クラスターセットとは セット内に短い休憩を入れる手法を解説
クラスターセット法とは、1セットの反復を数回ごとに区切り、10〜30秒程度の短い休憩を挟みながら行うレジスタンストレーニングの手法である。
2025年の研究では、ボリュームと努力度を揃えた場合、筋肥大の効果は伝統的な休憩なしのセットと統計的な差がなかったことが示された。
クラスターセット法は、1セットの反復をいくつかの小さなまとまり(クラスター)に分け、その間に10〜30秒程度の短い休憩を挟むレジスタンストレーニングの手法である。2025年に学術誌『European Journal of Applied Physiology』に掲載された研究では、ボリュームと努力度を揃えた条件で、伝統的なセット法との筋肥大効果の違いが比較されている。
クラスターセット法とは何か
伝統的なセット(TS)は、休憩なく連続して指定回数を行う。一方、クラスターセット(CS)は反復を小さなまとまりに分割し、各クラスターの間に短い休憩を挟むことで、セット終盤まで挙上速度や出力(パワー)の低下を抑えようとする点が特徴である。米国NSCAの学術誌『Journal of Strength and Conditioning Research』に掲載されたTufano・Brown・Haff(2017年)のレビュー論文によれば、既存の研究の大部分は出力(パワー)の維持に注目しており、筋力・筋肥大への長期的な影響についてはまだ解明が少ないと指摘されていた。
2025年の研究は何を比較したのか
スペインの研究チーム(Vargas-Molina氏ら)は、レジスタンストレーニング経験のある10人(男性7人・女性3人)を対象に、同一人物の片脚ごとにCSとTSを割り振る設計で比較した(13人が当初参加し、3人が脱落したため10人で解析)。レッグプレスとレッグエクステンションを週2回、8週間実施。両条件とも5セット×12回でセット数・反復数を揃え、負荷はRIR 0〜1(あと何回もできないまでの余力)に設定して努力度も揃えた。CSは4回×3クラスター(クラスター間休憩20秒)、TSは休憩なく12回連続で行った。
筋肥大に差はあったのか
| 指標 | クラスターセット | 伝統的セット | 条件間の差 |
|---|---|---|---|
| 大腿直筋の筋厚の増加 | +0.24cm(有意、ES0.56) | +0.17cm(有意、ES0.42) | 有意差なし(P=0.297) |
| 大腿の除脂肪量の増加 | +171.8g(有意、ES0.11) | +201.1g(有意、ES0.13) | 有意差なし(P=0.272) |
両条件とも、トレーニング前と比べて筋厚・除脂肪量は統計的に有意に増加したが、クラスターセットと伝統的セットの間に統計的な差は見られなかった。総トレーニングボリュームも、各セッションで両条件に有意差はなかった。
実践する際に注意したいこと
今回の研究は対象者10人・8週間と規模の小さい単一研究であるため、効果の一般化には注意が必要である。それでも、セットの休憩の入れ方よりもボリュームと努力度(RIR)を揃えることが筋肥大において重要だという、RPE/RIRの考え方とも通じる従来の知見を補強する結果と言える。セットの組み方自体に悩む場合は、まず分割法の基本を整えることを優先したい。持病がある人や運動初心者は、トレーナーや医師に相談しながら導入するのが望ましい。
よくある質問
クラスターセットは普通のセットより筋肉が大きくなりやすいのか?
2025年の研究では、ボリュームと努力度を揃えた場合、筋肥大効果に統計的な差は見られなかった。筋肥大だけが目的なら、セット法の違いよりも総ボリュームと努力度を揃えることの方が優先度は高いとみられる。
クラスターセットはどんな人に向いているのか?
従来の研究の大部分は、セット終盤までバーベルの挙上速度や出力(パワー)を落としにくいという点に注目してきた(Tufanoら、2017年)。スピードやパワーの維持を重視するトレーニングでは選択肢になり得るが、研究の蓄積はまだ少なく、今後の検証が必要である。
KINNIKU TIMESの視点
クラスターセットは「筋肥大に特別な効果がある特殊なテクニック」というより、セット内の小休止によってセット終盤まで質の高い反復を保ちやすくする手法、と捉えるのが実情に近い。筋肥大が目的なら、セット法そのものにこだわるより、総ボリューム・努力度(RIR)・漸進性過負荷といった基本を優先して整えることが、現時点の研究が示す優先順位といえる。
出典:Vargas-Molina et al.「Cluster sets and traditional sets elicit similar muscular hypertrophy」European Journal of Applied Physiology 125(6):1725-1734(2025、CC BY 4.0)/Tufano, Brown, Haff「Theoretical and Practical Aspects of Different Cluster Set Structures」Journal of Strength and Conditioning Research 31(3):848-867(2017)
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