フリーウエイトとマシン、筋肥大に効くのは?13研究・1,016人のメタ分析で差なし
フリーウエイトとマシンを比べた13研究・1,016人のメタ分析では、筋肥大の伸びに差はなかった(SMD −0.055)。一方で筋力は、練習した器具で測ったときに伸びが大きく出る「特異性」がはっきり表れた。
フリーウエイトとマシンのどちらで鍛えても、筋肥大の伸びに差はみられなかった。ノルウェーの研究チーム(筆頭著者マルクス・ハウゲン氏=Markus E. Haugen)が、両者を直接比べた13研究・1,016人のデータを統合したメタ分析を、2023年8月に学術誌「BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation」で発表した。筋力の伸びは「練習した器具で測ると有利」という特異性がはっきり表れた。

どんな研究を集めた?対象者と方法
分析の対象は、フリーウエイト群とマシン群を直接比較し、6週間以上続けた実験研究である。慢性疾患やけがのない18〜60歳の成人が対象で、競技選手は含まれていない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研究数・人数 | 13研究・1,016人 |
| トレーニング経験 | 経験者の研究6件、未経験者の研究7件 |
| 期間 | 6〜12週間(平均約8.9週間) |
| 主な比較種目 | スクワット対レッグプレス・ハックスクワット、ベンチプレス対スミスマシン・チェストプレス |
| 評価項目 | 最大筋力、等尺性筋力、垂直跳び、筋肥大 |
筋肥大はフリーウエイトとマシンで差がある?
筋肥大を測った6研究を統合すると、両群の差は標準化平均差(SMD)で−0.055(95%信頼区間−0.397〜0.287)とほぼゼロで、統計的な差はなかった。垂直跳びの高さ(5研究)、等尺性筋力にも差はみられなかった。
| 評価項目 | SMD(95%信頼区間) | 判定 |
|---|---|---|
| 筋肥大 | −0.055(−0.397〜0.287) | 差なし |
| 垂直跳び | −0.209(−0.597〜0.179) | 差なし |
| 等尺性筋力 | −0.079(−0.432〜0.273) | 差なし |
| フリーウエイトで測った最大筋力 | −0.210(−0.391〜−0.029) | フリーウエイト群が有利 |
| マシンで測った最大筋力 | 0.291(−0.017〜0.600) | マシン群が有利な傾向 |
※SMDはマイナスがフリーウエイト有利、プラスがマシン有利を示す。
筋力は「練習した器具」で伸びる
最大筋力は、フリーウエイトで測ればフリーウエイト群が上回り、マシンで測ればマシン群が上回る傾向だった。一方、それぞれが練習した器具で測った伸び同士を比べると、差はなかった(SMD 0.084)。部位別では、上半身に限るとマシン群の伸びがやや大きかった(SMD 0.245)。著者らは、器具の選択は「個人の好みと目的次第」と結論づけている。
この研究の限界は?
筋肥大の評価は、超音波による筋厚の測定のほか、体組成測定や皮下脂肪厚、周径といった間接的な方法も含まれ、研究数も6件と少ない。期間は最長12週間で、長期の効果は分からない。特定の研究を除くと結果が変わる分析もあり、結論は今後の研究で見直される可能性がある。
よくある質問
筋肥大にはフリーウエイトとマシンのどちらがいい?
このメタ分析では筋肥大の伸びに差はなかった。続けやすい方、狙った筋肉に効かせやすい方を選べばよい。
ベンチプレスの記録を伸ばしたい場合は?
筋力は練習した器具で測ると伸びが大きいため、測る種目そのものを練習に入れるのが合理的である。
初心者はマシンから始めてもいい?
未経験者の研究も含めて筋肥大に差はなかったため、マシンから始めても不利とはいえない。
KINNIKU TIMESの視点
「筋肉をつけるならフリーウエイト一択」という考え方は、少なくとも筋肥大に関しては裏づけが弱い。大事なのは器具の種類ではなく、十分な負荷とセット数を継続できるかどうかだ。トレーニング頻度のメタ分析が示すように、総量を確保できれば組み方の自由度は高い。混雑時はマシンで代替する、高重量が不安な日はマシンで追い込むなど、状況に応じて使い分ければよい。試合やテストで挙げる種目がある人だけは、その種目自体の練習を欠かさないようにしたい。マシンの充実度でジムを選ぶ際はジム比較ページも参考になる。
出典:Haugen MEほか, BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation 15:103(2023年8月15日)/PubMed 37582807