自重の腹筋メニュー|道具なしで組む種目と回数、お腹の脂肪との関係
自重の腹筋メニューは、上体を丸めるクランチ、脚を上げるレッグレイズ、ひねるバイシクルクランチ、体を固めるプランクやデッドバグを組み合わせるのが基本です。腹筋は道具なしでも鍛えやすい部位ですが、腹筋運動だけでお腹の脂肪が落ちるとは言えないことも研究で示されています。
腹筋は自重だけで鍛えられる?
鍛えられます。お腹の筋肉は、正面の腹直筋、横の腹斜筋(外腹斜筋・内腹斜筋)、奥にある腹横筋などに分かれ、どれも自分の体重を使った種目で十分に負荷をかけられます。
腹筋の働きは大きく4つあります。種目を選ぶときは、この4つがそろうように組むと偏りが出にくくなります。
| 動き | 主な筋肉 | 代表的な自重種目 |
|---|---|---|
| 背中を丸める | 腹直筋(特に上側) | クランチ |
| 脚・骨盤を持ち上げる | 腹直筋(特に下側) | レッグレイズ |
| 体をひねる | 腹斜筋 | バイシクルクランチ |
| 体を動かさずに固める | 腹横筋・腹直筋・腹斜筋 | プランク・デッドバグ |
腹筋運動だけでお腹の脂肪は落ちる?
腹筋運動だけで、お腹の脂肪が狙って落ちるとは言えません。
Visputeら(2011年)は、運動習慣のない18〜40歳の24人(男性14人・女性10人)を、腹筋運動を行う群と行わない群に分けて比べました。腹筋群は7種類の腹筋運動を10回×2セット、週5日・6週間行いましたが、体重・体脂肪率・お腹まわりの脂肪・腹囲・お腹の皮下脂肪の厚さのいずれにも、運動をしない群との差は出ませんでした。一方、腹筋の持久力(上体起こしの回数)は、腹筋群が平均47回、運動をしない群が平均32回と、はっきり差がつきました。
つまり、腹筋運動はお腹の筋肉を強くする運動であり、お腹の脂肪を減らすには、食事の見直しや全身の運動を合わせて考える必要があります。体脂肪を減らす目的での組み方は女性の自重トレーニングとダイエットで解説しています。
腹筋に効く自重の種目はどれ?
ここでは道具なしで行える5種目を紹介します。動きは3Dで確認できます。そのほかの種目は3D種目図鑑にまとめています。
1. クランチ(Crunch)
あお向けで膝を立て、へそをのぞき込むように背中を丸めて、肩甲骨が床から離れるところまで上体を起こします。上体を起こしきる上体起こしと違い、腰を床につけたまま行えるので、腰への負担を抑えやすい種目です。首を手で引っぱらず、あごと胸の間にこぶし1つ分のすき間を保ちます。詳しくはクランチのやり方へ。
クランチの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
2. レッグレイズ(Leg Raise)
あお向けで脚を伸ばし、脚を床から持ち上げて、ゆっくり下ろします。下ろすときに腰が反りやすいので、腰を床に押しつけたまま、反らない範囲で下ろします。きつい場合は膝を曲げて行ってください。
Escamillaら(2006年)は、健康な男女21人の筋電図を測り、さまざまな腹筋種目を比べました。腹直筋の活動が高かったのは、車輪のついた器具を使う種目のほか、30度に傾けた台で行うリバースクランチと、ストラップでぶら下がって膝を上げる種目で、どちらも脚や骨盤を持ち上げる動きでした。一方で、リバースクランチや膝を曲げた上体起こしなどでは、股関節を曲げる働きを持つ太もも前の筋肉の活動も高く、腰に不安のある人には負担になる可能性があると指摘しています。脚を上げる種目は、腰を反らせないことが特に大切です。詳しくはレッグレイズのやり方へ。
レッグレイズの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
3. バイシクルクランチ(Bicycle Crunch)
あお向けで両手を頭の後ろに添え、自転車をこぐように脚を動かしながら、右肘と左膝、左肘と右膝を近づけます。腹斜筋を使うひねりの種目です。速くこぐより、1回ごとにひねりきってから反対へ移る方が効きます。詳しくはバイシクルクランチのやり方へ。
バイシクルクランチの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
4. デッドバグ(Dead Bug)
あお向けで両腕を天井に伸ばし、膝を90度に曲げて脚を上げます。腰を床に押しつけたまま、右腕と左脚をゆっくり床すれすれまで伸ばして戻し、反対側も行います。体を動かさずに固める力を育てる種目で、腰を反らせずに腹筋を使う練習になります。初心者の最初の1種目にも向いています。詳しくはデッドバグのやり方へ。
デッドバグの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
5. プランク(Plank)
肘とつま先で体を支え、頭からかかとまでを一直線に保ちます。体を固める種目の代表です。正しいやり方と時間の目安はプランクの基本のやり方で詳しく解説しているので、そちらを確認してください。横向きで行うサイドプランクを加えると、脇腹にも効かせられます。
プランクの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
何回・何セットやればいい?
腹筋も、ほかの部位と同じく「あと1〜3回で限界」まで行い、2〜3セットが目安です。腹筋は回数を多くこなしやすい部位ですが、50回、100回と増やし続けるより、ゆっくり行う、脚を伸ばす、止める時間を長くするなどで負荷を上げる方が、短い時間で済みます。
| レベル | 種目 | 回数・時間 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者 | デッドバグ | 左右各6〜10回 | 2 | 45秒 |
| 初心者 | クランチ | 10〜15回 | 2 | 45秒 |
| 初心者 | プランク(膝つき可) | 20〜30秒 | 2 | 45秒 |
| 中級者 | クランチ | 15〜20回 | 3 | 45秒 |
| 中級者 | レッグレイズ(膝を曲げる) | 10〜15回 | 3 | 60秒 |
| 中級者 | バイシクルクランチ | 左右各10〜15回 | 2〜3 | 45秒 |
| 上級者 | レッグレイズ(脚を伸ばす) | 12〜15回 | 3 | 60秒 |
| 上級者 | バイシクルクランチ(ゆっくり) | 左右各15回 | 3 | 45秒 |
| 上級者 | プランク | 45〜60秒 | 3 | 60秒 |
自重の腹筋メニューはどう組む?
1回のメニューに、先ほどの4つの動きから3つ以上が入るように組みます。腹筋は回復が比較的早いと言われますが、限界近くまで行う日は週2〜3回を目安にし、間に休みを入れてください。世界保健機関(WHO)の2020年の指針も、大きな筋肉群を使う筋力トレーニングを週2日以上行うことを勧めています。
レベル別メニュー例(1回10〜15分)
| レベル | メニュー |
|---|---|
| 初心者 | デッドバグ 左右各8回×2 → クランチ 12回×2 → 膝つきプランク 30秒×2 |
| 中級者 | レッグレイズ(膝を曲げる)12回×3 → クランチ 15回×3 → バイシクルクランチ 左右各12回×2 → プランク 45秒×2 |
| 上級者 | レッグレイズ(脚を伸ばす)15回×3 → バイシクルクランチ 左右各15回×3 → クランチ(上で2秒止める)15回×2 → サイドプランク 左右各40秒×2 |
脚を上げる種目のようにきつく、腰を反らせやすい種目は、疲れていない最初に行うとフォームを保ちやすくなります。ほかの部位と組み合わせた1週間のメニューは初心者の1週間メニュー、10分で全身を回す場合は自宅でできる10分メニューを参考にしてください。息が上がる種目を入れたい場合はマウンテンクライマーも使えます。
腹筋の負荷はどう上げればいい?
腹筋は回数を増やすと楽になりやすい部位なので、慣れてきたら次の方法で負荷を上げてください。回数を増やすより、短い時間で限界に近づけます。
- ゆっくり動かす:上げる動きと下ろす動きに、それぞれ2〜3秒かけます
- 止める:クランチで上体を丸めきった所、レッグレイズで脚を下ろす途中で2秒止めます
- てこを長くする:レッグレイズは膝を曲げる形から脚を伸ばす形へ、デッドバグは腕と脚を遠くへ伸ばします
- 支える所を減らす:プランクで片脚を浮かせる、サイドプランクで上の脚を持ち上げます
- 休憩を短くする:同じ回数でも、セット間の休憩を60秒から45秒に縮めます
一度に複数の方法を変えるとフォームが崩れやすいので、変えるのは1回に1つにしてください。どの方法でも、腰が浮く、首に力が入るといった崩れが出たら、一段前のやり方に戻します。全身に共通する考え方は自重で負荷を上げる方法、回数とセットの決め方は自重トレーニングの回数・セット・頻度にまとめています。
腹筋で腰が痛くなる・首が疲れるのはなぜ?
腹筋運動のつらさは、腹筋以外の場所に力が逃げていることが原因の場合が多くあります。
- 脚を上げ下げするときに腰が反り、床から浮いている
- クランチで頭を手で引っぱり、首で起き上がっている
- 反動をつけて勢いで上体を起こしている
- 息を止めたまま続けている
- プランクで腰が落ちる、またはお尻が上がりすぎている
どの種目でも「腰と床のすき間をつぶす」意識を持ち、息を吐きながらお腹を縮めると、腹筋に効かせやすくなります。腰が浮いてしまう場合は、膝を曲げる、動かす範囲を小さくするなど、一段やさしいやり方に戻してください。
腰や首に痛みが出たら、その場で中止してください。腰痛の持病がある人、持病のある人、妊娠中や出産後まもない人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。運動中に胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止して休んでください。
よくある質問
腹筋を割るには何をすればいいですか?
腹直筋の境目が見えるかどうかは、筋肉の発達とともに、お腹の上の脂肪の量に大きく左右されます。腹筋の種目で筋肉を鍛えつつ、食事と全身の運動で体脂肪を減らすことが必要です。どのくらいの期間で変化が見えるかは個人差が大きく、目安は効果が出るまでの期間で解説しています。
腹筋は毎日やってもいいですか?
軽い回数であれば毎日行っても問題になりにくい部位ですが、限界近くまで行う日は間をあけた方が、毎回の質を保ちやすくなります。疲れや痛みが残るときは休んでください。考え方は自重トレーニングは毎日やっていい?にまとめています。
上体起こしとクランチはどちらがいいですか?
腰への負担を抑えたいなら、腰を床につけたまま行えるクランチから始めるのがおすすめです。上体を起こしきる動きは股関節を曲げる筋肉も多く使うため、腰に不安がある人は無理に行わないでください。
プランクとクランチは、どちらを優先すればいいですか?
目的によって変わりますが、どちらか一方に絞る必要はありません。プランクやデッドバグのような体を固める種目は、腰を反らせずに腹筋を使う土台づくりに向いており、クランチのような動かす種目は、腹直筋を縮める力を鍛えるのに向いています。初心者は、固める種目を先に1つ、動かす種目を後に1つ、という組み合わせから始めると、フォームを崩さずに両方を身につけられます。
下腹だけを鍛えることはできますか?
腹直筋は一つながりの筋肉なので、下側だけを切り離して鍛えることはできません。ただ、レッグレイズのように骨盤を持ち上げる種目は、下側を使う感覚をつかみやすい種目です。下腹のふくらみは脂肪や姿勢の影響も大きいことを知っておいてください。
自重トレーニングの全体像は自重トレ大全のトップから読めます。
出典
- Vispute SS, et al. 2011「The effect of abdominal exercise on abdominal fat」Journal of Strength and Conditioning Research
- Escamilla RF, et al. 2006「Electromyographic analysis of traditional and nontraditional abdominal exercises: implications for rehabilitation and training」Physical Therapy
- Bull FC, et al. 2020「World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour」British Journal of Sports Medicine
この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。