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ベータアラニンは本当に効くのか 40研究1,461人のメタ分析で検証

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 6分
白い粉末のサプリメントをすくうスクープ
SUMMARY|この記事の要約

ベータアラニンの摂取は、40件の試験・計1,461人を対象にした系統的レビュー・メタ分析で、30秒〜10分程度の高強度運動においてパフォーマンスを高める効果が確認された。

一方、30秒未満のごく短い運動や10分を超える運動では、効果は統計的に裏付けられなかった。

ベータアラニンの摂取は、30秒から10分程度の高強度運動においてパフォーマンスを高めることが、Saunders氏らの研究チームによる40件の試験・計1,461人分のデータを統合したメタ分析で示された。この系統的レビューは2017年、英国スポーツ医学誌(British Journal of Sports Medicine)に掲載された。

ベータアラニンとは何か カルノシンを増やして筋肉の酸性化を防ぐ

ベータアラニンは必須アミノ酸ではないが、体内でヒスチジンと結合してカルノシンという物質を作る際の材料になるアミノ酸である。国際スポーツ栄養学会(ISSN)が2015年に発表したポジションスタンドによると、ベータアラニンは筋肉中のカルノシン合成における律速前駆体であり、継続的に摂取することで筋カルノシン濃度を高める。カルノシンは、高強度の運動で筋肉内に発生する水素イオン(酸)を捕捉する緩衝剤として働くとされ、動物実験では緩衝能への貢献度を最大40%とする推定もあったが、ヒトでの推定値はこれより小さく、約7%とする研究もあるとISSNは記載している。役割の全容解明にはさらなる証拠が必要とも付け加えている。

赤いトラックを走る選手の写真
写真はイメージです(Unsplash)

40研究・1,461人のメタ分析で何がわかったか

Saunders氏らは、二重盲検のプラセボ対照試験(カルノシンの洗い出し期間が不十分になるクロスオーバー試験は除外)を対象にPRISMAに準拠した系統的レビューを実施し、40件の研究・65種類の運動プロトコル(運動指標は計70件)・参加者1,461人(ベータアラニン群746人、プラセボ群715人)のデータを統合した。全体の効果量(標準化平均差)は0.180(95%信頼区間0.078〜0.284)で、統計的に有意だった。

運動時間の区分 効果量 95%信頼区間 有意差
0.5分未満 0.040 −0.220〜0.300 なし
0.5〜10分 0.224 0.088〜0.361 あり
10分超 0.174 −0.030〜0.377 傾向のみ(有意差なし)

運動時間は効果量を左右する統計的に有意な調整因子だった(0.5〜10分の区分と10分超の区分を分けた解析でp=0.004)。つまり、30秒から10分程度で疲労困憊に至るような高強度運動で、最も明確な効果が見られたことになる。

「運動能力」と「競技パフォーマンス」で効果の大きさが違う

同じ0.5〜10分の運動の中でも、疲労困憊までの時間などを測る「運動能力(exercise capacity)」テストの効果量は0.4998(95%CI 0.246〜0.753)と大きく、一定の距離や仕事量をこなす「競技パフォーマンス(performance)」テストの効果量は0.1078(95%CI −0.201〜0.416)で、信頼区間が0をまたぎ統計的に有意ではなかった(テストの種類による差はp=0.013)。論文は、ベータアラニンが疲労困憊までの持続時間を延ばす効果の方が、既に決まった運動をより速く・強くこなす効果よりも確認しやすいと位置づけている。

炭酸水素ナトリウム(重曹)との併用でさらに効果が上乗せされる可能性

ベータアラニンと炭酸水素ナトリウムを併用した試験では、プラセボと比べた効果量が0.433(95%CI 0.230〜0.637、p<0.001)となり、ベータアラニン単独(0.242、95%CI 0.071〜0.412、p=0.006)より大きかった。ただし著者らは、この比較は6件の試験に基づくものであり、さらなる検証が必要だと注記している。重曹を使ったサプリメントの併用効果については、KINNIKU TIMESの別記事「重曹とカフェインは一緒に飲むと効く?」でも取り上げている。

摂取量と注意点 ピリピリ感は「害はない」とされるが長期データはない

ISSNのポジションスタンドは、ベータアラニンの推奨摂取量を1日4〜6g、1回2g以下に分けて摂取するとしている。効果を得るには最低2週間、より大きな効果を得るには4週間以上の継続摂取が必要とされる。よく知られる副作用は、顔や首、手の甲などにピリピリ・チクチクとした感覚(パレステシア)が出ることで、徐放性でない製剤を1回800mgを超えて摂取すると起こりやすく、通常60〜90分ほどで消える。ISSNは「現時点でこのピリピリ感が何らかの害を及ぼすという証拠はない」としているが、1年を超える長期摂取の安全性データは無いとも明記している。持病がある場合や妊娠中、他のサプリメントや薬との併用を考えている場合は、自己判断で続けず医師や薬剤師に相談することが望ましい。

よくある質問

ベータアラニンはどんな運動に向いていますか

30秒から10分程度で疲労困憊に至るような高強度の運動(インターバル走やHIIT、短時間で追い込む種目など)で効果が確認されています。30秒未満の非常に短い運動や、10分を超える運動では、今回のメタ分析では統計的に裏付けられた効果はありませんでした。

プロテインやクレアチンと一緒に摂っても問題ありませんか

今回のメタ分析はベータアラニン単独または炭酸水素ナトリウムとの併用を検証したもので、プロテインやクレアチンとの相互作用を直接検証したものではありません。摂取のタイミングや量に不安がある場合は、医師や薬剤師に相談してください。

KINNIKU TIMESの視点

今回のメタ分析が示したのは、ベータアラニンが「すべての筋トレ」に効くわけではなく、30秒〜10分程度で追い込む高強度の運動で効果が見込める、という条件付きの結果である。一般的な筋力トレーニングの1セット(数秒〜1分程度)にそのまま当てはまるとは限らない点には注意したい。試してみる場合は、ISSNが示す1日4〜6gを2g以下に分けて摂取する目安を参考に、まずは2〜4週間継続して体調の変化を見ながら判断するのが現実的だろう。


出典:Saunders B, et al.「β-alanine supplementation to improve exercise capacity and performance: a systematic review and meta-analysis」British Journal of Sports Medicine 51(8):658-669(2017)/Robert Gordon University機関リポジトリ(著者最終稿全文)/Trexler ET, et al.「International Society of Sports Nutrition Position Stand: Beta-Alanine」Journal of the International Society of Sports Nutrition 12:30(2015)

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