ウォールシット(空気椅子)のやり方|秒数の目安と血圧の注意点
ウォールシット(Wall Sit)は、壁に背中をつけたまま膝を曲げ、椅子に座っているような姿勢で止まる種目で、日本では「空気椅子」とも呼ばれます。初心者は20〜30秒を2〜3セットから始め、慣れたら秒数を延ばします。止まっている間も息を止めず、一定のリズムで呼吸を続けてください。
ウォールシット(空気椅子)の3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
ウォールシット(空気椅子)とは?どこが鍛えられる?
ウォールシットは、筋肉の長さを変えずに力を出し続ける「等尺性(アイソメトリック)」の種目です。主に太ももの前(大腿四頭筋)を使い、お尻(大殿筋)やふくらはぎも姿勢を支えるために働きます。動かないため関節の曲げ伸ばしが少なく、場所をとらずにできるのが特徴です。
自重スクワットが「しゃがむ・立つ」をくり返すのに対し、ウォールシットは一番きつい姿勢で止まり続けます。スクワットで深くしゃがむのが不安な人が、脚の力をつける入り口として使うこともできます。
ウォールシットの正しいやり方は?
ポイントは「背中を壁につけたまま、膝の真上に太ももがある姿勢を保つ」ことです。3Dアニメーションで、膝とかかとの位置関係を確かめてください。
- 壁に背中をつけて立ち、足を腰幅に開いて、壁から足一つ分ほど前に出します。
- 背中を壁につけたまま、壁をすべるように腰を下ろしていきます。
- 膝の角度が約90度、太ももが床とほぼ平行になったところで止めます。膝がかかとの真上にくるように、足の位置を調整します。
- 手は太ももの上に置かず、体の横に下ろすか胸の前で組みます。
- 鼻から吸って口から吐く呼吸を続けながら、決めた秒数だけ止まります。
- 終わったら、壁に背中をつけたままゆっくり立ち上がります。
よくある間違いは?
よくあるのは、息を止める、膝がつま先より前に出すぎる、手で太ももを押す、の3つです。
- 息を止める: 力むと息を止めがちですが、血圧が上がりやすくなります。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、血圧の急な上昇を抑えるため、息をこらえないよう注意を呼びかけています。声に出して秒数を数えると、呼吸を続けやすくなります。
- 足が壁に近すぎる: 膝がつま先より大きく前に出て、膝に負担がかかります。膝がかかとの真上にくる位置まで足を前に出します。
- 手で太ももを押す: 脚の負荷が逃げてしまいます。手は太ももから離します。
- 背中やお尻が壁から離れる: 姿勢が崩れ、腰に負担がかかります。背中全体を壁につけます。
- 膝が内側に入る: 膝とつま先の向きをそろえます。
- 限界を超えて続ける: 脚が大きく震えて姿勢が保てなくなったら、そこで終わりにします。
何秒・何セットやればいい?
最初は20〜30秒を2〜3セット、セット間は1〜2分休み、週2〜3日が目安です。厚生労働省のガイドでは、成人と高齢者に筋トレを週2〜3日行うことを勧めています。
| レベル | 秒数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|
| 初心者 | 20〜30秒(膝の角度は浅めでも可) | 2〜3セット | 1〜2分 |
| 中級者 | 45〜60秒(膝の角度約90度) | 3セット | 1〜2分 |
| 上級者 | 60〜90秒、または片脚を浮かせる | 3〜4セット | 2分 |
秒数を延ばすより先に、膝の角度を90度に近づけるのが負荷を上げる順番です。正しい姿勢で60秒以上楽に保てるようになったら、下の「きつくする方法」に進みます。
ウォールシットと血圧の関係は?
研究では、ウォールシットのような等尺性の運動を続けた人で、安静時の血圧が下がる結果が報告されています。ただし、これは運動中に血圧が上がらないという意味ではありません。
エドワーズら(2023年、British Journal of Sports Medicine)は、270件のランダム化比較試験(合計1万5,827人)をまとめ、運動の種類ごとに安静時の血圧への影響を比べました。等尺性の運動では、収縮期(上)の血圧が平均8.24mmHg、拡張期(下)が4.00mmHg下がり、比べた運動の中で下がり幅が大きい結果でした。さらに細かく比べると、収縮期の血圧ではウォールスクワット(壁を使った空気椅子)が上位に入りました。
自宅で行った例として、ワイルズら(2017年、European Journal of Applied Physiology)の研究があります。血圧が正常な健康な男性28人が、4週間、週3回、2分間のウォールスクワットを2分の休憩をはさんで4回行いました。その結果、安静時の血圧は収縮期で平均4mmHg、拡張期で平均3mmHg下がりました。この研究では、心拍数をもとに一人ひとりの膝の角度を決めて行っています。
研究の詳しい内容は、KINNIKU TIMES の等尺性トレーニングと血圧のメタ分析で解説しています。
等尺性の運動では、力を出している間に血圧が一時的に上がります。高血圧と言われている人、血圧の薬を飲んでいる人、心臓の病気がある人は、始める前に医師に相談してください。この種目は血圧の治療の代わりにはなりません。
やさしくする方法・きつくする方法は?
膝の角度、秒数、支える脚の本数で難しさを調整できます。
やさしくする
- 膝の角度を浅くする: 膝を45〜60度ほど曲げた高めの位置で止まります。
- 秒数を短くする: 10〜15秒を数回くり返すところから始めます。
- 足幅を少し広げる: 姿勢が安定しやすくなります。
きつくする
- 膝の角度を90度に近づける: 太ももが床と平行になる位置で止まります。
- 秒数を延ばす: 10秒ずつ延ばします。
- 片脚を浮かせる: 片脚を前に伸ばして、もう一方の脚だけで支えます。左右とも行います。
- 足幅を広げたワイドスタンスで行う: 内ももとお尻の使われ方が変わります。動きのある種目はワイドスクワットで紹介しています。
脚とお尻のメニュー全体は自重で脚とお尻を鍛える、40代・50代からの取り入れ方は自重トレーニング 40代・50代を参照してください。
膝や腰に痛みが出たら、すぐに中止してください。持病のある人、妊娠中の人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。運動中に胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止してください。
よくある質問
空気椅子は何秒できればいいですか?
決まった基準はありません。まず膝の角度約90度で30秒を目標にし、60秒が楽にできるようになったら、片脚にするなど負荷を上げる段階です。
毎日やってもいいですか?
軽い秒数であれば毎日行う人もいますが、脚が強く疲れるまで行う場合は休養日をはさみましょう。毎日続ける場合の考え方は自重トレーニングは毎日やっていい?で解説しています。
高血圧の人がやってもいいですか?
研究では安静時の血圧が下がる結果が出ていますが、運動中は血圧が一時的に上がります。高血圧の人は、始める前に医師に相談し、行ってよいか、どの程度の強さにするかを確かめてください。行う場合も息を止めないでください。
ウォールシットだけで脚の筋肉はつきますか?
脚の筋力を保つ・高める助けにはなりますが、動きのある種目と組み合わせる方が、さまざまな関節の角度で筋肉を使えます。スクワットやランジと組み合わせるのがおすすめです。ランジのやり方はランジで解説しています。
膝が痛いときはどうすればいいですか?
痛みが出たら中止してください。続く場合は医療機関で相談します。痛みのない範囲で行う場合は、膝の角度を浅くし、膝がかかとの真上にあるかを確かめます。ほかの種目の動きは3D種目図鑑、自重トレ全体は自重トレ大全のトップから探せます。
出典
- Edwards JJ, Deenmamode AHP, Griffiths M, Arnold O, Cooper NJ, Wiles JD, O'Driscoll JM 2023「Exercise training and resting blood pressure: a large-scale pairwise and network meta-analysis of randomised controlled trials」British Journal of Sports Medicine
- Wiles JD, Goldring N, Coleman D 2017「Home-based isometric exercise training induced reductions resting blood pressure」European Journal of Applied Physiology
- 厚生労働省 2023「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 情報シート 筋力トレーニングについて」
この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。