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鉄サプリは女性アスリートに効く?42試験の分析、硫酸鉄でフェリチン12.6ng/mL上昇

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
山盛りの新鮮なほうれん草
SUMMARY|この記事の要約

運動する女性を対象にした42試験の系統的レビューで、硫酸鉄のサプリはフェリチンを平均12.61ng/mL、ヘモグロビンを平均0.42g/dL上げた。ただし最大酸素摂取量などの運動能力はほとんど変わらなかった。

運動する女性の鉄の状態を改善する方法を調べた42試験の系統的レビューで、硫酸鉄のサプリは貯蔵鉄の指標であるフェリチンを平均12.61ng/mL、ヘモグロビンを平均0.42g/dL上げた。研究チームがスポーツ医学誌Sports Medicineに2026年6月に発表した。一方、鉄の数値が改善しても最大酸素摂取量などの運動能力は大きく変わらなかった。

夕暮れのトラックを走る女性
写真はイメージです(Unsplash)

なぜ女性アスリートの鉄が問題になる?

論文によると、鉄欠乏は女性アスリートの約15〜35%にみられる。運動する女性は月経による損失などから鉄が不足しやすいとされる。鉄は酸素を運ぶヘモグロビンの材料で、不足すると疲れやすさなどにつながるとされる。

どんな研究?対象と方法

研究チームは2026年3月までに発表された論文を5つのデータベースで検索し、運動習慣のある生殖年齢の女性を対象に、食事やサプリで鉄の指標がどう変わるかを調べた介入試験42本を集めた。1試験あたりの参加者は5〜171人で、実施地域は北米17本、欧州11本、アジア7本、オーストラリア4本、アフリカ3本だった。

試された方法は、硫酸鉄などの鉄塩、ヘム鉄、キレート鉄、ラクトフェリン、プロバイオティクス、鉄強化食品、食事指導、牛の初乳、えんどう豆粉末、大豆たんぱく、水素水など幅広い。数値をまとめて比べる「メタ分析」ができるだけの試験数がそろったのは、硫酸鉄だけだった。

結果は?硫酸鉄の効果を数字で

指標 解析した試験 硫酸鉄による変化(平均)
ヘモグロビン ランダム化比較試験8本 +0.42g/dL(95%信頼区間0.10〜0.74)
フェリチン ランダム化比較試験7本 +12.61ng/mL(同8.29〜16.92)

硫酸鉄の量は1日100〜975mg、期間は2〜13週間と試験によって幅があった。著者らは、フェリチンの約12.6ng/mLの上昇について「鉄の状態が低い選手を、鉄欠乏の段階から一段引き上げうる、臨床的に意味のある変化」と評価している。

ほかの方法は試験が少なく、鉄の指標の改善は限られるか、みられないものが多かった。鉄サプリと組み合わせた場合を除き、食品や食事指導だけで大きく改善した例は少ない。また、鉄の指標が上がっても、最大酸素摂取量や血中乳酸などの運動の指標はほとんど変わらなかった。

この研究の限界は?

参加者の開始時の鉄の状態は試験によってばらばらだった。期間や量も試験ごとに異なり、月経や避妊薬の使用の記録も不十分だった。硫酸鉄以外の方法は、効果の有無を判断できるほどの試験がそろっていない。

よくある質問

女性アスリートは鉄サプリを飲むべき?

不足している人ではフェリチンやヘモグロビンが上がる可能性があるが、まず血液検査で鉄の状態を確かめ、医師や管理栄養士に相談するのが先である。

鉄サプリで持久力は上がる?

このレビューでは、鉄の指標が改善しても最大酸素摂取量や乳酸の値はほとんど変わらなかった。

食事だけで鉄は増やせる?

食事指導や鉄強化食品だけで指標が大きく改善した試験は少なく、効果ははっきりしなかった。

KINNIKU TIMESの視点

鉄は「足りない人が補うと数値が改善しうる」栄養素であり、飲めば誰でも運動能力が上がるものではない。持久系や減量中の女性で疲れやすさが続くなら、自己判断でサプリを増やす前に、ヘモグロビンだけでなくフェリチンも含めた検査を受けたい。鉄は摂りすぎも体に負担になるため、量と期間は専門家と決めるのが安全だ。サプリを選ぶ際は、鉄の形(硫酸鉄、ヘム鉄など)と含有量を確認しておきたい。女性とサプリの研究はクレアチンの女性向けメタ分析も参考になる。


出典:McCarthy E, et al. Sports Medicine 56(10): 2527–2549(2026年6月10日オンライン公開)

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