1RMを測らず推定する方法、EpleyとBrzycki公式の精度とは
1RM(1回だけ挙げられる最大重量)は、5回前後の反復回数とEpley式・Brzycki式を使えば、実測せずに推定できる。
NSCAのロードチャートを使えば、筋肥大・筋力向上・筋持久力それぞれに適した%1RMと反復回数の目安も分かる。
1RM(1回だけ挙げられる最大重量)は、実際にバーベルを担いで測定しなくても、5回前後の反復回数から推定できる。Epley式やBrzycki式といった推定式を使えば、実測値に近い重量を導き出せるほか、NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)が示す%1RMと反復回数の対応表を使えば、目的別の適正な負荷も見積もれる。
1RMとは何か、なぜ毎回測定しないのか
1RM(One Repetition Maximum)とは、正しいフォームで1回だけ挙げられる最大の重量を指す。筋力の絶対的な指標として、パワーリフティングの試合や体力測定で使われるほか、筋トレの負荷設定の基準にもなる。しかし全力の1回挙上は神経系・関節への負担が大きく、フォームが崩れやすいため、スポッターや専門知識がない環境での実測は推奨されない。そのため、現場では3〜10回程度挙げられる重量(サブマキシマルテスト)から1RMを逆算する方法が広く使われている。
Epley式・Brzycki式とは何か
1RM推定式としてもっとも広く使われているのが、Epley式とBrzycki式である。
- Epley式:1RM = 挙上重量 ×(1 + 反復回数 ÷ 30)。考案者はボイド・エプリー(Boyd Epley)氏で、1985年刊行の著書「Boyd Epley Workout」内の「Poundage Chart」で発表された。
- Brzycki式:1RM = 挙上重量 × 36 ÷(37 - 反復回数)。考案者はマット・ブルジッキ(Matt Brzycki)氏で、1998年刊行の著書「A Practical Approach To Strength Training」(McGraw-Hill)で発表された。
両式は反復回数10回の時点では同じ値を返すが、10回未満ではEpley式がやや高い値を示す傾向がある。
どの推定式がどのくらい正確なのか
推定式の精度を検証した研究として、Reynolds・Gordon・Robergsらが2006年に発表した論文(Journal of Strength and Conditioning Research, 20(3), 584-592)がある。18〜69歳の男女70人(男性34人、女性36人)を対象に、レッグプレスとチェストプレスで複数の推定式の精度を比較した。5RM(5回挙げられる重量)を基に推定した場合、レッグプレスでは標準誤差16.16kg(決定係数R²=0.974)、チェストプレスでは標準誤差2.98kg(R²=0.993)という精度が報告されている。同研究では、レッグプレスでは研究者らが考案した式やAbadie式、チェストプレスでは研究者らの式・Brzycki式・O'Connor式が比較的正確だったとされている。いずれの式も反復回数が10回を超えると誤差が大きくなりやすいため、推定には5回以内の反復回数を使うことが望ましいとされる。
NSCAのロードチャート、%1RMと反復回数の目安
NSCAの資料では、%1RMと反復可能回数のおおよその対応関係が次のように示されている。
| %1RM | 反復可能回数の目安 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 約100% | 1回 | 最大筋力の確認 |
| 約87% | 約5回 | 最大筋力の向上 |
| 約67〜85% | 約6〜12回 | 筋肥大 |
| 約67%以下 | 12回以上 | 筋持久力の向上 |
この対応関係はあくまで目安であり、個人差や種目によってずれが生じる点に注意したい。
よくある質問
1RMを推定式で求めるとき、何回の反復を基準にすればよいか
Reynoldsらの研究などを踏まえると、5回以内の反復回数(5RM程度)を基準にしたほうが誤差が小さくなりやすい。
初心者が1RMを実測するのは危険か
フォームが固まっていない段階での全力1回挙上は、関節や腰への負担が大きくリスクも高いため、推定式やサブマキシマルテストを優先し、実測が必要な場合はスポッターや経験者の立ち会いのもとで行うことが望ましい。
KINNIKU TIMESの視点
1RMを毎回測定する必要はない。5回前後で限界になる重量を記録しておき、Epley式やBrzycki式で推定すれば、安全に自分の筋力の目安を把握できる。負荷設定に迷ったときは、NSCAのロードチャートを参考に、筋肥大なら67〜85%1RMで6〜12回、筋力向上なら85%前後で6回以下を目安にするとよい。関連して、筋肥大と筋力向上でのレップ数・負荷の違いについての解説記事も参考にしてほしい。
出典:One-repetition maximum - Wikipedia(Epley式・Brzycki式の数式・出典情報)/Reynolds JM, Gordon TJ, Robergs RA. "Prediction of One Repetition Maximum Strength From Multiple Repetition Maximum Testing and Anthropometry." Journal of Strength and Conditioning Research, 2006, 20(3), 584-592/Achievable CSCS「NSCA Load Chart」(NSCAの%1RMと反復回数の対応表)
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