筋肥大に男女差なし。同じメニューなら女性も同じ割合で筋肉が育つとメタ分析
同じ筋トレプログラムを行った男女を比べたメタ分析で、筋肥大と下半身の筋力の伸び率に有意な性差はみられなかった。上半身の筋力の伸び率はむしろ女性のほうが大きかった。
「女性は筋トレをしても筋肉がつきにくい」という思い込みは、少なくとも「増える割合」で見る限り裏付けられていない。2020年に発表されたメタ分析では、同じ筋トレプログラムを行った場合、筋肥大の割合に男女で有意な差はなく、上半身の筋力の伸び率はむしろ女性のほうが大きかった。
研究デザイン:同じプログラムで男女を比較
分析を行ったのはBrandon M. Roberts氏、Greg Nuckols氏、James W. Krieger氏の3人である。対象としたのは、若年から中年の男女が同じ筋トレプログラムを行い、その変化を比較した研究だ。解析計画は事前に国際的な登録システム(PROSPERO)に登録されており、結果を見てから分析方法を変えることができない設計となっている。
評価したのは、筋肥大、上半身の筋力、下半身の筋力の3つ。いずれもトレーニング前の水準に対する「相対的な伸び」を比較している。もともと男性のほうが筋肉量も筋力も大きいため、絶対量ではなく割合で比べることが重要になる。
結果:筋肥大と下半身の筋力は同等
| 評価項目 | 分析対象 | 効果量 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 筋肥大 | 10研究・12の結果 | 0.07 | 男女差なし(p=0.31) |
| 上半身の筋力 | 17研究・19の結果 | −0.60 | 女性が有意に大きい(p=0.002) |
| 下半身の筋力 | 23研究・23の結果 | −0.21 | 男女差なし(p=0.20) |
効果量がマイナスの場合は女性に有利な方向を示す。筋肥大の分析では研究間のばらつきもほとんどなく、男女が同程度の割合で筋肉を増やすという結果が一貫していた。一方、上半身の筋力では女性に有利な中程度の差がみられた。研究チームは、筋トレ未経験の女性は上半身の筋力を伸ばす余地が男性より大きい可能性があると述べている。
研究の限界
上半身と下半身の筋力の分析では、研究間のばらつき(異質性)が大きかった。なぜ上半身だけに差が出るのか、それが神経の適応によるものか、筋肉そのものの適応か、動作の習熟によるものかは分かっていない。著者らは、含まれた研究の期間が短いことによる見かけ上の差である可能性も指摘している。また対象は若年から中年であり、高齢者や長年鍛えてきた上級者については、この分析からは分からない。
KINNIKU TIMESの視点
女性向けの筋トレというと、「軽い重量で回数を多く」「男性とは別メニュー」と考えられがちだが、この分析を見る限り、男女でトレーニングの基本原則を変える根拠は乏しい。女性も男性と同じように、十分なセット数をこなし、限界に近い強度で行い、少しずつ重量や回数を伸ばしていくことが成果への近道である。
「筋肉がつきすぎてゴツくなるのでは」という心配から重量を避ける必要もない。筋肉の増える割合は男女で同程度でも、もともとの筋肉量が異なるため、増える絶対量は一般に男性より小さくなる。安心して、男性と同じ基本に沿って鍛えてよい。