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クランチのやり方と効果 腰を痛めにくい正しいフォームと回数・セット数を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 9分
トレーニングをする人
SUMMARY|この記事の要約

クランチの効果と正しい手順、上体起こし(シットアップ)との違い、腰と首を痛めにくくするコツ、回数・セット数の目安、負荷の上げ方を、腰への負担と筋活動を測った研究、ACSMの指針をもとに整理しました。

クランチは、仰向けで膝を立て、腰を床につけたまま、みぞおちを丸めるようにして肩甲骨が床から浮くところまで上体を持ち上げる腹筋の種目である。上体を起こしきる上体起こし(シットアップ)に比べて、腰の奥の筋肉への依存と背骨への負担を抑えやすいことが研究で示されている。まずは反動を使わずに15〜20回を2〜3セットできることを目安にし、楽になったら下ろす動作を遅くするなどして負荷を上げる。

クランチにはどんな効果がある?

クランチの主な効果は、お腹の前面にある腹直筋を中心に、腹筋の筋力と筋持久力を高めることである。

腹直筋は、みぞおちから恥骨までを縦に走る筋肉で、背骨を前に丸める働きを持つ。クランチ(Crunch)は、この「背骨を丸める」動きだけを取り出した種目で、股関節を曲げて上体を起こしきる動きは含まない。脇腹の外腹斜筋や内腹斜筋も補助として働く。

一方で、クランチだけでお腹の脂肪が落ちるわけではない。米国のビスピュートらの2011年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research誌)では、運動習慣のない24人のうち腹筋運動群が7種類の腹筋運動を2セット×10回、週5日、6週間行ったが、体脂肪率や腹囲、お腹の皮下脂肪は対照群と差がなかった。一方で、試験後に測った腹筋の持久力(カールアップの回数)は、腹筋運動群の方が多かった(47回と32回)。お腹まわりの脂肪と部分やせの考え方は、部分やせの効果を検証したメタ分析の解説や、腹筋の鍛え方で詳しく扱っている。

クランチの正しいやり方は?

腰を床につけたまま、頭から順に背中を丸めて肩甲骨を浮かせ、2秒ほどかけて元に戻すのが正しいやり方である。

  1. 仰向けになる:床やマットに仰向けになり、膝を90度ほどに曲げて足裏を床につける。足は腰幅に開く。
  2. 手の位置を決める:初めは両手を胸の前で交差させる。慣れたら指先を耳の横に軽く添える。頭の後ろで手を組んで引っ張ることはしない。
  3. 腰を床につける:お腹に軽く力を入れ、腰と床の間のすき間を小さくする。あごは軽く引き、こぶし1つ分ほど胸との間をあける。
  4. 背中を丸める:息を吐きながら、みぞおちをおへそに近づけるつもりで、頭、首、肩の順に背中を丸めて持ち上げる。肩甲骨の下の端が床から浮けば十分である。
  5. 上で止める:腹筋が最も縮んだ位置で1秒ほど止める。腰は床から浮かせない。
  6. ゆっくり戻す:息を吸いながら、2秒ほどかけて背中を一つずつ床に戻す。頭が床につく直前で次の回へ入ると、腹筋の緊張が抜けにくい。

上体起こし(シットアップ)とどう違う?

上体起こしは背骨を丸める動きに加えて股関節を曲げて上体を起こしきる種目で、クランチは背骨を丸める範囲だけで止める種目である。この違いが、腰への負担と使われる筋肉に表れる。

カナダのアクスラーとマギルの1997年の研究(Medicine and Science in Sports and Exercise誌)は、9人が12種類の腹筋運動を行い、腹筋の筋活動と腰の背骨にかかる圧縮の力を比べた。腹筋への刺激に対して背骨への負担が小さいという点では、上体を途中まで丸める「部分的なカールアップ」が最も効率がよかった。一方で、一つの種目だけで腹筋全体を鍛えつつ背骨への負担を最小にすることはできず、目的に応じて複数の種目を組み合わせる必要があるとも結論している。

ジュッカーらの1998年の研究(同誌)では、8人の体の奥に細い電極を入れて筋活動を測った。腰の骨から太ももの付け根につながる大腰筋の活動は、どの方法の上体起こしでも最大値の15〜35%だったのに対し、カールアップでは10%未満にとどまった。大腰筋は腰の骨を前に引く力を持つため、腰に不安がある人は、上体を起こしきる種目よりクランチから始める方が取り入れやすい。

何回・何セットが目安?初心者・中級者のメニュー例

初心者は反動を使わずに15〜20回を2〜3セット、中級者は負荷を足して10〜15回で限界の1〜3回手前になる強さを3セットが目安になる。

米国スポーツ医学会(ACSM)の2026年の公式見解(Currierら、137本の系統的レビュー、3万人超のまとめ)は、筋肥大には週10セット以上の量が有利と整理した。腹筋も他の筋肉と同じく、回数だけを増やし続けるより、負荷を上げて10〜20回程度で十分にきつくなる強さに調整する方が、筋肉への刺激を保ちやすい。週2〜3回、プランクのような姿勢を保つ種目や、レッグレイズのような脚を動かす種目と組み合わせるとよい。

レベル 種目 回数 セット 休憩
初心者(週2〜3回) クランチ(手は胸の前) 15〜20回 2〜3 60秒
初心者(週2〜3回) プランク 20〜30秒 2〜3 60秒
中級者(週2〜3回) クランチ(プレートを胸に抱える、または下ろす動作3秒) 10〜15回(余力1〜3回) 3 60〜90秒
中級者(週2〜3回) ケーブルクランチ(ひざ立ち) 10〜15回 2〜3 60〜90秒

負荷を上げる方法は、手の位置を胸の前から耳の横へ移す、下ろす動作に3秒かける、上で2秒止める、プレートやダンベルを胸に抱える、の順に段階を踏むとよい。米国のスターンリクトらの2007年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research誌)では、41人がバランスボールの上でクランチを行い、ボールを腰の下に置いたときの腹筋の活動は、床で行う通常のクランチより高く、ボールを肩甲骨の下に置いたときの約2倍だった。ボールの位置によって負荷が大きく変わるため、自分の段階に合わせて選ぶことが大切だ。

よくある間違いとチェックポイントは?

多いのは「頭の後ろで手を組んで首を引っ張る」「反動で上体を起こしきる」「回数ばかりを追う」の3つである。

  • 首を引っ張る:頭の後ろで手を組んで引くと、首に負担がかかり、腹筋への負荷も減る。手は胸の前か耳の横に添えるだけにする。
  • あごを引きすぎる・上げすぎる:あごが胸につくほど引くと首が詰まり、天井を見上げると首が反る。あごと胸の間にこぶし1つ分のすき間を保つ。
  • 腰が床から浮く:上体を起こしすぎると股関節が曲がり、上体起こしになる。肩甲骨が浮いたところで止める。
  • 反動を使う:勢いで起き上がると、腹筋が働く時間が短くなる。上げる・下ろすをそれぞれ2秒ほどで行う。
  • 息を止める:上げるときに吐き、下ろすときに吸う。息を止めると血圧が上がりやすい。
  • 回数だけを追う:50回、100回と回数を増やすより、負荷を上げて10〜20回できつくなる強さにする方が効率がよい。

体幹全体の役割や、腹筋以外の種目の選び方は体幹トレーニングの効果とやり方も参考になる。

安全に行うための注意点は?

首や腰に痛みが出る場合は、動く範囲を小さくするか中止し、痛みの出ない種目に切り替えることが基本である。

腰痛のある人や、椎間板ヘルニアなど背骨の持病がある人、妊娠中や出産後の人は、背中を丸める動きが合わない場合があるため、始める前に医師に相談してほしい。食後すぐは避け、硬い床では背中の下にマットを敷く。運動中に胸の痛みや息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止する。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨し、特定の部位だけでなく胸、背中、腹、脚などの大きな筋群を全身まんべんなく鍛えることを勧めている。クランチはその中で腹を担う種目の一つと位置づけるとよい。

よくある質問

クランチは毎日やってもいいですか?

回数が少なく負荷が軽ければ毎日でも大きな問題は起きにくいですが、負荷を上げて行う場合は週2〜3回で十分です。筋肉痛が残る日は休み、ほかの体幹種目に切り替えてください。

クランチで腹筋は割れますか?

腹筋が割れて見えるかどうかは、腹直筋の発達に加えて、お腹の皮下脂肪の量に大きく左右されます。6週間の研究では腹筋運動だけでお腹の脂肪は減りませんでした。クランチに加えて、全身の筋トレと食事の見直しが必要です。

上体起こしとどちらがいいですか?

腰への負担を抑えたいならクランチが選びやすい種目です。研究では、上体を途中まで丸める動きは腹筋への刺激に対する背骨への負担が小さく、腰の奥の大腰筋の活動も上体起こしより低くなりました。

首が痛くなるのはなぜですか?

頭の後ろで手を組んで引っ張ったり、あごを強く引きすぎたりしていることが多い原因です。手を胸の前で交差させ、あごと胸の間にこぶし1つ分のすき間を保ってください。痛みが続く場合は中止して医師に相談してください。

何回できれば十分ですか?

回数の目標より、反動を使わずに10〜20回できつくなる強さで行うことが大切です。20回以上楽にできるようになったら、下ろす動作を遅くする、重りを抱えるなどして負荷を上げてください。

KINNIKU TIMESの視点

クランチは、器具がなくても腹直筋を鍛えられ、上体起こしより腰への負担を抑えやすい基本の腹筋種目である。成果を左右するのは回数より、腰を床につけたまま背中を丸めること、首を引っ張らないこと、反動を使わずにゆっくり動かすことの3点だ。研究では、一つの種目で腹筋全体を鍛えることは難しいとされており、クランチにレッグレイズやプランクを組み合わせ、楽になったら負荷を上げながら週2〜3回続けるのが現実的である。


出典:Axler CT, McGill SM. Med Sci Sports Exerc. 1997;29(6):804-11/Juker D, et al. Med Sci Sports Exerc. 1998;30(2):301-10/Vispute SS, et al. J Strength Cond Res. 2011;25(9):2559-64/Sternlicht E, et al. J Strength Cond Res. 2007;21(2):506-9/Currier BS, et al. ACSM Position Stand. Med Sci Sports Exerc. 2026;58(4):851-872/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」筋力トレーニングについて

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