セット間の休憩は何分?9研究のメタ分析、60秒超で筋肥大に小さな有利、90秒超は差なし
筋肥大のためのセット間休憩は60秒を超えればよく、9研究を統合したメタ分析では60秒以下より長い休憩が太ももで88%の確率でわずかに上回った一方、90秒を超えて休んでも明確な差はなかった。差の大きさは小さく、対象の多くが初心者で期間も5〜10週と短い点には注意が必要である。
筋トレのセット間の休憩は、60秒以下より長くとるほうが筋肥大にわずかに有利で、90秒を超えるとそれ以上の差はほとんど見られない――。米ニューヨーク市立大学リーマン校のシンガー(Alec Singer)、シェーンフェルド(Brad J. Schoenfeld)らが2024年8月、学術誌「Frontiers in Sports and Active Living」に発表したメタ分析(複数の研究を統合して解析する手法)の結論である。休憩時間だけを変えて筋肉の変化を比べた9研究を、ベイズ統計の手法で統合した。

どんな研究を集めたのか
対象は、健康な成人を無作為に割り付け、休憩時間以外のトレーニング条件をそろえて筋肉量・筋厚の変化を比べた研究である。条件を満たしたのは9研究で、各研究の参加者は12〜28人(合計185人)。部位別の測定は計19件(太もも10件、上腕6件、全身3件)だった。休憩時間は次のように区分して比較した。
| 区分 | 休憩時間 | 筋肥大の効果量(中央値) |
|---|---|---|
| 短い | 60秒以下 | 0.47 |
| 中間 | 61〜119秒 | 0.65 |
| 長い | 120〜179秒 | 0.55 |
| 非常に長い | 180秒以上 | 0.50 |
効果量は標準化平均差(SMD)で、どの区分でも筋肉は増えていた。ただし各区分の信用区間(推定値のぶれ幅)は大きく重なっており、区分ごとの差ははっきりしない。
休憩60秒以下は筋肥大に不利?
同じ研究内で「60秒以下」と「60秒超」を直接比べた解析では、腕と太ももで長めの休憩がわずかに上回った。
| 部位 | 効果量(長めの休憩が有利なら正) | 95%信用区間 | 長めが上回る確率 |
|---|---|---|---|
| 上腕 | 0.13 | −0.27〜0.51 | 74% |
| 太もも | 0.17 | −0.13〜0.43 | 88% |
| 全身 | −0.08 | −0.45〜0.29 | 短い休憩が上回る確率69% |
太ももでは長めの休憩が有利である確率が88%と高いが、差の大きさは「小さい」水準にとどまる。全身の筋肉量ではむしろ短い休憩がわずかに上回った。また、限界まで追い込むかどうかは、休憩時間と筋肥大の関係に意味のある影響を与えなかった。
休憩は何分とれば十分か
著者らは、60秒を超える休憩で筋肥大に小さな利点がある可能性を示しつつ、90秒を超えて休んでも明確な差は検出されなかったと結論づけた。休憩が短すぎると次のセットで挙げられる回数や重量が落ち、総挙上量(重量×回数の合計)が減る。その悪影響は休憩90秒あたりで頭打ちになるという、これまでの知見と一致するとしている。実際、総挙上量をそろえて60秒と180秒の休憩を比べた研究では、筋肥大は同程度だった。
休憩1分と3分を比べた単独の試験については、経験者21人の8週間比較でも紹介している。
この研究の限界は?
第一に、対象の多くは筋トレ経験の浅い若い人で、経験者だけを分けて解析するにはデータが足りなかった。第二に、介入期間は5〜10週と短く、トレーニング量も中程度の研究が中心だった。第三に、胸や背中など体幹の筋肉を測った研究はなく、全身の筋肉量はDXA(二重エネルギーX線吸収法)や体組成計による間接的な測定だった。結果の不確かさは大きく、「休憩時間で筋肥大が大きく変わる」とまではいえない。
よくある質問
筋肥大のためのセット間休憩は何分が目安?
このメタ分析に基づけば、60秒を超え、90秒〜2分程度とれば十分である。それ以上長く休んでも筋肥大に明確な上乗せは見られなかった。
休憩を短くすると筋肉が大きくなりやすい?
支持されなかった。60秒以下の短い休憩は、腕や太ももではむしろわずかに不利な傾向だった。
3分以上休むのは逆効果?
逆効果とはいえない。180秒以上の区分でも筋肉は増えており、時間に余裕があれば長めに休んでも問題はない。
KINNIKU TIMESの視点
「筋肥大なら休憩は短く」という通説に、今回の分析は小さいながら反対の結果を示した。実践では、休憩時間そのものより「次のセットで狙った回数をこなせるか」を基準にしたい。スクワットなど大きな種目は2分以上、腕などの小さな種目は90秒前後が一つの目安になる。時間が限られるなら、休憩を削るより、別の部位を交互に行うスーパーセットで全体の時間を短縮する方法もある。
出典:Singer A, et al. Frontiers in Sports and Active Living(2024年8月14日)