自重トレーニングは毎日やっていい?|部位の分け方と休む目安
自重トレーニングは毎日やっても構いません。ただし、同じ部位を限界近くまで追い込むのは週2〜3回にとどめ、残りの日は別の部位か軽いメニューにするのが続けやすい形です。研究では、1週間の合計量が同じなら、週3回と週6回で筋力や筋肉の増え方に大きな差は見られていません。
自重トレーニングは毎日やってもいい?
毎日やること自体は問題ありませんが、「毎日、同じ部位を全力で」は避けたほうが無難です。 自重トレーニングはバーベルのような重い負荷を使わないぶん、関節や神経への負担が比較的小さく、毎日の習慣にしやすい運動です。一方で、腕立て伏せやスクワットを限界まで繰り返せば、筋肉には十分な刺激が入ります。刺激を受けた筋肉は、休んでいる間に回復し、少しずつ強くなります。休む時間がないまま同じ部位を毎日追い込むと、疲れが抜けきらず、回数が落ちたり、関節に痛みが出たりしやすくなります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に筋力トレーニングを週2〜3日行うことを勧めています。アメリカスポーツ医学会(ACSM)の指針(Garberら、2011年)も、主要な筋肉の筋力トレーニングを週2〜3日行うよう示しています。つまり「週2〜3回、各部位をしっかり使う」が土台で、それを超える日は、部位を変えるか、強さを下げて行うと考えると整理しやすくなります。
毎日の筋トレ全般の考え方(ジムでのウエイトも含む)は、KINNIKU TIMESの毎日筋トレしてもいいのかでもまとめています。この記事では、自重トレーニングならではの組み方に絞って説明します。
毎日やると効果は上がる?頻度の研究は何を示している?
1週間の合計の量が同じなら、回数を分ける頻度そのものによる差は小さい、というのが今の研究のまとめです。
- Schoenfeld、Ogborn、Krieger(2016年)は、筋トレの頻度と筋肥大を比べた10件の研究をまとめ、同じ部位を週1回より週2回行うほうが筋肉の増え方が大きいと報告しました。週3回が週2回より上回るかは、この時点では分かっていません。
- その後、Schoenfeld、Grgic、Krieger(2019年)は25件の研究をまとめ、1週間の量をそろえた場合、頻度の違いで筋肥大に意味のある差は見られないと結論づけました。頻度は好みで選んでよい、という書き方です。
- Saricら(2019年)は、筋トレ経験のある男性27人を週3回と週6回に分け、1週間の量をそろえて6週間比べました。上半身・下半身の筋力も筋肉の厚みも、2つのグループで大きな差はありませんでした。
これらは主にウエイトを使った研究ですが、「1週間に合計でどれだけやったか」が大事で、それを何日に分けるかは生活に合わせてよい、という考え方は自重トレーニングにも当てはめやすいものです。毎日やる利点は、1回を短くできること、習慣として定着しやすいことにあります。一方、「毎日やれば効果が倍になる」わけではない点は押さえておきましょう。
1週間の量の目安(何回・何セット)は自重トレーニングの回数・セット・頻度で詳しく扱っています。
毎日続けるなら、どう組めばいい?
部位を日ごとに分けるか、「強い日」と「軽い日」を交互にするのが基本です。 どちらも、同じ部位を追い込む日の間に1〜2日の余裕をつくる考え方です。
方法1 部位を分ける(上半身・下半身・体幹)
押す動き(胸・肩・腕の後ろ)、脚とお尻、引く動きと体幹、の3つに分けて回すと、各部位は週2回ずつ、しっかり使えます。
自重スクワットの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
| 曜日 | 主に使う部位 | 種目の例 | 回数 | セット |
|---|---|---|---|---|
| 月 | 押す(胸・肩・腕) | 腕立て伏せ、パイクプッシュアップ、ベンチディップス | 8〜15回 | 各2〜3 |
| 火 | 脚・お尻 | 自重スクワット、バックランジ、ヒップリフト | 12〜20回 | 各2〜3 |
| 水 | 引く・体幹 | 斜め懸垂、スーパーマン、プランク | 8〜15回/30〜45秒 | 各2〜3 |
| 木 | 押す | 月曜と同じ(回数を1〜2回増やす) | 8〜15回 | 各2〜3 |
| 金 | 脚・お尻 | 火曜と同じ | 12〜20回 | 各2〜3 |
| 土 | 引く・体幹 | 水曜と同じ | 8〜15回/30〜45秒 | 各2〜3 |
| 日 | 休み、または散歩・ストレッチ | ― | ― | ― |
1日あたり15〜25分ほどで終わる量です。各セットは「あと2〜3回できそう」なところで止めても、限界までやっても構いませんが、限界までやる日は週の中で偏らないようにしましょう。種目のやり方は3D種目図鑑で動きを確かめられます。
方法2 全身を毎日、強さを変えて行う
毎日全身を動かしたい人は、強い日(限界近くまで)と軽い日(余裕を残す)を交互にします。軽い日は、強い日の半分くらいのセット数で、フォームの確認や体を温める目的で行います。
| 日 | 強さ | 内容の例 |
|---|---|---|
| 1日目 | 強い | スクワット・腕立て伏せ・斜め懸垂・プランクを各3セット、限界の1〜2回手前まで |
| 2日目 | 軽い | 同じ種目を各1セット、楽にできる回数で。バードドッグなど体幹の種目を加える |
| 3日目 | 強い | 1日目と同じか、少しきつい種類に変える |
| 4日目 | 軽い | 2日目と同じ |
軽い日には、背骨まわりを安定させるバードドッグ(Bird Dog)のような、関節への負担が小さい種目が向いています。
バードドッグの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
方法3 1日5分の「習慣メニュー」を毎日
時間がとれない人は、5分程度の短いメニューを毎日行い、週2〜3回だけ時間をのばす方法もあります。短い運動でも意味があります。厚生労働省のガイドは、1日あたり10分の身体活動を増やすことで、生活習慣病の発症や死亡のリスクが約3%下がると推測されると紹介しています。10分で全身を回すメニューは自宅で10分の自重筋トレにまとめています。
休んだほうがいいのはどんなとき?
次のようなサインがあるときは、その部位を休ませるか、その日のメニューを軽くしてください。
- 前回と同じ種目で、回数がはっきり落ちている(2〜3日続けて)
- 筋肉痛が強く、動きの途中で痛みのためにフォームが崩れる
- 関節(手首・肘・肩・膝・腰)にズキッとした痛みがある
- 寝つきが悪い、朝から体がだるいなど、疲れが抜けない日が続く
- やる気がまったく出ず、メニューが「こなすだけ」になっている
筋肉痛があるだけなら、別の部位を鍛えたり、軽く動かしたりするのは問題ないことが多いです。ただ、関節の痛みは筋肉痛とは別のものとして扱い、痛む動きは行わないでください。休養日の取り方については、KINNIKU TIMESの休養日はどのくらい必要かも参考になります。
運動中や運動後に痛みが出たら、その場で中止してください。持病のある人、妊娠中の人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたときは、すぐに運動をやめて安静にし、続くようなら医療機関を受診してください。
毎日やるときに気をつけることは?
同じ種目・同じ回数の繰り返しにならないよう、少しずつ負荷を上げること、そして関節を休ませる日をつくることです。
毎日同じメニューだと、いずれ伸びが止まる
自重トレーニングは、体が慣れると同じ回数では刺激が足りなくなります。回数を増やす、ゆっくり下ろす、片脚にする、手の位置を変えるなど、少しずつきつくしていくことが必要です。具体的な方法は自重で負荷を上げる方法で紹介しています。
手首と肩は、知らないうちに疲れがたまる
腕立て伏せ、ディップス、マウンテンクライマーなど、手をつく種目は手首と肩に負担が集まります。押す種目を毎日続けると、筋肉より先に関節が疲れることがあります。押す日は週2〜3回までにし、手首に違和感があるときは、こぶしをついて行う、台に手をついて角度をゆるめるなどで調整しましょう。
始める前に2〜3分、体を温める
朝起きてすぐ、長く座ったあとなど、体が冷えた状態でいきなり限界までの回数を行うと、関節や筋肉に負担がかかりやすくなります。その場足踏み、腕回し、浅めのスクワットなどを2〜3分行い、体が温まってから本番のセットに入りましょう。毎日行う人ほど、この準備の差が積み重なります。
記録をつけると、休むべき日が分かる
種目ごとに「何回できたか」をメモしておくと、伸びている時期と疲れがたまっている時期が見分けやすくなります。いつもより2回以上少ない日が続いたら、休養か軽い日に切り替える目安になります。手帳やスマートフォンのメモで十分です。
「毎日やること」が目的にならないように
毎日続けるのは大事な習慣ですが、体調が悪い日に無理をする必要はありません。1日休んでも、1週間の合計量が大きく変わらなければ問題ありません。週単位で考えると、気持ちも楽になります。
目的別に、毎日のメニューをどう変える?
筋肉を大きくしたいなら部位分け、体力づくりや習慣化なら短い全身メニューの毎日、が向いています。
- 筋肉を大きくしたい: 方法1の部位分けで、各部位を週2回、限界に近い回数まで行います。自重でどこまで筋肉が大きくなるかは自重で筋肥大はできる?で解説しています。
- 体力をつけたい・運動を習慣にしたい: 方法3の短いメニューを毎日、週2〜3回はセット数を増やします。
- 体脂肪が気になる: 筋トレに加えて、歩く時間を増やすことも大切です。厚生労働省のガイドは、歩行またはそれと同じくらいの強さの身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)行うことを勧めています。
初めての人は、まず自重トレーニングの初心者メニューで週3回から始め、慣れてから日数を増やすと無理がありません。自重トレーニング全体の考え方や、ほかの記事は自重トレ大全のトップから探せます。
よくある質問
自重トレーニングを毎日やると逆効果になりますか?
同じ部位を毎日限界まで追い込み、疲れが抜けない状態が続くと、回数が落ちたり関節を痛めたりすることがあります。部位を分ける、強い日と軽い日を交互にするなどの工夫をすれば、毎日行っても問題ないことが多いです。
腹筋だけなら毎日やってもいいですか?
腹筋も他の筋肉と同じで、限界まで追い込んだあとは回復の時間が必要です。クランチやレッグレイズを強く行う日は週2〜3回にし、他の日はプランクやデッドバグなど軽めの体幹種目にすると続けやすくなります。腹筋のメニューは自重の腹筋メニューをご覧ください。
筋肉痛があるときも続けていいですか?
軽い筋肉痛なら、別の部位を鍛えたり、軽めに体を動かしたりするのは問題ないことが多いです。痛みでフォームが崩れる、関節が痛むといった場合は、その部位を休ませてください。
毎日やるなら1回何分くらいがよいですか?
部位を分ける場合は15〜25分、全身を軽く行う日は5〜10分が目安です。1週間の合計量が大切なので、1日の時間を長くするより、無理なく続けられる長さにしてください。
毎日やらないと効果は出ませんか?
毎日でなくても効果は期待できます。公的な指針は筋力トレーニングを週2〜3日勧めており、研究でも1週間の量が同じなら頻度の違いによる差は小さいと報告されています。どのくらいで変化を感じやすいかは、KINNIKU TIMESの筋トレの効果が出るまでの期間が参考になります。
出典
- 厚生労働省 2024「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」成人版
- Garber CE ほか 2011「Quantity and quality of exercise for developing and maintaining cardiorespiratory, musculoskeletal, and neuromotor fitness in apparently healthy adults」Medicine & Science in Sports & Exercise(ACSM)
- Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW 2016「Effects of Resistance Training Frequency on Measures of Muscle Hypertrophy」Sports Medicine
- Schoenfeld BJ, Grgic J, Krieger J 2019「How many times per week should a muscle be trained to maximize muscle hypertrophy?」Journal of Sports Sciences
- Saric J ほか 2019「Resistance Training Frequencies of 3 and 6 Times Per Week Produce Similar Muscular Adaptations in Resistance-Trained Men」Journal of Strength and Conditioning Research
この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。