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リバースダイエットとは?大会後のリバウンドと食事の戻し方を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 13分
ナチュラル・ボディビル大会で1位の表彰を受ける出場者(中央)
SUMMARY|この記事の要約

大会後のリバウンドを抑えるとされるリバースダイエット。総説は効果の検証が必要だとし、2026年の追跡研究では食事を大きく増やした選手ほど代謝の回復が早かった。研究者が勧める「1〜2か月で楽な体重に戻す」戻し方と、女性選手の注意点をまとめた。

リバースダイエットは、大会後に摂取カロリーを段階的に増やし、急な脂肪の増加を抑えようとする食事の戻し方だ。理論上の根拠はあるが、効果を直接確かめた研究はまだない。研究者は、大会後1〜2か月で無理なく続けられる体重に戻すことを勧めている。

2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部

大会が終わった直後は、減量で抑えていた食欲が一気に戻り、体重が数日で大きく増えることが珍しくない。そこで注目されているのが「リバースダイエット」だ。本記事では、リバースダイエットを説明した総説、大会後の回復を追った研究、選手への聞き取り調査の要旨をPubMedで確認し、分かっていることと分かっていないことを整理した。大会後12週の体の変化を詳しく追った研究は「減量後のリバウンドは6週が山場」の記事で解説しているので、本記事は食事の戻し方の考え方に重点を置く。

リバースダイエットとは何か

トレクスラー(Trexler)氏らが2014年に国際スポーツ栄養学会誌に発表した総説は、リバースダイエットを、減量を終えた後に急な脂肪の増加を避けるため、摂取カロリーを段階的にゆっくり増やしていく方法と説明している。フィジーク選手の間で広まった方法だという。

狙いは次のように説明されている。少しだけカロリーが余る状態をつくってホルモンやエネルギー消費を減量前の水準に戻しつつ、回復していく代謝に摂取量をできるだけ合わせて、脂肪がつきすぎるのを防ぐ。理想的には、急な脂肪の増加を避けながら、ホルモンと代謝を元に戻せるとされる。

ただし同じ総説は、成功例の報告は経験談であり、効果を確かめる研究が必要だと明記している。2025年に発表された選手19人への聞き取り調査でも、著者らは、見た目を競う競技の大会後の回復について明確な指針はないと述べている。リバースダイエットは、理屈は通っているが、まだ実証されていない方法である。

体重計に乗った両足。大会後は体重の推移を週の平均で見るとよい
画像:Wikimedia Commons(Bill Branson, National Cancer Institute, パブリックドメイン)より

大会後の体には何が起きるのか

ロバーツ(Roberts)氏、ヘルムズ(Helms)氏らが2020年に発表したフィジーク選手向けの栄養の総説は、減量を終えた選手の体は「体重が戻りやすい状態」にあると説明する。エネルギー消費が下がり、空腹感が強まっているためだ。大会から数日で体重が大きく増えることが多く、過食も起こりやすい。大会後3〜4週間で最大8kg戻った男女の例も報告されているという。

大会後の回復を追った主な研究を並べると、減量で落ちたものが戻るまでにかかる期間が見えてくる。

研究 対象 大会後に分かったこと
Rossow ら(2013) ナチュラルの男性1人 体脂肪率は4.5%から14.6%に戻った。テストステロンは減量前の水準に回復したが、筋力は6か月後も完全には戻らなかった
Pardue ら(2017) ナチュラルの男性1人 8か月の減量後、5か月の回復期間で変化の大半は戻ったが、すべてではなかった
Hulmi ら(2017) フィットネス競技の女性27人 摂取量を増やし有酸素運動を減らした3〜4か月で、体重と多くのホルモンが元に戻った。T3とテストステロンは戻りきらなかった
Halliday ら(2016) ナチュラルの女性フィギュア選手1人 20週の減量で下がった摂取量・体重・体組成が、20週の回復期間の終わりまでに元の値に戻った
Chappell ら(2021) ナチュラル選手4人 減量で平均8.6kg減った体重が、大会2か月後には7.9kg増えた。多くの指標は2か月で元に戻った
Buechel ら(2026) ナチュラルのフィジーク選手19人 脂肪量も除脂肪量も、主に大会後6週間で戻った。12週後の除脂肪量は減量開始時を上回った

ロバーツ氏らの総説は、大会後に体重の大部分を取り戻せば、グレリン、甲状腺ホルモン、インスリン、コルチゾールはおおむね3〜4か月で元の水準に近づき、レプチンとテストステロンは完全な回復に5〜6か月かかることがあるとまとめている。月経が止まった女性選手では、さらに長くかかる場合があるという。

食事は急に戻すべきか、ゆっくり戻すべきか

ここが、リバースダイエットをめぐる最大の論点だ。研究からは、どちらにも利点と欠点があることが読み取れる。

戻し方 研究から読み取れる利点 研究から読み取れる欠点
大会後すぐに大きく増やす Buechel ら(2026)では、大会後に摂取量を大きく増やした選手ほど、体格で補正した安静時代謝の回復が早かった 同じ研究で、脂肪量の増加も同時に起きていた。ロバーツ氏らは、急な体重の回復は脂肪の増えすぎにつながる可能性を指摘
段階的にゆっくり増やす(リバースダイエット) トレクスラー氏らは、理論上は脂肪の増加を抑えながらホルモンと代謝を戻せるとした 効果を確かめた研究はない。Buechel らは、不必要に長い食事制限は体の回復を遅らせる可能性があるとしている

急な体重の回復で心配されること

ロバーツ氏らの総説は、長い減量の後に食べすぎると脂肪細胞が増え、減量前より体脂肪が増える「オーバーシュート」が起きやすくなる可能性を紹介している。根拠の一部は動物実験で、体重の増減をくり返すスポーツ選手は後年のBMIが高い傾向があるという研究も引用している。カロリンスカ研究所のファーゲルベリ(Fagerberg)氏の2018年の総説も、極端な減量の後の再摂食で体脂肪が増えすぎる問題を指摘した。

長く絞り続けることで心配されること

一方、ビューケル(Buechel)氏らの2026年の研究は、大会後の回復を「能動的で計画的な段階」として扱うべきだとし、食事を計画的に増やすこと、脂肪が増えることへの現実的な見通しを持つこと、不必要に長い制限を避けることを勧めた。リバースダイエットを「できるだけ低いカロリーを長く保つ方法」と解釈すると、かえって回復を遅らせかねない。

ジムのマシンでトレーニングするボディビルダー。大会後もトレーニングを続けることが回復の前提になる
画像:Wikimedia Commons(US Air Force, パブリックドメイン)より

研究者が勧める大会後の戻し方

ロバーツ氏らの総説は、大会後の回復を2段階に分けて考えることを提案している。

時期 目標 総説が挙げる考え方
大会後1〜2か月 無理なく続けられる、楽な体重に戻す 量を決めたうえで、段階的だが十分なカロリーの余りをつくる。最も重いオフシーズンの体重まで戻す必要はない
その後の1〜2か月 オフシーズンの理想の体脂肪率に戻し、除脂肪量を完全に取り戻す 減量で落とした量に応じて、ほぼ一定のペースで戻す
全期間を通じて 計量や記録に頼りきらない食べ方に戻る 空腹感や満腹感といった体の感覚を手がかりに、食事の量を調整する習慣を取り戻す

ここでいう「理想のオフシーズンの体組成」について、総説は、ホルモンが正常に保たれ、筋肉を増やしやすく、次の大会で過度な減量をしなくて済み、大会後の過食が収まる体脂肪率だと説明している。具体的に週に何kcalずつ増やすべきかを示した研究は、今回確認した範囲では見つからなかった。増やし方は、体重の推移、空腹感、睡眠、気分、トレーニングの調子を見ながら決めることになる。

選手自身が語った「うまくいった回復」

ビューケル氏らが2025年に発表した、ナチュラル選手19人(男性11人、女性8人)への聞き取り調査では、回復のしやすさは、減量の厳しさ、コーチの支え、選手の心の準備によって左右されていた。著者らは、早めに回復の計画を立てること、大会後の食事とトレーニングを柔軟にすること、目標を見た目から体の機能へ切り替えることが役立つとまとめた。調査の題名は「準備が厳しいほど、回復も厳しい」である。

女性選手が気をつけたいこと

フルミ(Hulmi)氏らが女性のフィットネス競技者27人を追った研究では、4か月の減量でレプチン、T3、テストステロン、エストラジオールが下がり、月経不順が増えた。ロバーツ氏らの総説は、女性選手の63%が減量中に月経の異常を報告し、大会後の回復期間を経ても28%で異常が続いていたという調査を紹介している。Buechel ら(2026)の研究でも、月経周期が自然にあった女性7人のうち6人が大会2週後に無月経で、12週後も2人は回復していなかった。月経が止まった状態が続く場合は、婦人科などの医療機関に相談してほしい。

よくある質問

リバースダイエットをすればリバウンドしないのか

そうとは言えない。リバースダイエットの効果を直接確かめた研究はなく、トレクスラー氏らの総説も研究が必要だとしている。大会後に体重がある程度戻るのは、ホルモンや代謝が回復するうえで必要な過程でもある。

大会後、体重はどこまで戻ってよいのか

ロバーツ氏らは、大会後1〜2か月で「無理なく続けられる体重」に戻すことを勧めている。大会時の体重を保とうとする必要はない。研究では、大会後12週で減量前と同程度の脂肪量に戻った例が報告されている。

大会後もトレーニングは続けるべきか

続けたい。大会後に摂取量が増える時期は、減量中に落ちた除脂肪量を取り戻す機会でもある。Buechel ら(2026)の研究では、12週後の除脂肪量が減量開始時を上回っていた。たんぱく質の目安は体重1kgあたり1.6gのメタ分析の記事が参考になる。

過食してしまったらどうすればよいか

翌日に食事を大きく抜いて帳尻を合わせると、過食と制限のくり返しにつながりやすい。ロバーツ氏らは、食べ物を「良い・悪い」で分けない考え方や、決まった時期にコーチと体の状態を確認する方法を勧めている。過食がくり返される、食べることへの強い不安があるといった場合は、医師や専門家に相談してほしい。

KINNIKU TIMESの視点

研究を読むと、大会後の課題は「体重を増やさないこと」ではなく、「どう戻すかを計画しておくこと」だと分かる。リバースダイエットという言葉は、少しずつしか食べてはいけない方法のように受け取られがちだが、ビューケル氏らの研究は、長く絞り続けるほうが回復を遅らせる可能性を示している。急に戻すことと絞り続けることの両極を避け、1〜2か月かけて楽な体重に戻すというロバーツ氏らの提案が、現時点では最も研究に沿った考え方だろう。

初めて大会に出る人は、大会の日だけでなく「大会後の2か月」の食事とトレーニングの予定も、減量を始める前に決めておくとよい。減量期間の立て方は減量期間の早見表、減量中の食事は大会前の減量食、大会直前の調整はピークウィークの解説、休止期間の入れ方はチートデイの記事にまとめている。

出典

筋メシナビ

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