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有酸素運動で筋肉は減らない?43研究のメタ分析、筋肥大と最大筋力に悪影響みられず

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
道路を走る人のシルエット
SUMMARY|この記事の要約

筋トレと有酸素運動を組み合わせても、筋トレ単独と比べて筋肥大と最大筋力の伸びは損なわれなかった。43件の研究を統合したメタ分析の結果で、ただし瞬発的な筋力は同じ日に行うと伸びにくくなる可能性が示された。

「有酸素運動をすると筋肉が落ちる」という心配は、少なくとも筋肥大と最大筋力については当てはまらない可能性が高い。2022年に発表されたメタ分析は、筋トレに有酸素運動を加えても、筋トレだけを行った場合と比べて筋肉の大きさや最大筋力の伸びに差がないことを示した。一方で、ジャンプやダッシュのような瞬発的な力の伸びは、有酸素運動と同じ日に行うと抑えられる傾向があった。

「干渉効果」とは何か

筋トレと有酸素運動を並行して行うと、筋トレだけの場合より効果が落ちる現象は「干渉効果」と呼ばれ、以前から議論されてきた。持久系と筋力系では体の中で起きる適応の方向が異なるため、互いに打ち消し合うのではないかと考えられてきたのである。今回の分析は、この問題を最新の研究データで整理し直したものだ。

研究デザイン:43研究を統合

Moritz Schumann氏、Tommy R. Lundberg氏らの国際チームは、6つのデータベースを体系的に検索した。対象としたのは、健康な成人(性別・年齢は問わない)が指導下で4週間以上、筋トレと有酸素運動を並行して行い、同じ筋トレだけを行う群と比較した研究である。最終的に43件の研究が分析に含まれた。

評価項目は最大筋力、爆発的筋力(瞬発力)、筋肥大の3つ。さらに、有酸素運動の種類(自転車かランニングか)、同じ日に行うか3時間以上空けるか、週の頻度、トレーニング歴、年齢によって結果が変わるかも調べた。

結果:筋肥大と最大筋力には差なし

評価項目 標準化平均差(95%信頼区間) 判定
筋肥大(15研究) −0.01(−0.16〜0.18) 差なし
最大筋力(37研究) −0.06(−0.20〜0.09) 差なし
爆発的筋力(18研究) −0.28(−0.48〜−0.08) 有意に低下

筋肥大と最大筋力では、有酸素運動を加えた群と筋トレだけの群の間に意味のある差はみられなかった。一方、爆発的筋力は有酸素運動を加えた群で伸びが小さかった。この低下は筋トレと有酸素運動を同じセッション内で行った場合に目立ち(p=0.043)、3時間以上空けた場合には有意な差はなかった。自転車とランニングの違い、週5回を超えるか否か、トレーニング歴、40歳未満か以上かによる差はいずれも認められなかった。

筋トレと有酸素運動の併用群と筋トレのみの群で筋肥大を比較した各研究のフォレストプロット
図:Schumann M, Feuerbacher JF, Sünkeler M, et al.「Compatibility of Concurrent Aerobic and Strength Training for Skeletal Muscle Size and Function: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis」Sports Medicine(2022)Figure 4(筋肥大のフォレストプロット)/出典:Sports Medicine/ライセンス:CC BY 4.0(改変なし)

研究の限界

分析に含まれた研究の多くは質が「中程度」と評価され、7件は質が低いと判定された。有酸素運動の強度については研究ごとの情報が不統一だったため分析できず、著者らも強度が結果に影響する可能性を認めている。また比較されたトレーニング歴は「未経験者」と「運動習慣のある人」であり、長年鍛えてきた上級者や競技者に同じことが言えるかは、この分析からは断定できない。

KINNIKU TIMESの視点

体脂肪を落としたい人や心肺機能を高めたい人は、「筋肉が落ちるから」と有酸素運動を避ける必要はなさそうだ。週に数回のランニングやバイクを加えても、筋肥大や最大筋力の伸びが損なわれる可能性は低い。

ただし、ジャンプ力やスプリントなど瞬発力を重視する競技者は、筋トレと有酸素運動を同じ時間帯に続けて行うのは避け、少なくとも3時間ほど空けるか、別の日に分けると安心である。有酸素運動の強度や量が極端に多い場合については分かっていない部分も残るため、脚の疲労が筋トレの質を落としていないかを自分で確かめながら組み合わせたい。


出典:Schumann M, Feuerbacher JF, Sünkeler M, Freitag N, Rønnestad BR, Doma K, Lundberg TR. Compatibility of Concurrent Aerobic and Strength Training for Skeletal Muscle Size and Function: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine(2022)