大会前の減量は週0.5〜1%のペースで ナチュラル・ボディビルの栄養指針を論文で解説
ボディビルの大会に向けた減量(コンテストプレップ)で、「どれくらいのペースで体重を落とすのが筋肉を残しやすいのか」。この問いに、2014年に国際スポーツ栄養学会誌(JISSN)で発表された総説論文が数値つきで答えています。著者はエリック・ヘルムズ氏ら3人です。論文自体は12年前のものですが、現在も大会準備の議論で参照される基本文献です。
この記事では、論文の要旨と本文から確認できた数値を整理します。論文は「ナチュラル(ドーピング検査のある大会)のボディビルダー」を想定したもので、直接の研究が少ない分野をほかの研究から推定した推奨である点にご注意ください。
体重の落とし方は「週0.5〜1%」
論文は、摂取カロリーを「体重が週あたり約0.5〜1%減る水準」に設定することを推奨しています。目的は筋肉量をできるだけ残すことです。準備期間は「2〜4か月」が望ましいとされています。
理由として、減量幅(カロリー不足の大きさ)が大きいほど、落ちる体重のうち除脂肪量(筋肉など)が占める割合が増えやすいことを挙げています。論文が引用した研究は次の2つです。
- 筋トレをする女性で、週1kgと週0.5kgのペースを4週間比べると、ベンチプレスの筋力が5%低下し、テストステロンの減少が30%大きかった
- アスリートで週あたり体重の1.4%と0.7%のペースを4〜11週間比べると、体脂肪の減少は速い群で21%、遅い群で31%。遅い群では除脂肪量が平均2.1%増え、速い群では変化がなかった
論文はこれらから「より緩やかな減量ペースのほうが除脂肪量の維持に優れる可能性がある」と結論づけています。
栄養素の目安
| 項目 | 論文の推奨 |
|---|---|
| 体重減少ペース | 週あたり約0.5〜1% |
| 準備期間 | 2〜4か月 |
| たんぱく質 | 除脂肪量1kgあたり1日2.3〜3.1g |
| 脂質 | 総カロリーの15〜30% |
| 炭水化物 | 残りのカロリー |
| 食事回数 | 1日3〜6回 |
| トレーニング前後のたんぱく質 | 体重1kgあたり0.4〜0.5g |
論文は「ほとんどの(すべてではない)ボディビルダーにはこの範囲が合う」と書いています。範囲の外でうまくいく人もおり、大会を重ねながら自分に合う配分を確かめる必要があるとも述べています。食事の回数やタイミングを変えても、脂肪の減少や除脂肪量の維持への影響は小さいとされています。
極端な低炭水化物(ケトジェニック)食については、ボディビルダーでの研究が不十分だとしたうえで、「大半のエビデンスは、さらに研究が進むまでは避けるべきだと示している」と述べています。
減量が進んで仕上がりに近づいたら、炭水化物を25〜50g増やしてカロリー不足を100〜200kcal小さくする方法が、パフォーマンスと除脂肪量を保つ選択肢になりうると例示しています。
サプリメントと大会直前の注意
サプリメントでは、クレアチン一水和物、カフェイン、ベータアラニンに大会準備に関係する有益な効果がみられるとしています。ほかのものは効果がないか、さらなる研究が必要とされています。
大会直前の水抜きや電解質の操作については「危険になりうるうえ、見た目が良くなるとは限らない」と明記しています。大会前の炭水化物増量(カーボローディング)は理論上の根拠はあるものの研究が少なく、行うなら本番前に試して個別に効果を確かめるべきだとしています。
見落とされやすい心の面
論文は最後に、見た目を競う競技では摂食障害やボディイメージの障害のリスクが高まるとして、競技者が適切なメンタルヘルスの専門家にかかれる環境を持つべきだと述べています。
大会後の動きについては、当サイトのナチュラル選手19人を12週追跡した研究の記事もあわせてご覧ください。減量後の「燃え尽き」のような気分の落ち込みは、ヘルムズ氏が関わるチャンネルでも話題になっています。次の動画はその一例です(動画の題名のみを確認しており、内容は本記事の根拠にしていません)。
この論文を読むときの注意
- 論文自身が「ナチュラルボディビルに関する直接のデータは極めて限られる」と認めており、推奨の多くはほかの集団の研究からの推定です
- 2014年の論文であり、その後の研究は反映されていません
- 個人の体組成や健康状態により適切な量は異なります。持病のある方や極端な減量を考えている方は、医師や管理栄養士に相談してください
出典
- Helms ER, Aragon AA, Fitschen PJ. Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation. J Int Soc Sports Nutr. 2014. DOI: 10.1186/1550-2783-11-20 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4033492/
- Team3DMJ(YouTubeチャンネル) https://www.youtube.com/watch?v=OyzvIOxZbkQ
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