筋トレは朝と夜どっちが効果的?2つのメタ分析、筋肥大・筋力の伸びに差なし
筋トレを朝にしても夕方にしても、筋肥大と筋力の伸びに明確な差はないと、11研究と26論文をまとめた2つのメタ分析が結論づけた。ただし鍛える時間と測る時間をそろえると、ジャンプの伸びは効果量0.71で大きかった。
筋トレを朝にするか夕方にするかで、筋肉の増え方や筋力の伸びに大きな差は確認されていない。2019年に『Chronobiology International』誌で発表された11研究のメタ分析と、2023年に『Sports Medicine - Open』誌で発表された26本の論文の系統的レビュー・メタ分析が、いずれも「時間帯による明確な優劣はない」と結論づけた。一方で、「鍛える時間」と「力を測る時間」をそろえると成績が伸びやすい可能性も示された。

もともと筋力は夕方の方が高い
ヨゾ・グルギッチ(Jozo Grgic)氏やブラッド・シェーンフェルド(Brad Schoenfeld)氏らによる2019年のメタ分析は、質が中程度から良好な11研究をまとめた。まず、トレーニングを始める前の時点では、朝より夕方の方が筋力が高いという差がはっきりみられた。
ただし、朝にトレーニングを続けた人では、朝に測った筋力が夕方の水準まで伸び、この差が縮まった。夕方に鍛えた人では、朝と夕方の差はそのまま残った。
朝と夕方、筋肥大と筋力の伸びに差は?
2019年の分析では、朝と夕方のトレーニングを直接比べると、筋力の伸びも筋肥大も時間帯にかかわらず同程度だった。2023年の分析も同じ方向の結果である。
| 項目 | Grgicほか(2019年) | Bruggisserほか(2023年) |
|---|---|---|
| 対象 | 筋トレの時間帯を比べた11研究 | 持久系・筋トレの時間帯を比べた26論文(うち7研究・191人でメタ分析) |
| 筋力の伸び | 朝と夕方で同程度 | 朝と夕方で有意差なし |
| 筋肥大 | 朝と夕方で同程度 | 体格の指標で時間帯の差はみられず |
| 結論 | 時間帯は筋肥大・筋力の伸びを左右しない | 特定の時間帯が有利とも不利とも言えない |
「鍛える時間=測る時間」だと伸びやすい
ファビアン・ブルギッサー(Fabian Bruggisser)氏やフランク・シェアー(Frank Scheer)氏らによる2023年の分析では、1万4,125本の論文を調べ、26本(22研究)を採用した。注目されたのは「一致効果」である。トレーニングと測定を同じ時間帯に行った場合、ジャンプの高さの伸びは効果量0.71(95%信頼区間0.00〜1.42)で有意に大きかった。筋力でも同じ方向の傾向はあったが、統計的な差にはならなかった。
研究の限界
2023年の分析は、採用した研究の多くでバイアスのリスクが高いと評価している。参加者は男性が中心で女性が少なく、夜型の人もあまり含まれていない。期間は2〜16週間と短いものが多く、長期の筋肥大を比べるには材料が限られる。「差がない」というより「差があるとは言えない」段階だと理解しておくべきである。
トレーニングの組み方全般では、頻度を比べたメタ分析を扱った「同じ部位は週1回か3回か」も参考になる。
よくある質問
筋トレは朝と夜どっちが筋肉がつく?
2つのメタ分析では、朝と夕方で筋肥大・筋力の伸びに明確な差はなかった。続けやすい時間帯を選べばよい。
朝の筋トレは力が出ないけど大丈夫?
もともと筋力は夕方の方が高い傾向があるが、朝に続けて鍛えると朝の筋力も夕方の水準まで伸びたと報告されている。
大会や記録会が朝ならどうする?
鍛える時間と測る時間をそろえると成績が伸びやすい可能性があるため、本番と同じ時間帯に練習を入れるのは理にかなっている。
KINNIKU TIMESの視点
「筋トレは夕方がベスト」という話を聞くと、朝しか時間がない人は不安になる。しかし研究を見る限り、筋肉を育てるうえで時間帯よりはるかに大事なのは、週の総量や継続である。出勤前でも仕事帰りでも、自分が毎週同じペースで続けられる時間を選べばよい。パワーリフティングの試合など本番の時間が決まっている人は、その時間帯に合わせて練習や高重量の日を組むと効果的だろう。
出典:Grgic J ほか『The effects of time of day-specific resistance training on adaptations in skeletal muscle hypertrophy and muscle strength: A systematic review and meta-analysis』Chronobiology International(2019年)/Bruggisser F ほか『Best Time of Day for Strength and Endurance Training to Improve Health and Performance? A Systematic Review with Meta-analysis』Sports Medicine - Open(2023年)