
  • プランシェ: 両手だけで体を床と平行に浮かせる技。押す力の中でも特に難しい部類です。
  • ヒューマンフラッグ: 縦の棒をつかみ、体を横向きの旗のように水平に保つ技。

技は見た目の迫力がありますが、関節にかかる負担も大きくなります。基本の種目で十分な回数ができてから、時間をかけて取り組みましょう。

痛みが出たら、すぐに練習を中止してください。持病のある人、妊娠中の人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。胸の痛み、息苦しさ、めまいがあるときはすぐに運動をやめてください。鉄棒や逆立ちの練習は、落下に備えて周りに物のない場所で行い、手首・肘・肩を十分に温めてから始めてください。

カリステニクスに必要な道具は?

始めるだけなら道具はいりません。段階が進むにつれて、ぶら下がれる場所があると練習の幅が広がります。

段階 あると便利なもの 使い道
1〜2 丈夫な机、安定した椅子 斜め懸垂、ベンチディップス、インクラインの腕立て
3〜4 公園の鉄棒、ドア枠に取りつける懸垂用のバー 懸垂、ぶら下がり膝上げ
4〜5 平行棒(公園の低い棒や、床に置く短い平行棒) ディップス、Lシット、逆立ちの練習

机や椅子を使うときは、体重をかけても動かないか、事前に確かめてください。キャスターつきの椅子や、脚がぐらつく机は使わないようにしましょう。公園の器具を使う場合は、ほかの利用者への配慮も忘れずに。手のひらの皮がむけやすい人は、練習後に手を保湿し、同じ日に鉄棒の練習を長く続けすぎないようにします。

カリステニクスを続けるコツは?

記録をつけること、技の練習は短く・こまめに行うこと、基本の種目を続けることの3つです。

  • 記録をつける: 種目と回数・秒数を残しておくと、段階表のどこにいるかが分かり、次の目標が明確になります。
  • 技の練習は短く: 逆立ちやレバーの練習は、疲れていない最初の時間に、1回10〜20秒を数本行う程度にします。疲れた状態で続けるとフォームが崩れ、けがにつながります。
  • 基本を続ける: 技を練習する時期でも、懸垂・ディップス・スクワットなど基本の種目は続けます。技の伸びは、基本の筋力に支えられています。
  • 休む日をつくる: 鉄棒の種目は手のひらや肘への負担が大きいので、同じ動きを続けて行う日は空けましょう。

週何回、何セット行うかの考え方は自重トレーニングの回数・セット・頻度で詳しく解説しています。ほかの種目や記事は自重トレ大全のトップから探せます。

よくある質問

カリステニクスと自重トレーニングは同じものですか?

体重を負荷にするという点では同じです。カリステニクスは、そのなかでも懸垂や逆立ちなどの技を段階的に身につけることを目標にし、鉄棒や平行棒をよく使う点に特徴があります。

カリステニクスは自宅だけでもできますか?

段階表の1〜3までは、机や椅子を使って自宅で進められます。懸垂やマッスルアップなど引く動きを本格的に練習するには、公園の鉄棒やドア枠に取りつける懸垂用のバーなど、ぶら下がれる場所が必要です。

カリステニクスで筋肉は大きくなりますか?

限界近くまで行い、少しずつ難しい種類に進めていけば、筋肉が大きくなることが期待できます。カリステニクスは技の練習が中心になりやすいため、筋肥大を主な目的にする場合は、基本の種目を8〜20回で限界がくる強さで行う時間もつくりましょう。詳しくは自重で筋肥大はできる?をご覧ください。

技ができるまでどのくらいかかりますか?

個人差が大きく、一概にはいえません。基礎の筋力をつけるだけでも数か月かかることが多く、マッスルアップやフロントレバーのような技は、それ以上の期間をかけて練習するのが一般的です。焦らず、段階表を一つずつ進めてください。

女性や40代以上でも始められますか?

始められます。段階表の1から、自分の体力に合わせて進めれば問題ありません。持病がある人や、しばらく運動していなかった人は、始める前に医師に相談してください。年代別の注意点は自重トレーニング 40代・50代にまとめています。

出典

この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。