スーパーセットの効果は?19研究・313人のメタ分析、時間は約37%短縮で筋肥大は同等
2種目を休憩なしで続けるスーパーセットは、通常のセットと比べてトレーニング時間を約37%短縮しながら、筋力・筋肥大の伸びは同等だった。19研究・313人のメタ分析の結果で、その代わり血中乳酸や主観的なきつさは高くなる。
2種目を休憩なしで続ける「スーパーセット」は、総回数や扱う重量の総量を落とさずにトレーニング時間を約37%短縮でき、長期的な筋力・筋肥大の伸びも通常のセットと同等だった。シン・チャン(Xing Zhang)氏、ジョナソン・ウィークリー(Jonathon Weakley)氏らの研究チームが19研究・313人のデータを統合したメタ分析で、国際誌『Sports Medicine』(2025年)に掲載された。

スーパーセットとは?どんな研究か
スーパーセットは、2つの種目を間に休憩をほとんど挟まずに続けて行う方法である。たとえばベンチプレスとベントオーバーローのように、1セット目の直後に別の種目へ移り、2種目を終えてから休憩をとる。ジムでの滞在時間を短くできる方法として知られるが、「休憩が減る分、効果も落ちるのでは」という疑問があった。
研究チームは2024年2月10日までに公表された論文を4つのデータベースで検索し、スーパーセットと通常のセット(1種目ずつ休憩を挟む方法)を比べた19研究を分析した。参加者は計313人で、15研究では半年以上の筋トレ経験がある人が対象だった。19研究のうち16研究は1回のトレーニング中の反応(急性効果)を、3研究は数週間続けたときの効果(長期効果)を比べていた。
トレーニング時間はどれくらい短くなる?
論文によると、スーパーセットはトレーニング時間を約37%短縮した。一方で、こなせた総回数や「重量×回数」で表す総負荷量は通常のセットと差がなく、時間あたりの効率は大きく高まった。主な結果は次のとおりである(SMDは標準化平均差。プラスはスーパーセットの方が大きいことを示す)。
| 項目 | SMD | p値 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 総回数 | −0.03 | 0.92 | 差なし |
| 総負荷量 | 0.05 | 0.86 | 差なし |
| トレーニング効率 | 1.74 | 0.01 | スーパーセットが高い |
| 血中乳酸(運動中) | 0.94 | 0.03 | スーパーセットが高い |
| 血中乳酸(運動後) | 1.13 | <0.01 | スーパーセットが高い |
| エネルギー消費 | 1.93 | 0.04 | スーパーセットが高い |
| 主観的なきつさ(RPE) | 0.77 | 0.02 | スーパーセットが高い |
スーパーセットで筋肥大は落ちない?
長期効果を比べた3研究を統合すると、最大筋力(SMD 0.10、p=0.36)、筋持久力(SMD 0.07、p=0.81)、筋肥大(SMD −0.05、p=0.87)のいずれも通常のセットと差はなかった。時間を短くしても、得られる筋力や筋肉の伸びは変わらなかったことになる。
ただし、スーパーセットは体への負担も大きい。論文の要点では、通常のセットより内的な負荷が高く、筋損傷の指標がより大きく上がり、主観的なきつさも増すと整理されている。著者らは、時間が限られる人に適した方法だとしつつ、セッション間の回復をより長めにとる必要があるとしている。
どの組み合わせが効率的?
研究チームはスーパーセットを3つの型に分けて分析した。胸と背中のように逆の動きをする筋肉を組み合わせる「拮抗筋型」では、通常のセットより多くの回数をこなせた(SMD 0.68、p=0.01)。一方、同じような動きの種目を続ける型では総負荷量が少なくなった(SMD −1.08、p<0.01)。上半身と下半身など離れた部位を組み合わせる型では、回数に差はみられなかった。
研究の限界
分析の大半は1回のトレーニング中の反応を測った研究で、筋力・筋肥大の長期効果を比べた研究は3件にとどまる。「長期的にも同等」という結論は、まだ少ない研究に基づく点に注意が必要である。また参加者の多くは筋トレ経験者で、初心者や高齢者に同じ結果が当てはまるかは今後の検証を待つ必要がある。
休憩時間そのものの影響については、セット間の休憩を1分と3分で比べた研究も参考になる。ドロップセットなど他の手法については23研究のメタ分析の解説記事で紹介している。
よくある質問
スーパーセットで筋肉は大きくなる?
長期効果を比べた3研究の統合では、筋肥大の伸びは通常のセットと差がなかった。時間を短くしても筋肥大の効果は同程度と考えられるが、研究数はまだ少ない。
どの種目を組み合わせればよい?
このメタ分析では、胸と背中のような拮抗筋の組み合わせで回数が多くこなせた。同じような動きの種目を続けると総負荷量が落ちやすかった。
デメリットはある?
血中乳酸や主観的なきつさが高く、筋損傷の指標も大きく上がる。著者らは次のトレーニングまでの回復をより長めにとるよう勧めている。
KINNIKU TIMESの視点
仕事帰りに60分しか取れない、という人にとってスーパーセットは有力な選択肢である。まずはベンチプレスとロー、アームカールとトライセプスエクステンションのように、逆の動きをする種目を組み合わせるのが無難だ。同じ部位を続けて攻める組み方は総負荷量が落ちやすいので、時短目的なら避けたい。
一方で、きつさや筋損傷は増える。スーパーセットを取り入れた週は睡眠や休養日を意識して確保し、疲れが抜けないと感じたら種目数やセット数を調整する。時間を「節約」した分を回復に回す、という考え方が合っている。
出典:Zhang X, Weakley J, Li H, Li Z, García-Ramos A. Sports Medicine 55(4):953–975(2025年)/PubMed(PMID: 39903375)