レッグレイズのやり方と効果|腰が反る人の注意点と回数の目安
レッグレイズ(Leg Raise)は、あお向けで脚を上げ下ろしして、下腹部と股関節の前の筋肉を使う種目です。脚を下ろしたときに腰が床から浮いて反る人は、ひざを曲げる・下ろす幅を小さくするところから始めると、腰への負担をおさえながら続けられます。
レッグレイズの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
レッグレイズはどこに効く?
レッグレイズで主に働くのは、おなかの前側の腹直筋と、股関節を曲げる腸腰筋などの筋肉です。脚という重いものを、股関節を支点に上げ下ろしするため、上体を丸めるクランチとは使われ方が少し違います。
ジュッカーとマクギルら(1998年)は、男女8人の深い筋肉に細い電極を入れて筋活動を測りました。その結果、上体を起こすタイプの腹筋運動では腸腰筋が全力時の15〜35%働いたのに対し、頭と肩だけを少し浮かせるカールアップでは10%未満でした。また腸腰筋は、股関節を曲げる力を強く出す動作で大きく働いていました。脚を上げ下ろしするレッグレイズは、この「股関節を曲げる」動作そのものなので、腸腰筋もしっかり使う種目だと考えられます。
腸腰筋の一部は腰の骨(腰椎)の前側についています。そのため、おなかの力が足りないまま脚を下ろすと、腸腰筋が腰の骨を前へ引き、腰が反りやすくなります。これが「レッグレイズで腰が痛くなる」と言われる理由の一つです。
腹筋全体の考え方は自重の腹筋メニューで、上体を丸める種目はクランチの記事でくわしく解説しています。
レッグレイズの正しいやり方は?
ポイントは「腰と床のすき間を小さく保ったまま、脚だけを動かす」ことです。次の手順で行います。
- あお向けに寝て、両腕を体の横に置き、手のひらを床に向けます。
- おへそを軽く背中側へ引き寄せるようにおなかに力を入れ、腰と床のすき間を小さくします(骨盤を少し後ろへ傾けるイメージ)。
- 両脚をそろえ、ひざを軽くゆるめたまま、脚が床とおよそ直角になるまで上げます。
- 息を吐きながら、3秒ほどかけてゆっくり脚を下ろします。腰が床から浮きそうになる手前で止めます。
- 息を吸いながら、脚をはじめの高さまで戻します。これを1回として繰り返します。
かかとを床につけずに次の回へ移ると、おなかの力が抜けにくくなります。反動で脚を振り上げず、上げるときも下ろすときも同じ速さを意識してください。動きの全体像は上の3Dアニメーションで、横からと正面から確かめられます。
腰が反る人はどうすればいい?
腰が反るのは、脚の重さにおなかの力が負けているサインです。まずは脚の重さを軽くする工夫で、腰を床に近づけたまま動ける範囲を探しましょう。
- ひざを曲げる: ひざを90度ほど曲げたまま上げ下ろしすると、脚の重さが体の近くに集まり、腰が反りにくくなります。
- 下ろす幅を小さくする: 床すれすれまで下ろさず、床から45度くらいの高さで折り返します。腰が浮く手前が、その日の範囲の終わりです。
- 片脚ずつ行う: 片方の脚はひざを立てて床につけたまま、もう片方だけを上げ下ろしします。
- 手で確かめる: 腰の下に手のひらを差し込み、手が押されている感覚が抜けたら、それ以上は下ろさないようにします。
- お尻の下に手を置く: 手のひらを下にしてお尻の下に入れると、骨盤が安定しやすくなります。
それでも腰に痛みが出る場合は、レッグレイズはいったん休み、手足を交互に動かすデッドバグで「腰を反らさずに手足を動かす」練習をしてから戻るのがおすすめです。
よくある間違いは?
- 反動で脚を振り上げ、振り子のように下ろしている
- 脚を下ろしたときに腰が床から大きく浮いている
- 首や肩に力が入り、あごが上がっている
- 息を止めたまま続けている
- 回数を優先して、下ろす速さが速くなっている
- 床にかかとをつけて休みながら行い、おなかの力が毎回抜けている
回数とセットの目安は?
はじめは「腰を反らさずに、ゆっくり下ろせる回数」が目安です。フォームがくずれる直前で止め、2〜3回の余裕を残して終えてください。
| レベル | やり方 | 回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者 | ひざを曲げて行う | 8〜10回 | 2セット | 60秒 |
| 中級者 | ひざを軽くゆるめ脚を伸ばして行う | 10〜15回 | 3セット | 60秒 |
| 上級者 | 下ろすときに4秒かける | 12〜15回 | 3セット | 60〜90秒 |
頻度は週2〜3日が目安です。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、自重で行う運動も含めた筋力トレーニングを、成人と高齢者に週2〜3日行うことを推奨しています。回数とセットの決め方は自重トレーニングの回数・セット・頻度、セット間の休み方はセット間休憩の記事も参考にしてください。
やさしくする・きつくする方法は?
やさしくするバリエーション
- ベントニーレッグレイズ: ひざを90度に曲げたまま行います。腰が反る人の出発点です。
- 片脚レッグレイズ: 片脚ずつ上げ下ろしし、脚の重さを半分にします。
- ヒールタップ: ひざを曲げた脚を交互に下ろし、かかとで床に軽くふれて戻ります。
きつくするバリエーション
- ゆっくり下ろす: 下ろす動作に4〜5秒かけます。回数を増やすより先に試したい方法です。
- リバースクランチ(Reverse Crunch): 脚を上げきったところで、お尻を床から少し浮かせて骨盤を胸の方へ丸めます。エスカミーラら(2006年)が健康な男女21人で調べた研究では、30度に傾けた台で行うリバースクランチは、腹直筋の上部・下部ともに高い活動を示しました。ただし同じ研究で、太ももの前の筋肉(大たい直筋)も大きく働き、腰に不安のある人には負担になりうると指摘されています。
- 止める: 脚を床から30cmほどの高さで2〜3秒止めてから戻します。
負荷の上げ方の考え方は自重で負荷を上げる方法にまとめています。
ほかの腹筋種目と組み合わせるべき?
組み合わせるのがおすすめです。アクスラーとマクギル(1997年)は9人に12種類の腹筋運動を行ってもらい、腹筋の活動と腰の骨にかかる圧迫の大きさを比べました。その結果、すべての腹筋を十分に使い、しかも腰の負担が小さいという一つの種目は見つからず、目的に合わせていくつかの種目を組み合わせる必要があると結論づけています。
たとえば、レッグレイズで下腹部と股関節の前を使い、クランチで上体を丸め、プランクで体をまっすぐ保つ、という組み合わせです。各種目の動きは3D種目図鑑で見比べられます。
腰や股関節に痛みが出たら、すぐに中止してください。腰痛などの持病がある人、妊娠中の人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。運動中に胸の痛み・息苦しさ・めまいを感じたら、すぐに中止して休んでください。
よくある質問
レッグレイズで下腹は引き締まりますか?
レッグレイズは下腹部の筋肉を使う種目ですが、おなかの脂肪だけを狙って減らせるわけではありません。見た目の変化には、全身の筋力トレーニング、日常の活動量、食事を合わせて整えることが大切です。
腰が痛くなるのはなぜですか?
おなかの力が脚の重さに負けると、股関節を曲げる腸腰筋が腰の骨を前へ引き、腰が反りやすくなるためと考えられます。ひざを曲げる、下ろす幅を小さくするなどで負荷を軽くし、それでも痛む場合は中止して医師に相談してください。
脚は床につけてもいいですか?
かかとを床につけるたびに休むと、おなかの力が抜けて負荷が下がります。床すれすれで折り返すのが理想ですが、腰が浮くならもっと高い位置で折り返してかまいません。
毎日やってもいいですか?
軽い負荷なら毎日でも続けられますが、筋肉を休める日を入れる方が回復しやすくなります。目安は週2〜3日です。考え方は自重トレーニングは毎日やっていい?で解説しています。
何回できれば次のレベルに進めますか?
いまのやり方で、腰を反らさずに15回を3セットできるようになったら、次のバリエーションへ進む目安です。進んだ直後は回数が減っても問題ありません。ほかの自重トレについては自重トレ大全のトップから探せます。
出典
- 厚生労働省 2023「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 筋力トレーニングについて」
- Juker D, McGill S, et al. 1998「Quantitative intramuscular myoelectric activity of lumbar portions of psoas and the abdominal wall during a wide variety of tasks」Med Sci Sports Exerc
- Axler CT, McGill SM 1997「Low back loads over a variety of abdominal exercises: searching for the safest abdominal challenge」Med Sci Sports Exerc
- Escamilla RF, et al. 2006「Electromyographic analysis of traditional and nontraditional abdominal exercises: implications for rehabilitation and training」Phys Ther
この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。