ジャイアントセット法とは何か 筋力・筋肥大は従来のセット法と同程度
ジャイアントセット法とは、1つの筋群に対して4種目以上の運動をほとんど休憩を取らずに連続して行うトレーニング法である。トルコの大学の研究チームが抵抗運動未経験の若い男性31人を6週間追跡した結果、ジャイアントセット法はスーパーセット法や「モディファイド・ジャーマン・ボリューム・トレーニング(MGVT)」と比べて、筋力・筋肥大の向上に統計的な差はなかったと報告されている。
複数の種目をほとんど休憩なく連続して行う「ジャイアントセット法」は、1種目ずつ区切って行う従来型のセット法と比べても、筋力・筋肥大の効果に差がないとする研究結果が報告されている。トルコの大学の研究チームが2022年11月、学術誌『Physical Education of Students』に発表した。

ジャイアントセット法とは何か
ジャイアントセット法とは、同じ筋群をターゲットにした4種目以上の運動を、セットの間にほとんど休憩を入れずに連続して行うトレーニング法である。2種目を組み合わせる「スーパーセット法」をさらに拡張した考え方といえる。短時間で多くの種目を追い込めるため、筋肉への刺激を高める方法として一部のボディビルダーやトレーナーに用いられてきたが、通常のセット法(1種目ずつセット間に休憩を取る方法)と比べて効果に優劣があるのかは、これまで実証データが少なかった。
どのような研究で比較されたのか
研究チームは、トルコのフィットネスセンターに通う、抵抗トレーニング未経験の若い男性33人を対象に、次の3グループにランダムに割り振った。
| グループ | 人数(開始時) | 平均年齢 | 方法の特徴 |
|---|---|---|---|
| MGVT群 | 11人 | 21.5±2.4歳 | モディファイド・ジャーマン・ボリューム・トレーニング(高頻度のセット法) |
| スーパーセット(SS)群 | 11人 | 22.4±2.9歳 | 2種目を休憩なく連続 |
| ジャイアントセット(GS)群 | 11人 | 23.0±4.3歳 | 4種目以上を休憩なく連続 |
介入期間は6週間で、ベンチプレス・バーベルロー・ショルダープレスの筋力と、大胸筋・三角筋・広背筋の筋厚・断面積(CSA)を前後で測定した。なお、GS群は個人的な事情により2人が途中で離脱したため、最終的な解析対象は31人(GS群は9人)となっている。
結果:3つの方法のあいだに差はなかった
3グループとも、介入前と比べて筋力(3種目すべて)と筋断面積・筋厚のいずれも統計的に有意に向上した(p<0.05)。一方で、グループ間で比較すると、筋力・筋断面積・筋厚のいずれの項目にも統計的に有意な差は見られなかった(p>0.05)という。研究チームは、抵抗トレーニング初心者の若い男性においては、MGVT・スーパーセット・ジャイアントセットのどの方法でも、筋力と筋肥大を同程度に発達させられると結論づけている。
読者が気をつけたい、この研究の限界
今回の結果を読む際は、いくつかの限界も踏まえておきたい。対象は31人という小規模な試験であり、期間も6週間と短い。対象者も全員が抵抗トレーニング未経験の若い男性に限られており、経験者や女性、高齢者にそのまま当てはまるとは言えない。また、この研究が示したのは「3つの方法に差がなかった」という点であり、「ジャイアントセット法のほうが優れている」ことを示す結果ではない。セット法ごとの上級者向けテクニックの効果については、ドロップセットなど上級テクニックに関する別のメタ分析の記事でも、筋肥大への上乗せ効果は限定的と報告されている。
よくある質問
ジャイアントセット法は時間を短縮できますか。
休憩を減らして複数種目を連続するため、1回のトレーニングにかかる時間は短くなりやすいと考えられるが、今回の研究では時間そのものを比較していないため、短縮効果の大きさは確認できていない。
初心者でもジャイアントセット法を試してよいですか。
今回の研究対象も、もともと抵抗トレーニングの経験がない若い男性だった。ただし高強度の種目を連続して行う分、フォームが崩れやすい面もあるため、初めて取り入れる場合は負荷を軽めに設定し、可能であれば指導者にフォームを確認してもらうことが望ましい。
ジャイアントセット法のほうが効果が高いのですか。
いいえ。今回の研究が示したのは「3つの方法のあいだに差がなかった」という点であり、ジャイアントセット法が他の方法より優れているという結果ではない。
KINNIKU TIMESの視点
どのセット法を選ぶかは、トレーニングにかけられる時間や好みに応じて決めてよいという、実用的な示唆が今回の研究から得られる。もっとも、この研究は6週間・31人という規模の試験であり、長期的な効果やトレーニング経験者への当てはまりについては、さらなる研究が必要である。高強度の種目を休憩なく連続するジャイアントセット法は、フォームの乱れや疲労の蓄積につながりやすい側面もあるため、関節や持病に不安がある場合は、自己判断で追い込みすぎず、医師や専門家に相談のうえで取り入れてほしい。
出典
Demirtaş B, Çetin O, Çakır E, Beyleroğlu M. "The effect of three different sets method used in resistance training on hypertrophy and maximal strength changes." Physical Education of Students, 2022, 26(6): 270-279. DOI: 10.15561/20755279.2022.0601. / DOAJ収録ページ
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