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論文解説・新常識

セット間の休憩は1分より3分。経験者21人の8週間比較で筋力も筋肥大も上回った

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
ジムの床に置かれたトレーニングベンチ
SUMMARY|この記事の要約

筋トレ経験のある男性21人を、セット間休憩1分と3分の2群に分けて8週間比較した研究で、3分休んだ群のほうが最大筋力と大腿前部の筋厚の伸びが大きかった。「筋肥大には短い休憩」という通説を見直すきっかけとなった研究である。

「筋肉を大きくしたいならセット間の休憩は短く」という通説に、疑問を投げかけた研究がある。研究チームが2016年に発表したランダム化比較試験では、筋トレ経験者がセット間に3分休んだ場合、1分休んだ場合よりも最大筋力が大きく伸び、太ももの筋肉の厚みも大きく増えた。

ジムでバーベルの横に立ち次のセットに備える男性
写真はイメージです(Unsplash)

研究の背景:「短い休憩は筋肥大向き」は本当か

ジムでは長く、「筋力を伸ばすなら長めの休憩、筋肥大を狙うなら短めの休憩」という使い分けが常識とされてきた。短い休憩のほうが成長ホルモンなどの分泌が高まり、筋肉への代謝的な刺激が強くなる、という考え方が背景にある。ブラッド・シェーンフェルド(Brad J. Schoenfeld)氏らの研究チームは、この前提を経験者を対象に直接検証した。

研究デザイン:休憩時間以外はすべて同じ条件

対象は筋トレ経験のある若い男性21人。無作為に、セット間休憩を1分とする群と3分とする群に分けた。休憩時間以外のトレーニング条件はすべてそろえている。

  • 期間:8週間
  • 頻度:週3回の全身トレーニング
  • 内容:1回の練習で7種目を実施し、各種目3セット×8〜12RM(8〜12回で限界になる重量)
  • 測定:ベンチプレスとバックスクワットの1RM(最大挙上重量)、ベンチプレス50%1RMでの限界までの反復回数(筋持久力)、超音波による肘屈筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋の筋厚

結果:3分休憩が筋力・筋厚で優位

最大筋力は、スクワット、ベンチプレスともに3分休憩の群が1分休憩の群を有意に上回った。筋厚では、大腿前部で3分休憩の群が有意に大きく増加し、上腕三頭筋でも3分休憩の群が大きく増える傾向がみられた(p=0.06で統計的有意には届かず)。上半身の筋持久力は両群とも向上し、群間に有意な差はなかった。

項目 3分休憩 vs 1分休憩
スクワット・ベンチプレスの1RM 3分休憩が有意に大きく向上
大腿前部の筋厚 3分休憩が有意に大きく増加
上腕三頭筋の筋厚 3分休憩が大きい傾向(p=0.06)
上半身の筋持久力 両群とも向上、差なし

休憩が長いと、次のセットでも重量と回数を維持しやすく、結果として1回の練習でこなせる総負荷量が増える。研究チームは、長めの休憩が筋力と筋肥大をより大きく高める根拠になると結論づけた。

研究の限界

対象者は21人と少なく、若い男性の筋トレ経験者に限られる。女性や初心者、高齢者に同じ結果が当てはまるかは、この研究だけでは分からない。期間も8週間と短く、筋厚は超音波による局所的な測定である。また上腕三頭筋の差は統計的に有意ではなく、「傾向」にとどまっている点にも注意が必要だ。

KINNIKU TIMESの視点

「休憩を短くすれば効く」と考えて、息が整わないまま次のセットに入っていないだろうか。この研究が示すのは、休憩を削って1セットあたりの質を落とすより、しっかり回復させて重量と回数を確保するほうが、筋力にも筋肥大にも有利になりうるということである。

実践では、スクワットやベンチプレスなど高重量の多関節種目は2〜3分以上を目安に、次のセットで狙った回数をこなせるまで休むのがよい。一方、サイドレイズなど単関節の小さな種目は、1分半前後でも回数を維持できることが多い。時間に追われるなら、休憩を削るより種目数を絞るほうが得策である。


出典:Schoenfeld BJ, Pope ZK, Benik FM, Hester GM, Sellers J, Nooner JL, Schnaiter JA, Bond-Williams KE, Carter AS, Ross CL, Just BL, Henselmans M, Krieger JW. Longer Interset Rest Periods Enhance Muscle Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men. Journal of Strength and Conditioning Research(2016)