筋トレ後の赤外線サウナは筋肥大に効く?女子選手36人の6週試験で上乗せなし
筋トレ後に赤外線サウナ(設定50℃・10分・週3回)を6週間続けても、太ももの筋肉(外側広筋)の断面積や除脂肪量の伸びは、入らなかった群と差がなかった。一方、体重の15%の負荷を付けたジャンプの最大パワーはサウナ群で約7%向上しており、著者らはパワー向上に役立つ可能性を指摘している。
筋トレ後に赤外線サウナへ入る習慣を6週間続けても、太ももの筋肉の太さや除脂肪量の伸びは、サウナに入らなかった選手と差がなかった。フィンランドの女子チームスポーツ選手36人を対象にした試験で、エッシ・K・アホカス(Essi K. Ahokas)らが学術誌「Frontiers in Sports and Active Living」に2025年に発表した。一方で、負荷を付けたジャンプのパワーはサウナ群だけが向上していた。
どんな試験だったのか?
対象は、バスケットボール、フットサル、アイスホッケー、アメリカンフットボールでプレーする女子選手で、40人が参加し36人が解析対象となった。平均年齢は22〜23歳。ランダムに振り分けるのではなく、条件の近い選手どうしをペアにして2群に分ける方法をとった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 群分け | 赤外線サウナ群18人/対照群18人(サウナなし) |
| 期間 | 6週間(筋トレは週2〜3回) |
| サウナの条件 | 設定50℃・1回10分・週3回(計18回)、練習の直後に入る |
| 実測の室温 | 腰の高さで平均31.3℃ |
| 主な測定 | DXA法による体組成、超音波による外側広筋(太ももの外側)の断面積、スプリント、ジャンプ、脚の等尺性筋力 |
両群の練習時間や筋トレの回数に差はなく、サウナの有無以外はそろった条件で比べている。
サウナで筋肉は大きくなった?
外側広筋の断面積は、サウナ群が21.21cm²から22.81cm²へ、対照群が23.17cm²から24.12cm²へと、どちらも増えた。ただし、増え方に統計的に意味のある群間差はなく、下半身の除脂肪量も両群とも増えており、群間差はみられなかった。

体脂肪量はサウナ群で17.6kgから18.2kgへ増え、この項目には群間の差がみられた。著者らは、筋トレ後の赤外線サウナは筋肥大の伸びに大きな影響を与えないと結論づけている。
パワーやスプリントへの影響は?
差が出たのはパワー系の指標である。
- 体重の15%の負荷を付けた垂直跳び:サウナ群の跳躍高は19.5cmから21.0cm、最大パワーは2,519Wから2,690W(約7%増)へ向上
- 5mスプリント:群と時間の交互作用が有意。サウナ群は維持、対照群はやや遅くなる傾向
- 脚の等尺性筋力(レッグプレス)と、負荷なしのジャンプ:群間差なし
著者らは、サウナが長期的なパワー発揮能力を後押しする可能性を指摘しているが、仕組みは今回の試験では調べられていない。
この研究の限界は?
ランダム化試験ではなく、人数も36人と少ない。設定温度は50℃でも実測の室温は約31℃で、1回10分では筋肉の温度が十分に上がらなかった可能性を著者ら自身が挙げている。対象は鍛えた女子選手のみで、月経周期の時期もそろえていない。男性や一般のトレーニー、より高温の一般的なサウナに、そのまま当てはまるとは限らない。
よくある質問
筋トレ後のサウナは筋肥大に効く?
この試験では、赤外線サウナ(10分・週3回)を6週間足しても、筋肉の太さや除脂肪量の伸びは上乗せされなかった。筋肥大を目的にサウナを追加する根拠は乏しい。
サウナで筋トレの効果が落ちることはある?
今回の条件では、筋肉の伸びが邪魔されたという結果は出ていない。ただし脱水や体調不良を避けるため、水分補給をして無理のない時間にとどめるのが前提である。
KINNIKU TIMESの視点
サウナは「筋肉を増やす道具」ではなく、好みで取り入れる習慣と考えるのが妥当である。今回の結果で筋肥大に上乗せはなく、ジャンプ力の向上も小規模な非ランダム化試験の結果にすぎない。筋トレ後の「温める・冷やす」については、アイスバスを比べた87試験の分析も参考になる。筋肉を増やす優先順位は、まず練習の量と継続、たんぱく質と睡眠である。サウナは気持ちよく続けられる範囲で楽しめばよい。