筋トレの「RPE」「RIR」とは何か 負荷調整に使う自己評価法を解説
筋トレの負荷調整に使う「RPE」と「RIR」は、あと何回できるかを自分の感覚で判断する自己評価法である。研究では、10代後半の初心者男性を対象にした試験でもRIRを使った負荷設定に高い再現性があることが確認されている。
筋トレの負荷を、機材や1RM測定に頼らず「感覚」で適切に調整するための指標が、RPE(自覚的運動強度)とRIR(レップ・イン・リザーブ)である。両者は同じ考え方を異なる言葉で表したものであり、初心者でも一定の信頼性で使えることが研究で示されている。
RPEとRIRとは何か
RPE(Rate of Perceived Exertion、自覚的運動強度)は、セット中またはセット終了時に感じる「しんどさ」を自分自身で評価する指標である。米国の認定機関NASM(National Academy of Sports Medicine)の解説記事によると、RIR(Reps in Reserve、レップ・イン・リザーブ)は「セット終了時に、質を保ったままあと何回できるか」を表す指標で、たとえば「2RIR」はあと2回できる状態を指すという。NASMは、RPEとRIRは「同じ考え方の異なる言語」であり、どちらを使っても本質的な判断は変わらないとしている。
RPEとRIRの対応関係(スケール)
NASMの解説では、RPE8は約2RIR、RPE9は1RIR、RPE10は限界(0RIR、追加で1回もできない状態)に相当するとされている。目安を表にまとめる。
| RPE | RIRの目安 | 状態 |
|---|---|---|
| 10 | 0 | 限界(追加で1回もできない) |
| 9 | 1 | あと1回できる |
| 8 | 2 | あと2回できる |
| 7 | 3 | あと3回できる |
使い方―負荷とプログレッションの調整
NASMは、RIRを使ったプログレッションの一例として、同じ重量を使い続けながら「1週目は3RIRで終える→2週目は2RIRまで追い込む→3週目は1RIRまで追い込む」という形で、週を追うごとに求める努力度を段階的に上げていく方法を紹介している。また、いつも同じ重量が普段より早い段階で「1RIR」に感じられるようになった場合は、疲労が蓄積しているサインとして負荷や量を見直す目安にもなるという。
信頼性はどこまで研究で確認されているか
RIRを使った負荷設定の信頼性は、学術研究でも検証されている。Journal of Strength and Conditioning Research誌に2022年に掲載されたLovegroveらの研究では、平均年齢17.3歳のトレーニング経験の浅い男性15人を対象に、デッドリフトとベンチプレスでそれぞれ3・5・8回のセット構成で「1RIRに達した」と感じるまで負荷を段階的に増やす手法を、慣熟セッション1回とテストセッション2回で実施した。その結果、再検査信頼性は高く(級内相関係数ICC=0.95〜0.99)、デッドリフトでは3・5・8回のセットでそれぞれ1RMの88.2%・84.3%・79.2%に相当する負荷になったと報告されている。研究チームは、RIRは初心者層でも信頼できる負荷設定の手法だと結論づけている。ただし対象は10代後半の男性15人という小規模な研究であり、女性や高齢者、経験者への当てはまりはさらなる検証が必要である。
よくある質問
RPEとRIRはどちらを使えばいいか
どちらも「あと何回できるか」を測る点で本質的には同じ指標であり、使いやすい方を選んで構わない。RIRの方が回数で直感的に把握しやすいと感じる人が多い。
毎セットRPE10(限界)まで追い込む必要があるか
そうとは言えない。限界まで追い込むこと自体が筋肥大に必須という強い根拠は確認できておらず、RPE7〜9(1〜3RIR)を目安にセットを終えることを勧める専門家が多い。
初心者でも使えるか
使える。前述の研究では10代後半の初心者を対象に高い信頼性が確認されているが、感覚に慣れるまでは経験者よりも見積もりの誤差が大きくなりやすい点には注意したい。
KINNIKU TIMESの視点
RPE・RIRは、器具や1RM測定なしに毎回の追い込み度合いを言葉で管理できる手軽さが利点である。追い込みすぎたと感じた週は、デロード週を取り入れて量を減らしても筋肥大・筋力の伸びは変わらないとする研究もあるため、思い切って強度を落とすのも一案だろう。セット間の休憩の目安は別記事でも取り上げている。持病や関節に不安がある場合は、自己判断で限界(RPE10)まで追い込むのは避け、医師や専門のトレーナーに相談しながら強度を決めることを勧めたい。
出典:NASM「Reps in Reserve: Coaching Intensity With RIR」/Lovegrove et al., Journal of Strength and Conditioning Research (2022) 論文情報(University of Gloucestershireリポジトリ)
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