プランクの効果と時間の目安 正しいやり方と何秒続けるべきかを研究で解説
プランクで期待できる効果と限界、正しいやり方、何秒・何セット続けるかの目安、腰が落ちるなどのよくある間違い、負荷の上げ方を、471人の測定研究や筋電図研究をもとに整理しました。
プランクは、肘とつま先で体を支え、頭からかかとまでを一直線に保つことで、お腹まわりの筋肉の持久力を高める種目である。時間の目安は、正しい姿勢を保てる20〜60秒を2〜3セットで、長く続けることより姿勢を崩さないことが優先される。一方で、お腹の種目だけでお腹の脂肪を落とせるという根拠はなく、体脂肪を減らすには食事と全身の運動が欠かせない。
プランクにはどんな効果がある?
プランクで主に期待できるのは、体幹の筋持久力、つまり背骨をまっすぐに保ち続ける力の向上である。主に働くのはお腹の前の腹直筋、脇腹の腹斜筋、奥にある腹横筋で、肩まわりやお尻、太ももの筋肉も体を支えるために使われる。
体幹の筋持久力を測る方法としてもプランクは使われている。カナダのマギルらの1999年の研究(Archives of Physical Medicine and Rehabilitation誌)は、健康な若者75人で、体を反らす・丸める・横に支える姿勢をどれだけ保てるかを測り、再測定の信頼性が高い(相関係数0.97超)ことを示した。体幹の各方向の持久力のバランスを見ることが、評価やトレーニングの目標づくりに役立つとまとめている。
一方、お腹の脂肪については別に考える必要がある。ヴィスピュートらの2011年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research誌)では、運動習慣のない24人が週5日・6週間、7種類の腹筋運動を行ったが、体重、体脂肪率、お腹まわりの脂肪や腹囲は対照群と差がなかった。腹筋の持久力(上体起こしの回数)は向上した。部分やせの考え方については「部分やせ」の効果を検証した記事で詳しく紹介している。
プランクの正しいやり方は?
肘を肩の真下に置き、お腹とお尻に力を入れて、頭からかかとまでを一直線に保つのが正しいやり方である。
- うつ伏せになる:床にマットを敷き、うつ伏せになる。
- 肘を肩の真下に置く:前腕を床につけ、肘が肩の真下に来るようにする。手は軽く握るか、手のひらを床につける。
- 体を持ち上げる:つま先を立て、お腹に力を入れて体を床から持ち上げる。足は腰幅か、それより少し狭く開く。
- 一直線を作る:頭・肩・腰・かかとが一直線になるようにする。目線は床、首は背中の延長線上に置く。
- お尻とお腹を締める:お尻を軽く締め、おへそを背骨に近づけるようにお腹に力を入れる。腰が反らないよう、骨盤をわずかに後ろへ傾ける。
- 呼吸を止めない:浅くてもよいので呼吸を続ける。息を止めると血圧が上がりやすい(息こらえ「バルサルバ法」の解説)。
- 崩れたら終わる:腰が落ちる、お尻が上がる、震えで姿勢を保てなくなったら、その時点でセットを終える。
プランクは何秒・何セットが目安?
初心者は正しい姿勢で20〜30秒を2〜3セット、慣れたら45〜60秒を目安にし、それ以上楽にできるようになったら時間を延ばすより負荷を上げるのが現実的である。
ストランドらの2014年の研究(Journal of Human Kinetics誌)では、大学生471人が肘をついたプランクを限界まで続け、平均は男性124秒、女性83秒だった。運動している学生(アスリート)は平均123秒、そうでない学生は83秒で、週3回を超える運動習慣がある人ほど長く続けられる傾向が見られた。この数字は「限界まで続けた時間」であり、トレーニングとして毎回ここまで行う必要はない。
トレーニングとしては、姿勢を崩さずに保てる時間でセットを区切るほうが、腰への負担を抑えながら質を保ちやすい。たとえば限界が60秒の人なら、30〜45秒を2〜3セットにすると、最後まで一直線を保ちやすい。2分以上楽に続けられるようになったら、次の項で紹介する方法で強度を上げるとよい。
| レベル | 種目 | 時間・回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者(週2〜3回) | 膝つきプランク | 20〜30秒 | 2〜3 | 30〜60秒 |
| 初心者(週2〜3回) | プランク(肘とつま先) | 20〜30秒 | 2〜3 | 60秒 |
| 中級者(週2〜3回) | プランク(骨盤を後ろへ傾けて締める) | 30〜45秒 | 3 | 60秒 |
| 中級者(週2〜3回) | サイドプランク | 左右各20〜40秒 | 2〜3 | 60秒 |
サイドプランクも必要?
正面のプランクだけでなく、体を横向きに支えるサイドプランクも加えると、体幹を前後左右からバランスよく鍛えやすい。
前述のマギルらの1999年の研究では、横向きに体を支える「サイドブリッジ」を保てる時間は、男性で体を反らす姿勢の65%、丸める姿勢の99%、女性ではそれぞれ39%、79%だった。男女で持久力の配分が異なり、方向ごとの差を確かめることが評価の目安になると著者らは述べている。サイドプランクは、横向きに寝て肘を肩の真下につき、腰を持ち上げて頭から足までを一直線に保つ。左右で保てる時間に大きな差があれば、弱い側を基準に時間をそろえるとよい。
プランクの負荷を上げるには?
時間を延ばす代わりに、肘を前に出す、骨盤を後ろへ傾けて締める、不安定な道具を使うといった方法で負荷を上げられる。
シェーンフェルドらの2014年の研究(Sports Biomechanics誌)では、19人が4種類のプランクを30秒ずつ行った。肘を通常より前に置く「ロングレバー」と、骨盤を後ろへ傾ける「ポステリアチルト」を組み合わせたプランクは、通常のプランクより腹直筋上部、下腹部、外腹斜筋の活動が高かった。差を生んだのは主に肘を前に置く要素だった。
スナーとエスコの2014年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research誌)では、12人がバランスボールや吊り下げ式の器具を使ったプランクを行い、通常のプランクより腹部の筋活動が高くなった。ただし腰の筋肉(脊柱起立筋)の活動も上がったため、著者らは腰に不安がある人は注意するよう述べている。まずは床で姿勢を固め、そのうえで段階的に難しくするのが安全だ。体幹を横にねじらせない力を鍛えたいなら、片手で重りを引くダンベルロウも選択肢になる。
よくある間違いとチェックポイントは?
多いのは「腰が落ちる」「お尻が上がる」「息を止める」の3つである。
- 腰が落ちる:お腹の力が抜けて腰が反り、負担が腰に集まる。お尻を締め、骨盤をわずかに後ろへ傾ける。
- お尻が上がる:楽になる代わりにお腹への負荷が抜ける。横から見て一直線か、鏡や動画で確かめる。
- 肘の位置がずれる:肘が肩より後ろにあると肩がすくみやすい。肘は肩の真下に置く。
- 首が下がる・上がる:頭が下がる、前を見上げると首に力が入る。目線は床に向ける。
- 息を止める:呼吸を止めると血圧が上がりやすい。浅くても呼吸を続ける。
- 時間だけを追う:崩れた姿勢で長く続けても、狙いから外れやすい。崩れたらセットを終える。
安全に行うための注意点は?
腰や肩に痛みが出る場合は無理をせず、膝つきのプランクや時間を短くした形で行うことが基本である。
腰痛や肩の痛みがある人、高血圧などの持病がある人、妊娠中の人は、事前に医師に相談してほしい。運動中に胸の痛みや息苦しさ、めまいを感じたらすぐに中止する。プランクは体幹の一部を鍛える種目にすぎないため、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が勧める週2〜3日の筋力トレーニングの一部として、全身の種目と組み合わせて取り入れたい。全身の組み方は分割法の組み方の解説が参考になる。重い重さを扱う種目での腹圧のかけ方はトレーニングベルトの解説でも触れている。
よくある質問
プランクは毎日やってもいいですか?
負荷の軽い種目なので、姿勢を崩さずにできていれば毎日行う人もいます。ただし腰や肩に痛みや疲れが残る場合は休みを入れ、週2〜3回から始めると無理がありません。
プランクでお腹の脂肪は落ちますか?
お腹の運動だけでお腹の脂肪が減るという根拠はありません。24人が6週間腹筋運動を行った研究でも、お腹の脂肪や腹囲は変わりませんでした。食事の調整と全身の運動を組み合わせることが大切です。
何分できれば合格ですか?
決まった基準はありません。大学生471人を測った研究では、限界まで続けた平均は男性124秒、女性83秒でした。トレーニングでは、正しい姿勢で保てる時間を基準にしてください。
長くできるようになったら時間を延ばすべきですか?
2分以上楽に続けられるなら、時間を延ばすより、肘を前に出す、骨盤を後ろへ傾けて締めるなどで負荷を上げる方法があります。19人の研究では、この組み合わせで腹部の筋活動が高まりました。
腰が痛くなるのはなぜですか?
お腹の力が抜けて腰が反っていることが多い原因です。お尻を締め、骨盤をわずかに後ろへ傾けてください。それでも痛む場合は中止し、医師に相談しましょう。
KINNIKU TIMESの視点
プランクは道具も場所も選ばず、体幹の持久力を高める入り口として使いやすい種目だが、時間の長さを競う種目ではない。大切なのは、頭からかかとまでを一直線に保てる時間でセットを区切ること、楽になったら時間ではなく形で負荷を上げることである。また、お腹の脂肪を減らす手段ではないという限界も知っておきたい。週2〜3回の全身の筋トレの中に、仕上げの1種目として組み込むのが現実的な使い方だ。背中の種目を加えるなら、ラットプルダウンやダンベルロウがよい組み合わせになる。
出典:Strand SL, et al. J Hum Kinet. 2014;40:93-102/McGill SM, et al. Arch Phys Med Rehabil. 1999;80(8):941-4/Vispute SS, et al. J Strength Cond Res. 2011;25(9):2559-64/Schoenfeld BJ, et al. Sports Biomech. 2014;13(3):296-306/Snarr RL, Esco MR. J Strength Cond Res. 2014;28(11):3298-305/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
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