筋トレは何分やるべき?1回の時間の目安と計算法、短縮のこつを研究で解説
筋トレは1回何分やればよいか。厚生労働省、WHO、ACSMの指針、筋トレ時間と健康リスク・セット数と筋肥大を調べたメタ分析をもとに、時間の計算法、短縮のこつ、20分・45分・60分のメニュー例をまとめた。
筋トレ1回の時間は、ウォームアップを含めて初心者で30〜45分、中級者で45〜75分ほどが現実的な目安である。ただし研究や指針が示す効果の決め手は「何分やったか」ではなく、週に何日、部位ごとに何セット行ったかである。時間は、行うセット数と休憩時間からほぼ計算でき、短い時間でも組み方を工夫すれば効果は得られる。
筋トレは1回何分やればいい?
まず週あたりの量から考える。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人と高齢者に筋トレを週2〜3日行うことを推奨し、世界保健機関(WHO)の2020年の指針(Bullら)も、すべての年代で定期的な筋力向上の運動を勧めている。米国スポーツ医学会(ACSM)の2009年の公式見解は、初心者に週2〜3日、中級者に週3〜4日を勧めている。
健康面では、長時間は必要ない。Mommaらの2022年のメタ分析(16のコホート研究、『British Journal of Sports Medicine』)では、筋トレをしている人は総死亡や心血管疾患などのリスクが10〜17%低く、総死亡・心血管疾患・がんでは週30〜60分ほどでリスクの低下が最も大きく(約10〜20%)、それより多い量の影響ははっきりしなかった。長期の追跡研究については約15万人を追跡したハーバードの研究の解説も参考になる。
筋肉を大きくしたい場合は、もう少し量が必要になる。Schoenfeldらの2017年のメタ分析(15研究、『Journal of Sports Sciences』)では、週のセット数が多いほど筋肥大が大きく、1セット増えるごとに増加率が約0.37%上乗せされる関係が見られた。週2〜3回で部位ごとに週10セット前後を行うと、1回の練習はおおむね45〜60分になる。
筋トレの時間はどうやって計算する?
「セット数×(1セットの時間+休憩)+ウォームアップ」で見積もれる。1セットの動作は30〜60秒ほどで、休憩を含めると1セットあたり2〜3分になることが多い。
- その日の種目とセット数を決める:たとえば4種目×3セット=12セット。
- 種目ごとの休憩を決める:重い多関節種目は2〜3分、軽い単関節種目は1〜2分を目安にする(インターバルの目安)。
- 1セットあたりの時間を足す:動作40秒+休憩2分なら約2分40秒。12セットで約32分になる。
- ウォームアップを加える:軽い有酸素運動と種目の軽いセットで5〜10分。
- 種目の移動や準備の時間を足す:器具の準備や移動で1種目あたり1〜2分。
- 合計が使える時間を超えたら削る:休憩を一律に縮める前に、種目数を減らすか組み方を変える。
この例では、ウォームアップ8分、12セット約32分、移動6分で合計約46分になる。
長くやるほど効果は高い?
ある程度までは量を増やすほど筋肥大は大きくなるが、時間を延ばすことそのものが目的ではない。長く感じる原因の多くは、休憩が長すぎる、スマートフォンを見ている、同じ部位の似た種目を重ねている、といった「量に結びつかない時間」である。
また、健康面ではMommaらの分析のように、週の筋トレ時間が多すぎる場合の上乗せははっきりしていない。疲れが抜けない、記録が落ち続けるといったサインがあれば、時間や量を減らすほうがよい。量の上げすぎによる影響はオーバートレーニングの解説にまとめている。
時間がないときはどう短くする?
Iversenらの2021年の総説(『Sports Medicine』)は、時間を効率よく使う方法として、次の点を挙げている。
- 両脚・両腕を使う多関節種目を優先する:少なくとも脚で押す種目(スクワットなど)、上半身で引く種目(懸垂など)、上半身で押す種目(ベンチプレスなど)を1つずつ入れる。
- 部位ごとに週4セット以上を確保する:6〜15回で限界に近づく負荷を使う。
- スーパーセットなどを使う:スーパーセット、ドロップセット、レストポーズ法は、量を保ったまま練習時間をおよそ半分にできるとしている(ただし筋力より筋肥大に向く可能性がある)。
- ウォームアップは種目の軽いセットに絞る:ストレッチは柔軟性を高めることが目的のときに優先する。
スーパーセットの効果は19研究のメタ分析の解説、1日の中で分けて行う方法は細切れ筋トレの試験の解説で紹介している。ストレッチの入れ方はストレッチは前と後どっちかのガイドを参照してほしい。
時間別の初心者・中級者のメニュー例は?
| 時間・対象 | 種目 | 回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 20分(初心者・忙しい日) | ゴブレットスクワット(Goblet Squat)+腕立て伏せ(Push-up)を交互に | 各10〜12回 | 3 | 種目間30秒、1周後1分30秒 |
| 20分(初心者・忙しい日) | ダンベルロウ(Dumbbell Row)+プランク(Plank)を交互に | 10〜12回/30秒 | 3 | 種目間30秒、1周後1分 |
| 45分(初心者) | レッグプレス(Leg Press)、チェストプレス(Chest Press)、ラットプルダウン(Lat Pulldown)、ショルダープレス(Shoulder Press) | 10〜12回 | 各3 | 1分30秒〜2分 |
| 60分(中級者・上半身) | ベンチプレス(Bench Press)、懸垂(Pull-up)、インクラインダンベルプレス(Incline Dumbbell Press)、ケーブルロウ(Cable Row)、サイドレイズ(Side Raise) | 6〜12回 | 各3〜4 | 1分〜3分 |
| 60分(中級者・下半身) | スクワット(Squat)、ルーマニアンデッドリフト(Romanian Deadlift)、ブルガリアンスクワット(Bulgarian Split Squat)、レッグカール(Leg Curl)、カーフレイズ(Calf Raise) | 6〜15回 | 各3〜4 | 1分〜3分 |
種目の並べ方は筋トレの順番のガイド、週の回数は筋トレは毎日していいかのガイドで紹介している。重さの決め方はダンベルの重さの選び方も参考になる。
筋トレの時間でよくある間違いは?
- 時間の長さで頑張りを測る:90分いても、休憩や移動が長ければセット数は少ない。セット数と回数を記録する。
- 休憩時間を測っていない:休憩が5分以上空くと、時間だけが延びる。タイマーで区切る。
- 同じ部位の似た種目を重ねる:胸の種目を4つ並べるより、2種目に絞ってセット数を確保するほうが短く済む。
- 時間がない日は休んでしまう:20分でも、多関節種目を2〜3つ行えば練習になる。
- ウォームアップを省いていきなり重い重さに入る:短縮したいときも、種目の軽いセットは残す。
- 有酸素運動と筋トレの時間を区別していない:両方行う日は、それぞれの時間を分けて見積もる。
安全のための注意点は?
- 時間を短くするために休憩を削りすぎると、疲れでフォームが崩れやすい。重い種目ほど休憩を確保する。
- 長時間の練習では水分をこまめにとる。めまいや強いだるさが出たら中止して休む。
- 持病がある人、長く運動から離れていた人は、医師に相談してから、短い時間・少ない量で始める。
- 関節や腰に痛みが出たら、その種目を中止する。痛みが続く場合は医師に相談する。
- 練習中に胸の痛み、強い息苦しさ、めまいが出たら、すぐに中止する。
よくある質問
筋トレは1時間以上やると逆効果?
1時間を超えたら効果がなくなるという明確な根拠はない。ただし長くなる理由が休憩や移動であれば、効果に結びつかない時間が増えているだけである。セット数と休憩を見直し、疲れが抜けない場合は量を減らす。
1回10〜20分の筋トレでも意味はある?
意味はある。健康面では週30〜60分ほどの筋トレでリスクの低下が大きいとするメタ分析があり、多関節種目を中心にすれば短時間でも全身を鍛えられる。回数を週2〜3日に分けて行うとよい。
筋トレと有酸素運動を両方やるなら何分?
筋トレの時間とは別に、有酸素運動の時間を見積もる。たとえば筋トレ45分に有酸素20分を加えると、合計65分前後になる。時間がない日は、筋トレと有酸素を別の日に分ける方法もある。
初心者は何分から始めればいい?
ウォームアップを含めて30〜45分を目安に、大きな筋肉を使う種目を3〜4つ、各2〜3セットから始めるとよい。慣れてきたらセット数を少しずつ増やす。
毎日短時間と週2回の長時間、どちらがいい?
週の総量が同じなら、頻度による差は小さいとするメタ分析がある(頻度のメタ分析の解説)。続けやすい方法を選べばよいが、毎日行う場合は同じ部位を連日強く鍛えないよう分けるとよい。
KINNIKU TIMESの視点
筋トレの時間は「長いほど偉い」ものではなく、行うセット数と休憩から決まる結果である。指針は週2〜3日を勧め、研究は健康面では週30〜60分ほどでも効果が見込め、筋肥大では週のセット数が多いほど有利なことを示している。まずは種目とセット数を決めて時間を計算し、休憩をタイマーで管理する。時間がない日は多関節種目とスーパーセットで20分に収め、時間がある日はセット数を足す。この考え方なら、忙しい週でも練習を途切れさせずに続けられる。
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」筋力トレーニングについて/Bull ら, WHO 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour(Br J Sports Med, 2020)/ACSM Position Stand: Progression models in resistance training(Med Sci Sports Exerc, 2009)/Momma ら(Br J Sports Med, 2022)/Schoenfeld ら(J Sports Sci, 2017)/Iversen ら(Sports Med, 2021)
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