筋トレ前の食事は何時間前?食事は2〜4時間前、軽食は1時間前の目安を研究で解説
筋トレの何時間前に食べればよいか。ACSMなどの共同声明、ISSNの指針、運動前後の食事間隔を論じた総説をもとに、食事と軽食の時間、選ぶ食品、時間帯別の食事例、よくある間違いをまとめた。
筋トレ前の食事は、しっかりした食事なら2〜4時間前、おにぎりやバナナのような軽食なら1時間前ごろが目安である。米国スポーツ医学会(ACSM)などの共同声明は、運動の1〜4時間前に糖質をとることを勧めており、時間が近いほど量を減らし、消化のよいものを選ぶ。前の食事から筋トレ後の食事までが長く空きすぎないよう、前後をセットで考えるのが実践のこつである。
筋トレ前の食事は何時間前がいい?
食事の量で変わる。目安は次のとおりである。
- 定食のような普通の食事:筋トレの3〜4時間前
- 軽めの食事(丼の小盛り、パンと卵など):2〜3時間前
- 軽食(おにぎり1個、バナナ、パンを少し):1時間前ごろ
- ゼリー状の飲料や果物を少量:30分前でも、胃が気にならなければよい
根拠となるのは、米国栄養士会・カナダ栄養士会・ACSMの2016年の共同声明(Thomasら、『Medicine & Science in Sports & Exercise』)で、60分を超える運動の前には、体重1kgあたり1〜4gの糖質を運動の1〜4時間前にとることを勧めている。国際スポーツ栄養学会(ISSN)の2017年の栄養摂取タイミングの指針(Kerksickら)も、運動前の食事の量と時間によって、運動後にどれだけ急いで栄養をとる必要があるかが変わるとしている。指針全体の読み解きはISSNの2017年指針の解説にまとめている。
筋トレ前の食事と筋トレ後の食事は、どれくらい空けていい?
AragonとSchoenfeldの2013年の総説(『Journal of the International Society of Sports Nutrition』)は、45〜90分の一般的な筋トレを前提に、運動前と運動後の食事を約3〜4時間以上空けないよう提案している。たんぱく質を多く含む大きめの食事をとった場合は、5〜6時間まで広げてもよいとした。また、前の食事から3〜4時間以上たってから筋トレを始める場合は、運動後にできるだけ早くたんぱく質をとるほうがよいとしている。
つまり、昼食を12時にとって19時に筋トレをするなら、17〜18時ごろに軽食をはさむと、前後の間隔が長く空きすぎずにすむ。運動の前と後のどちらでたんぱく質をとるべきかという研究は筋トレ前と後を比べたメタ分析の解説で紹介している。
筋トレ前は何を食べるといい?
糖質を中心に、たんぱく質を少し加え、脂質と食物繊維は控えめにする。脂っこい料理や食物繊維の多い食事は消化に時間がかかりやすく、直前に多く食べると胃が重く感じやすい。Ormsbeeらの2014年の総説(『Nutrients』)は、主に持久系の運動について、運動前の糖質摂取は一般にパフォーマンスを高めると報告しており、筋トレでも運動前の糖質は練習の質を支える材料になる。
- 糖質:ごはん、おにぎり、パン、うどん、もち、バナナなど。エネルギー源になる。
- たんぱく質:卵、鶏肉、魚、豆腐、ヨーグルト、牛乳など。AragonとSchoenfeldは、運動前と運動後のそれぞれで除脂肪体重1kgあたり0.4〜0.5gの良質なたんぱく質を、簡単で失敗の少ない目安として示している。
- 控えたいもの:揚げ物、脂身の多い肉、大量の生野菜や豆類、食べ慣れない辛い料理。
ISSNの2017年のたんぱく質の指針(Jägerら)は、1回の目安を体重1kgあたり0.25g、または20〜40gとしている。体重60kgの人なら1回15〜24g程度で、運動前の食事でそれに近い量をとれば、運動後に急ぐ必要は小さくなる。
筋トレ前の食事を決める手順は?
- 筋トレを始める時刻を決める:たとえば19時に開始する。
- 直前の食事の時刻を確かめる:昼食が12時なら、開始時点で7時間空いている。
- 空きが4時間を超えるなら軽食を入れる:開始の1〜2時間前(17〜18時)に、おにぎりとゆで卵、パンと牛乳などをとる。
- 開始まで1時間を切ったら量を減らす:バナナやゼリー状の飲料など、消化のよいものを少量にする。
- 水分も一緒にとる:食事とあわせて水やお茶を飲み、のどが渇いた状態で始めない。目安は筋トレ中の水分補給の解説を参照。
- 体調を記録して調整する:胃が重い、力が出ないなどの感覚をメモし、量と時間を次回に合わせて変える。
時間帯別の筋トレ前の食事例は?
| 筋トレの時間帯 | 前の食事 | 直前の軽食(必要なら) |
|---|---|---|
| 朝(6〜8時) | 前夜の夕食 | 起床後にバナナやおにぎり半分、牛乳かヨーグルト |
| 昼休み(12時ごろ) | 7〜8時の朝食(ごはん、卵、みそ汁など) | 10〜11時に小さなおにぎりや果物 |
| 夕方(17〜18時) | 12時ごろの昼食 | 15〜16時にパンと牛乳、おにぎりとゆで卵 |
| 夜(19〜21時) | 12時ごろの昼食 | 17〜18時におにぎりとサラダチキン、うどんの小盛り |
朝の筋トレは前の食事から時間が空きやすい。空腹のまま行う場合の影響は空腹時と食後の筋トレを比べたメタ分析が参考になる。時間帯そのものの影響は朝と夜を比べたメタ分析の解説で紹介している。
食後に行う初心者・中級者のメニュー例は?
食後2〜3時間たっていれば、ふだんどおりのメニューで問題ないことが多い。食後1時間以内に始める場合は、腹ばいになる種目や、深くかがむ種目を後半に回すと胃の不快感が出にくい。
| 対象 | 種目 | 回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者 | レッグプレス(Leg Press) | 10〜12回 | 2〜3 | 1分30秒〜2分 |
| 初心者 | チェストプレス(Chest Press) | 10〜12回 | 2〜3 | 1分30秒 |
| 初心者 | ラットプルダウン(Lat Pulldown) | 10〜12回 | 2〜3 | 1分30秒 |
| 中級者 | スクワット(Squat) | 6〜10回 | 3〜4 | 2〜3分 |
| 中級者 | ベンチプレス(Bench Press) | 6〜10回 | 3〜4 | 2〜3分 |
| 中級者 | ダンベルロウ(Dumbbell Row) | 8〜12回 | 3 | 1分30秒〜2分 |
練習にかける時間は筋トレは何分やるべきかのガイド、運動後の食事は筋トレ後の食事のガイドで紹介している。
筋トレ前の食事でよくある間違いは?
- 直前に普通の量の食事をとる:胃が重く、深くかがむ種目で気分が悪くなりやすい。直前ほど量を減らす。
- 半日以上何も食べずに夜の筋トレをする:力が出にくく、運動後の食事までの間隔も長くなる。夕方に軽食をはさむ。
- 揚げ物や脂っこい料理を直前に食べる:消化に時間がかかる。前の食事で脂質を多くとったら、時間を長めに空ける。
- 糖質を極端に避ける:筋トレの主なエネルギー源は糖質である。減量中でも、運動前の食事で少量はとる。
- 食べ慣れないものを試す:初めての食品は胃腸に合わないことがある。運動前はふだんの食品を選ぶ。
- 水分をとらない:食事と一緒に水分もとり、のどの渇きを感じる前に飲む。
安全のための注意点は?
- 糖尿病で血糖を下げる薬やインスリンを使っている人は、運動前の食事と低血糖の対策について、主治医に相談してから筋トレを行う。
- 胃腸の病気がある人や、食後に腹痛が出やすい人は、医師に相談のうえで量と時間を決める。
- 運動中にふらつき、冷や汗、手の震えが出たら中止し、休んで糖質をとる。
- 食後すぐの高強度の運動で吐き気が出たら中止し、次回は時間を空ける。
- 運動中に胸の痛み、強い息苦しさ、めまいが出たら、すぐに中止する。
よくある質問
筋トレの直前に食べてもいい?
少量で消化のよいものなら問題ないことが多い。バナナやゼリー状の飲料など、胃にたまりにくいものを選ぶ。普通の量の食事なら2〜4時間空けるとよい。
空腹のまま筋トレするのはよくない?
朝の短い練習なら空腹でもできる人は多いが、力が出にくいと感じる人もいる。前の食事から長く空いているなら、運動後にできるだけ早く、たんぱく質を含む食事をとるとよい。
筋トレ前にたんぱく質はとるべき?
とると、運動前後の栄養を途切れさせにくい。1回の目安は体重1kgあたり0.25g、または20〜40gとされる。卵や牛乳、ヨーグルトなど消化のよいものを選ぶ。
減量中も筋トレ前に食べたほうがいい?
1日の食事量の中で、運動前に糖質とたんぱく質を少量配分すると、練習の質を保ちやすい。食べる量を増やすのではなく、配分を変えると考えるとよい。
夜遅くの筋トレは夕食の前と後どちら?
夕食が普通の量なら、夕食前に軽食をとって筋トレし、終わってから夕食をとる方法が組みやすい。夕食後に行うなら2時間以上空ける。
KINNIKU TIMESの視点
筋トレ前の食事で大切なのは、何を食べるか以上に「いつ、どれだけ食べるか」である。指針は運動の1〜4時間前の糖質摂取を勧め、総説は運動前後の食事を3〜4時間以上空けすぎないよう提案している。普通の食事は2〜4時間前、軽食は1時間前と決め、開始時刻から逆算して軽食をはさむ。量と時間を記録して自分の胃腸に合う形を見つければ、空腹で力が出ない日も、食べすぎで動けない日も減らせる。
出典:Thomas ら, ACSM Joint Position Statement: Nutrition and Athletic Performance(Med Sci Sports Exerc, 2016)/Kerksick ら, ISSN Position Stand: nutrient timing(J Int Soc Sports Nutr, 2017)/Jäger ら, ISSN Position Stand: protein and exercise(J Int Soc Sports Nutr, 2017)/Aragon・Schoenfeld(J Int Soc Sports Nutr, 2013)/Ormsbee ら(Nutrients, 2014)
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