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クラスターセットの効果は?37研究のメタ分析、挙上スピード維持で通常セットを上回る

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
ジムの床に置かれたバーベルのプレート
SUMMARY|この記事の要約

クラスターセットや休憩の再配分は通常のセットより挙上スピードを保ちやすく、37研究のメタ分析で平均速度の効果量は0.41〜0.60だった。ただし方法どうしの差は小さく、時間や環境に合わせて選べばよいと著者は結論づけている。

1セットの途中に短い休憩を挟む「クラスターセット」などの組み方は、休まず連続で挙げる通常のセットより挙上スピードを保ちやすい。研究チームが37研究・611人分のデータを統合したベイズ型ネットワーク・メタ分析を、2026年9月22日に学術誌『Sports Medicine – Open』で発表した。一方で、クラスターセットと「休憩の再配分(レストリディストリビューション)」の差は小さく、実用上の意味はないかもしれないとしている。

ジムでバーベルの横にしゃがむ男性
写真はイメージです(Unsplash)

クラスターセットとは?通常のセットとの違い

論文は、セットの組み方を次の4つに分けて比較した。いずれも総重量・総回数をそろえた条件どうしで比べた研究だけを対象にしている。

組み方 内容(例:5回×2セット)
通常のセット(TS) 5回を連続で挙げ、セット間だけ休む
クラスターセット(CS) セット間の休憩はそのままに、レップ間やセットの途中に短い休憩を追加する
セット内の休憩再配分(intraRR) 総休憩時間は変えず、セット間の休憩の一部をセットの途中に移す
セット間の休憩再配分(interRR) 総休憩時間は変えず、1セットの回数を減らしてセット数を増やす

クラスターセットは休憩が「上乗せ」される一方、2種類の休憩再配分は「総休憩時間が同じ」という点が大きな違いである。

挙上スピードはどれだけ保てた?

筆頭著者はTsuyoshi Nagatani(ツヨシ・ナガタニ)氏で、著者は計8人。G・グレゴリー・ハフ(G. Gregory Haff)氏らが名を連ねる。PubMedとWeb of Scienceから、18〜40歳の健康な参加者を対象に1回のトレーニング中の平均速度・ピーク速度を比べた37研究を抽出した。参加者は611人(男性557人、女性54人)で、種目はベンチプレス、バックスクワット、レッグプレス、パワークリーンなどである。

通常セットと比べた効果(標準化平均差) 平均速度 ピーク速度
クラスターセット 0.60(0.42〜0.80) 0.48(0.20〜0.76)
セット内の休憩再配分 0.41(0.08〜0.75) 0.39(0.04〜0.73)
セット間の休憩再配分 0.42(0.26〜0.61) 明確な差なし(−0.11〜0.43)

括弧内は95%信用区間。平均速度は3つの方法すべてで通常セットを上回った。順位の目安となるSUCRA(最も有効である確率の指標)は、平均速度でクラスターセット99.7%、セット内の再配分46.9%、セット間の再配分46.3%だった。ただし3つの方法どうしを直接比べると、平均速度・ピーク速度ともに意味のある差を示す明確な根拠はなかった。種目(上半身か下半身か)や重量(1RMの60〜79%か80%以上か)によって効果が変わる傾向もみられなかった。

この研究の限界は?

対象はあくまで「1回のトレーニング中の速度」であり、数週間続けたときの筋力や筋肥大への効果は分析していない。参加者の9割超が男性で、クラスターセットと休憩再配分を直接比べた研究は少ない。総休憩時間をそろえていない研究が含まれることや、平均速度では出版バイアス(効果が出た研究ほど公表されやすい偏り)が疑われることも著者は限界として挙げている。

よくある質問

クラスターセットは筋肥大に効きますか?

今回の分析は1回のトレーニング中の挙上スピードを調べたもので、筋肥大への効果は評価していない。筋肥大が目的なら、総セット数や限界までの近さなど、別の要素を優先して考えたい。

セットの途中で何秒休めばよいですか?

含まれた研究の休憩時間はさまざまで、今回の論文は最適な秒数を示していない。著者は、方法の選択は時間の制約や練習環境に合わせて決めればよいとしている。

休憩を増やせない場合はどうすればよいですか?

総休憩時間を変えない「休憩の再配分」でも、平均速度は通常セットより保たれた。1セットの回数を減らしてセット数を増やすだけでも取り入れられる。

KINNIKU TIMESの視点

挙上スピードが落ちにくいことは、パワー系の種目や、スピードを意識して挙げたい日のトレーニングで役立つ。たとえば「5回×4セット」を「3回を休憩短めで多めのセット」に組み替えるだけでも、同じ総回数をより速い動作でこなせる可能性がある。ジム全体の時間が限られているなら、休憩を上乗せするクラスターセットより、総休憩時間が変わらない再配分の方が現実的だろう。

一方で、筋肥大が主な目的なら、セット間の休憩時間の研究(セット間の休憩は1分より3分)や、限界までの追い込みに関するメタ分析(毎セット限界まで追い込むべきか)もあわせて参考にしたい。


出典:Nagatani T, et al. Sports Medicine – Open(2026年9月22日)