子どもの筋トレで筋肉は大きくなる?23研究・1,443人のメタ分析、思春期後に効果大
18歳未満の1,443人を含む23研究のメタ分析で、筋トレをした子どもは何もしない子どもより筋肉量が小さいながら有意に増えた(効果量0.22)。他の運動との比較では思春期後の10代で効果が最も大きく(1.50)、筋肥大はどの成長段階でも起こり得るとされた。
子どもや10代でも筋トレで筋肉は大きくなる――。18歳未満の1,443人を含む23研究を統合したメタ分析で、筋トレをしない対照群と比べて筋肉量が小さいながら有意に増えたことが分かった。独アウクスブルク大学のヤニク・コム(Yannik Komm)氏らが2026年9月17日、学術誌「Sports Medicine」に発表した。

子どもの筋トレで筋肉は増える?どんな研究か
「子どもは筋トレをしても筋力は伸びるが、筋肉そのものは大きくならない」という見方は根強い。研究チームは、8週間以上の筋トレを行い、対照群と比べた健康な18歳未満の研究を4つのデータベースで検索し、23研究・1,443人を分析した。筋肉量はMRI、CT、超音波などの画像や、DXA、体組成計(BIA)などで測られていた。
比較相手は2種類に分けた。何もしない(ふだんの生活のまま)「受動的対照」と、筋トレ以外の運動プログラムを行う「能動的対照」である。含まれた研究の多くは週2〜3回、1種目1〜4セット、最大挙上重量(1RM)の50〜85%程度の負荷で、期間は8〜40週だった。
結果:筋肉量の増え方は数字でどれくらい?
| 比較 | 対象 | 効果量(Cohen's d) | 95%信頼区間 |
|---|---|---|---|
| 受動的対照 | 全体 | 0.22(小) | 0.06〜0.37 |
| 受動的対照 | 思春期前 | 0.16 | −0.04〜0.36 |
| 受動的対照 | 思春期中 | 0.30 | 0.01〜0.58 |
| 受動的対照 | 思春期後 | 0.01 | −0.31〜0.33 |
| 能動的対照 | 全体 | 0.61 | 0.03〜1.20 |
| 能動的対照 | 思春期後 | 1.50 | 0.46〜2.54 |
| 能動的対照 | 男子 | 1.26 | 0.29〜2.22 |
| 能動的対照 | 女子 | −0.12 | −1.05〜0.81 |
何もしない群との比較では、全体で小さな効果(d=0.22)が確認された。一方、他の運動をする群との比較では効果が大きく(d=0.61)、とくに思春期後の10代では1.50に達した。著者らは「筋肥大はさまざまな成長段階で起こるが、思春期後の若者で最も大きい」と結論づけている。
研究の限界は?男女差は本当にあるのか
数字の読み方には注意が必要だ。受動的対照との比較は研究間のばらつきが小さかった(I²=18.0%)が、能動的対照との比較はばらつきが大きかった(I²=84.9%)。思春期後で「受動的対照とは差がほぼなし、能動的対照とは大差」という一見矛盾した結果も、比較に使えた研究の数や設計の違いが影響している可能性がある。女子で効果がみられなかった点も、著者らは「トレーニング内容や対照群の特徴で結果が変わる」と慎重な表現にとどめている。研究の質(PEDroスコア)の中央値は10点中6点だった。
よくある質問
子どもが筋トレをすると筋肉は大きくなりますか?
23研究のメタ分析では、筋トレをしない子どもと比べて筋肉量が小さいながら有意に増えた。増え方は思春期後に大きい傾向だった。
子どもの筋トレは危険ではないのですか?
このレビューは、若年者の筋トレは安全で有益と考えられていると紹介している。ただし正しいフォームと適切な重量設定のため、指導者のもとで行うことが前提である。
男子と女子で効果は違いますか?
他の運動との比較では男子の効果が大きかったが、女子のデータは少なく確実なことは言えない。性別よりもプログラムの内容が影響している可能性がある。
KINNIKU TIMESの視点
成人では男女で筋肥大の割合に差がないことが示されている(関連記事)。今回の結果は、10代でも筋トレが筋肉づくりの手段になり得ることを示した点で意義がある。部活動や学校の体育では、週2〜3回・1〜4セット程度の、今回の研究で多かった内容から始め、重量より正しい動作を優先したい。軽めの重量でも回数を重ねれば筋肥大は起こり得る(関連記事)。保護者や指導者は「子どもの筋トレは意味がない」と決めつけず、安全な環境づくりに目を向けるべきだろう。