クレアチンは運動なしで効く?アーノルド氏が最新研究に慎重姿勢
アーノルド・シュワルツェネッガー氏は10月9日、ニュースレターで「クレアチンは効果があるが魔法ではない」と述べ、運動をしなければ効果は限定的だと注意を促した。
根拠とされた米テキサスA&M大学の新しい研究では、運動とクレアチンを組み合わせた参加者の方が、クレアチン単独摂取の参加者より筋力の伸びが大きかった。
アーノルド・シュワルツェネッガー氏は2026年10月9日(日本時間10日未明)、自身のニュースレター「アーノルズ・パンプクラブ」で、クレアチンは効果があるが「魔法ではない」とし、運動をしなければ筋肉はつきにくいと注意を促した。米専門メディアFitness Voltが同日、この発言を報じた。きっかけは、米テキサスA&M大学のチームが発表した新しい研究で、同氏はその結果の一部が過大に受け取られていると指摘したという。
.jpg?width=1280)
シュワルツェネッガー氏は何を指摘したのか
Fitness Voltによると、シュワルツェネッガー氏はニュースレターで次のように述べたという。「クレアチンは効果があるが、魔法ではない(Creatine is effective, but it's not magic)」「筋力や筋肉をつけたいなら、結局はジムでの努力が必要だ(If you want to build strength and muscle, you still need to put in the work at the gym)」。さらに、今回取り上げた研究について「二つの事実を区別することが大事だ。この研究はクレアチンの効果を誇張しすぎている」とも主張していると伝えている。クレアチンは筋肉細胞に水分を引き込む性質があり、体組成計で測る「除脂肪量」の増加の一部は水分によるものだという指摘も紹介されている。
根拠となった研究はどんな内容か
同氏が取り上げたのは、米テキサスA&M大学のリチャード・クライダー氏らの研究チームが、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の学会誌『Journal of the International Society of Sports Nutrition』(2026年、学会年次大会の抄録集)に発表した研究だという。科学ニュースサイトLifespan.ioの記事によると、対象は45〜65歳(平均約54.5歳)の運動習慣のない成人64人(女性40人・男性24人、平均BMI約30)で、運動プログラム(週3回の筋力トレーニングと有酸素運動)に参加するかどうかは本人の選択に委ね、その中でクレアチン一水和物(1日2回5gずつ)かプラセボかを参加者・研究スタッフ双方に分からない形でランダムに割り付けたとされる。期間は12週間である。
| 比較(運動+食事管理を行ったグループ) | クレアチン群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| レッグプレス最大筋力の増加 | 約34%増 | 約18%増 |
| ベンチプレス最大筋力の増加 | 約23%増 | 約12%増 |
| 体脂肪率の低下(12週後) | 約3.24ポイント | 約1.87ポイント |
この数値はLifespan.ioが報じた、運動と食事管理を行ったグループ同士の比較である。一方、シュワルツェネッガー氏がニュースレターで紹介したという「運動をしなかったグループ」の結果については、Fitness Voltの報道によれば、クレアチンを摂取した参加者の除脂肪量の増加が6週目の約3.7ポンドから12週目には約2.8ポンドへ縮小し、ベンチプレス力は約8%向上したものの統計的には有意ではなかったという。本稿執筆時点では論文の該当部分を直接確認できておらず、この数値はシュワルツェネッガー氏の発言とそれを報じた記事の内容に基づくものである。
研究デザイン上、注意したい点
この研究は、サプリメント(クレアチンかプラセボか)の割り付けについてはランダム化・二重盲検で行われているが、「運動をするかしないか」自体は参加者本人の選択であり、ランダム化されていない。したがって、運動群と非運動群を単純に比較して因果関係を結論づけることはできない。また、今回の発表は学会誌の年次大会抄録集(サプリメント号)に掲載されたもので、通常の査読論文とは独立して評価する必要がある段階のデータである点にも留意したい。
クレアチンの効果は科学的にどう位置づけられているか
ISSNが2017年に公式見解(ポジションスタンド)で示した整理では、クレアチンは健康な人が推奨量を守れば安全性が高く、高強度の運動能力を高める効果が研究で繰り返し確認されているとされる(ISSN公式見解の解説記事)。また、トレーニング経験者・未経験者を比べた61試験・1,457人のメタ分析でも、効果が確認されているのは「クレアチン+筋トレ」を組み合わせた場合であり、除脂肪量の増加分には水分の影響も含まれると注記されている(関連記事)。今回シュワルツェネッガー氏が示した「運動なしでは効果が限定的」という見方は、これまでの研究の積み重ねとも大筋で一致している。
よくある質問
クレアチンだけ飲めば筋肉はつきますか?
これまでの研究の多くは、クレアチンを筋力トレーニングと組み合わせた場合に効果を確認している。運動をしない場合の効果は限定的、または統計的に明確でないとする報告がある。
シュワルツェネッガー氏はクレアチンに否定的なのですか?
否定しているわけではない。本人は「効果はあるが過大評価は禁物」という立場を示しており、過去にもクレアチンを安全性が高く効果のあるサプリメントとして紹介している。
除脂肪量が増えたのに筋肉がついていないことはありますか?
ありうる。クレアチンは筋肉細胞に水分を引き込む性質があり、体組成計が示す除脂肪量の増加分には水分が含まれることが研究者から指摘されている。
KINNIKU TIMESの視点
今回の一件は、話題になりやすい研究結果を著名人自身が「落ち着いて読もう」と呼びかけた珍しい例といえる。クレアチン自体は、これまでの研究の蓄積から安全性・効果とも評価が固まったサプリメントだが、効果が最大化されるのは筋力トレーニングと組み合わせた場合である点は変わらない。運動習慣のない人が「飲むだけ」で大きな変化を期待するのは禁物で、まず無理のない範囲で体を動かす習慣を作ることが先決だろう。持病がある人や服薬中の人、これから運動を始める45歳以上の人は、始める前に医師に相談してほしい。
出典:Fitness Volt「Arnold Schwarzenegger On If Creatine Works Without Exercise」(2026年10月9日)/Lifespan.io「Creatine Protects Lean Mass Even Without Exercise」(2026年9月25日)/Chun J, Liu Y, Kibler GL, et al. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 23(sup1), 2716273(2026)
コメント
この記事について思ったことを書けます。誤解を招くのを避けるため、誘導のある宣伝、他者への中傷、個人情報、法令に反する内容は公開しません。体調や治療に関わる判断は、必ず専門家にご相談ください。