片脚トレと両脚トレどっちが効く?24研究のメタ分析、筋肥大は差なし
片脚・片腕で行う片側トレーニングと両側トレーニングは、24件のランダム化比較試験をまとめた2026年のメタ分析で筋肥大に差がなかった。筋力は片側での力なら片側(効果量0.42)、両側での力なら両側(同0.28)のトレーニングが上回り、練習した動きほど伸びる「特異性」が確認された。
片脚・片腕で行う「片側トレーニング」と、両脚・両腕で行う「両側トレーニング」は、筋肥大の効果に差がないとする研究結果が相次いでいる。シン(Xianyang Xin)氏らの研究チームが2026年7月16日に学術誌『BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation』で発表した24件のランダム化比較試験のメタ分析では、筋肥大に差はなく、筋力は「練習した動き」の方が伸びるという結果だった。
片側トレーニングと両側トレーニング、何を比べた?
片側トレーニングはブルガリアン・スクワットや片脚レッグプレス、ワンハンド・ダンベルローなど、左右どちらか一方ずつ行う種目を指す。両側トレーニングはバーベル・スクワットやベンチプレスのように左右同時に行う種目である。「片側の方が効く」「両側の方が重量を扱えて有利」と意見が分かれてきた。
今回のメタ分析では、PubMed、Web of Scienceなど5つのデータベースから、両者を直接比べた24件のランダム化比較試験を集めた。1つの研究から複数の結果が出る場合も扱える「3レベル・メタ分析」という手法で、筋力、跳躍力、スプリント、方向転換の能力、筋肥大を比較した。
結果:筋肥大は差なし、筋力は「特異性」どおり
| 評価項目 | 有利だった方法 | 効果量(Hedges' g、有利な側から見た大きさ) |
|---|---|---|
| 片側での筋力 | 片側トレーニング | 0.42(95%信頼区間0.23〜0.60) |
| 片脚での跳躍 | 片側トレーニング | 0.35(同0.14〜0.56) |
| 両側での筋力 | 両側トレーニング | 0.28(同0.02〜0.54) |
| 筋肥大 | 差なし | — |
| 両脚での跳躍・スプリント・方向転換 | 差なし | — |
つまり、片脚スクワットを練習した人は片脚での力が、バーベル・スクワットを練習した人は両脚での力が伸びやすい。筋力テストの形式に近いトレーニングほど有利になる「特異性の原則」どおりの結果である。
別のメタ分析でも筋肥大は同等
カシアーノ(Witalo Kassiano)氏らが2025年に学術誌『Sports Medicine』で発表したメタ分析も、ほぼ同じ結論だった。703件の文献から条件を満たす9件を分析し、筋肥大は差がなかった(P=0.57)。両側での筋力は両側トレーニング(効果量0.56、P=0.01)、片側での筋力は片側トレーニング(効果量0.65、P=0.001)が上回った。
研究の限界は?
2025年のメタ分析は対象が9件と少なく、研究の質は「中程度のバイアスのリスク」と評価されている。2026年のメタ分析でも、効果を左右する要因を探る分析(メタ回帰)では有意な要因が見つからず、どのような人で差が出やすいかはまだ分かっていない。上級のボディビルダーにそのまま当てはまるかも、今後の検証が必要である。
なお、片腕だけを鍛えると反対側の腕にも効果が及ぶ現象については、クロスエデュケーションのメタ分析を解説した記事で紹介している。
よくある質問
筋肉を大きくしたいなら片側と両側のどちらがよい?
現時点の研究では、筋肥大の効果に差は見られない。続けやすく、狙った部位にしっかり負荷をかけられる種目を選べばよい。
片側トレーニングは左右差の改善に役立つ?
左右を別々に鍛えるため弱い側を意識しやすいが、今回のメタ分析は左右差の改善を主な評価項目にしていない。効果は個別に確かめる必要がある。
スポーツ選手はどちらを重視すべき?
走る・跳ぶ動作が片脚中心の競技なら片側、両脚で踏ん張る動作が多い競技なら両側を多めにするなど、競技の動きに合わせるのが合理的である。
KINNIKU TIMESの視点
「どちらが優れているか」よりも「何を伸ばしたいか」で選ぶのが、2つのメタ分析が示す答えである。筋肥大が目的なら、片側と両側を好みや設備に合わせて組み合わせてよい。ベンチプレスやスクワットの記録を伸ばしたいなら、その種目自体を主軸に置くべきだ。片側種目はバランスを取る分だけ扱える重量は落ちるが、左右それぞれの動きを確認しやすい。両方を取り入れ、目的に応じて比率を調整したい。
出典:Xin X ほか, BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation(2026年7月16日)/Kassiano W ほか, Sports Medicine 55巻4号(2025年1月10日)