ダンベルロウのやり方 正しいフォームと重量・回数の目安、間違いを研究で解説
ダンベルロウ(ワンハンドロウ)の正しい手順、肘を引く方向で変わる効き方、重量・回数・セット数の目安、背中が丸まる・体がねじれるといった間違いの直し方を、筋電図研究とACSMの指針をもとに整理しました。
ダンベルロウは、ベンチに片手と片膝をついて背中を平らに保ち、反対の手に持ったダンベルを、肘を後ろへ引くようにして腰の横まで引き上げる背中の種目である。ベンチで体を支えるため、立ったまま前かがみで行うバーベルのロウより腰への負担を抑えやすい。重さは10回前後で限界の1〜3回手前になるものを選び、左右それぞれ2〜3セットから始めるのが目安だ。
ダンベルロウで鍛えられる筋肉は?
主に鍛えられるのは、背中の広背筋、肩甲骨の間にある僧帽筋の中部と菱形筋、肩の後ろの三角筋後部で、腕の上腕二頭筋も補助として働く。ダンベルロウ(Dumbbell Row)は、片手ずつ行うことから「ワンハンドロウ」とも呼ばれる。
レーマンらの2004年の研究(Dynamic Medicine誌)では、プルダウンやシーテッドロウなど背中の種目を比べ、僧帽筋中部と菱形筋の活動は座って体の前から引くシーテッドロウで最も高かった。上から引き下ろすラットプルダウンが背中の「広がり」を、体の前から引くロウ系が肩甲骨まわりの「厚み」を担う、と考えると組み合わせやすい。ただし種目による筋活動の違いは小さいとも報告されており、どちらか一方で背中が鍛えられないわけではない。
ダンベルロウの正しいやり方は?
ベンチで体を固定し、背中を平らにしたまま、肘を腰の方へ引き上げるのが正しいやり方である。
- 体を支える:平らなベンチの横に立ち、右手でダンベルを持つ場合は、左手と左膝をベンチにつく。左手は肩の真下、左膝は股関節の真下に置く。
- 足を置く:右足は床につき、少し外側に開いて体を安定させる。
- 背中を平らにする:胸を軽く張り、頭から腰までがほぼ床と平行な一直線になるようにする。目線は床の少し前に向ける。
- 腕を下ろす:ダンベルを持った腕を肩の真下にまっすぐ下ろし、肩甲骨が軽く前に出る位置から始める。
- 肘を引く:息を吐きながら、肘を天井と腰の間あたりへ向けて引き、ダンベルを腰の横まで引き上げる。肩甲骨を背骨の方へ寄せる。
- ゆっくり下ろす:2〜3秒かけて腕が伸びるところまで下ろす。肩甲骨が前に出るのを感じたら次の回に入る。
- 左右を入れ替える:決めた回数を終えたら、反対側も同じ回数行う。
肘を引く方向で効き方は変わる?
肘を体に近づけて腰の方へ引くと広背筋寄りに、肘を外に開いて肩の高さの方へ引くと、肩甲骨まわりや肩の後ろ寄りに効きやすいとされる。
これは肘を動かす方向で、主に働く関節の動きが変わるためだ。肘を体に沿わせて後ろへ引く動きは、広背筋が担う「腕を体の横へ引きつける」動きに近い。肘を外に開いて引く動きは、三角筋後部や僧帽筋中部が担う「腕を横から後ろへ引く」動きに近くなる。研究で筋肥大の差が確かめられているわけではないため、背中全体を狙うなら、まずは肘を体から少し離した中間の軌道で行い、慣れてから目的に応じて変えるとよい。
引くときに「背中の筋肉を意識する」ことの効果については、マインドマッスルコネクションの研究の解説で紹介している。握る位置の違いで変わる筋肉の使われ方は、懸垂の順手と逆手の研究も参考になる。
ほかのロウとの違いは?
立って前かがみで行うバーベルのベントオーバーロウに比べ、ダンベルロウは体を支えられるぶん腰への負担を抑えやすく、片側ずつ動かすため体幹のねじれに耐える力も求められる。
カナダのフェンウィックらの2009年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research誌)では、健康な男性7人で3種類のロウを比べた。立って前かがみで行うベントオーバーロウは背中全体の筋活動が大きい一方、腰の背骨にかかる負担が最も大きかった。片手で引くケーブルロウは体幹のねじれに耐える力を強く求め、斜めに寝て体を引き上げるインバーテッドロウは背骨への負担が最も小さかった。ベンチで体を支えるダンベルロウは、この研究で比べた種目そのものではないが、手と膝で上体を支えることで腰の筋肉に頼る割合を減らせる点が特徴だ。
ベンチがない自宅ではどうやる?
ベンチがなければ、足を前後に開いて立ち、空いた手を安定した椅子や台、または前に出した脚の太ももに置いて上体を支える方法で行える。
このやり方では、膝を軽く曲げ、股関節から上体を前に倒して背中を平らに保つ。支えの手が低すぎると背中が丸まりやすいので、腰の高さ前後の台を使うと姿勢を作りやすい。ダンベルが1つしかなくても片側ずつ行えるため、自宅で背中を鍛える種目として取り入れやすい。重さが足りない場合は、下ろす動作に3秒ほどかける、上で1秒止めるといった工夫で、軽いダンベルでも負荷を高められる。
重量・回数・セット数の目安は?
筋肥大が目的なら、片側8〜12回で限界の1〜3回手前になる重さを2〜4セット、背中全体で週10セット以上が目安になる。
米国スポーツ医学会(ACSM)の2026年の公式見解(Currierら、137本の系統的レビュー、3万人超のまとめ)は、筋力を高めるには1RMの80%以上の重さ、全可動域、2〜3セット、週2回以上が有利とし、筋肥大には週10セット以上の量が有利と整理した。シェーンフェルドらの2017年のメタ分析(15研究)でも、週のセット数を増やすほど筋肉の増え方が大きくなる関係が示されている。週のセット数の考え方は週何セットが必要かの解説にまとめている。
| レベル | 種目 | 回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者(週2回) | ダンベルロウ | 片側10〜12回(余力2〜3回) | 2〜3 | 左右交互で60〜90秒 |
| 初心者(週2回) | ラットプルダウン | 10〜12回 | 2 | 90秒〜2分 |
| 中級者(週2回) | ダンベルロウ | 片側6〜10回(余力1〜2回) | 3〜4 | 2分 |
| 中級者(週2回) | ダンベルロウ(肘を外に開く) | 片側12〜15回 | 2 | 90秒 |
決めた回数を左右とも全セットこなせたら、次回はダンベルを1〜2kg重くするのが目安だ。重くするとフォームが崩れる場合は、先に回数を1〜2回増やしてから重さを上げる。重さの上げ方はプログレッシブオーバーロードの解説が参考になる。
よくある間違いとチェックポイントは?
多いのは「背中が丸まる」「体をねじって引く」「腕だけで引く」の3つである。
- 背中が丸まる:腰や背中が丸まると、背骨に負担が集まりやすい。胸を軽く張り、頭から腰までを一直線に保つ。
- 体をねじって引く:重すぎると、上体をひねって反動で持ち上げてしまう。肩のラインが床と平行のまま動くか確かめる。
- 腕だけで引く:手首が曲がり、肘より先に手が動いているサイン。「手は引っかけるだけ、肘を引く」と考える。
- 肩がすくむ:肩が耳に近づくと首まわりに力が入る。引く前に肩を下げる。
- 可動域が狭い:下ろすときに腕が伸びきらない、引き上げが浅いと、使える範囲が狭まる。重さを下げて全可動域で行う。
- 握力が先に尽きる:背中より先に手が疲れる場合は、補助具を使う選択肢もある(リフティングストラップの研究)。
安全に行うための注意点は?
腰や肩に痛みがある日は、重さを下げるか中止し、痛みの出ない範囲で行うことが基本である。
ダンベルを床から持ち上げるときや戻すときは、背中を丸めずに膝を曲げて扱う。腰痛や肩の持病、けがや手術の経験がある人は、事前に医師に相談してほしい。運動中に胸の痛みや息苦しさ、めまいを感じたらすぐに中止する。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しており、ダンベルロウはジムでも自宅でも取り入れやすい背中の種目の一つになる。
よくある質問
ダンベルロウは何kgから始めればいいですか?
決まった重さはありません。背中を平らに保ったまま片側10〜12回でき、あと2〜3回できる余力が残る重さを選んでください。全セットこなせたら1〜2kgずつ重くします。
ベンチがない場合はどうすればいいですか?
安定した椅子や台に片手をついて行う方法や、足を前後に開いて立ち、片手を太ももや台に置いて行う方法があります。どちらでも背中を平らに保つことが大切です。
左右で差がある場合はどうすればいいですか?
弱い側から始め、その回数に強い側を合わせると、差が広がりにくくなります。片側ずつ行えることは、ダンベルロウの利点の一つです。
バーベルのベントオーバーロウとどちらがいいですか?
男性7人の研究では、立って前かがみで行うベントオーバーロウは背中全体の筋活動が大きい一方、腰の背骨への負担が最も大きくなりました。腰への負担を抑えたいなら、体を支えられるダンベルロウが選びやすいでしょう。
週に何回やればいいですか?
週2回を基本に、ラットプルダウンなどほかの背中の種目と合わせて週10セット前後が目安です。ACSMの2026年の指針でも、筋肥大には週10セット以上の量が有利とされています。
KINNIKU TIMESの視点
ダンベルロウは、体を支えながら片側ずつ背中を鍛えられるため、腰への負担を抑えつつ重さを伸ばしやすい種目である。成果を左右するのは重さより、背中を平らに保つこと、体をねじらないこと、肘から引くことの3点だ。研究では背中の種目ごとの筋活動の差は小さいとされており、特定の種目にこだわるより、ラットプルダウンのような上から引く種目と組み合わせ、週10セット前後を継続する方が現実的である。
出典:Fenwick CM, et al. J Strength Cond Res. 2009;23(2):350-8/Lehman GJ, et al. Dyn Med. 2004;3(1):4/Currier BS, et al. ACSM Position Stand. Med Sci Sports Exerc. 2026;58(4):851-872/Schoenfeld BJ, et al. J Sports Sci. 2017;35(11):1073-1082/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
この記事の次に読まれている記事
筋トレに使える無料ツール
コメント
この記事について思ったことを書けます。誤解を招くのを避けるため、誘導のある宣伝、他者への中傷、個人情報、法令に反する内容は公開しません。体調や治療に関わる判断は、必ず専門家にご相談ください。