クレアチンと筋トレで除脂肪量は平均1.39kg増。61試験のメタ分析、初心者と経験者を比較
筋トレとクレアチンの併用を検証した61試験・1,457人のメタ分析で、除脂肪量はプラセボ比で平均1.39kg多く増え、体脂肪量には有意な変化がなかった。経験者の方が増加幅は大きかったが、初心者との差は統計的に有意ではなかった。
「クレアチンは初心者にしか効かない」という話は本当か。クレアチンを筋トレと組み合わせると除脂肪量が増えやすいことはよく知られているが、トレーニング経験の有無でその効果が変わるかは明らかではなかった。国際スポーツ栄養学会(ISSN)の学術誌「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に掲載されたメタ分析は、この問いに対して「初心者も経験者も除脂肪量が増え、経験者の方が増加幅は大きい傾向だった」という答えを示した。クレアチン研究で知られるカナダのダレン・キャンドウ博士や、ISSN共同創設者のホセ・アントニオ博士も著者に加わっている。
分析の対象と方法
研究チームは2025年3月までに発表された対照試験を主要データベースで検索し、筋トレ中にクレアチンとプラセボを比較した61試験を集めた。参加者は計1,457人(クレアチン群750人、対照群697人)で、61試験のうち56試験が二重盲検で行われている。試験期間は4日から364日まで幅があった。評価項目は体重、BMI、除脂肪量、体脂肪量、体脂肪率で、参加者を「トレーニング経験者」と「未経験者」に分けても解析した。
結果:除脂肪量は増え、体脂肪は変わらず
| 項目 | プラセボとの差(平均) |
|---|---|
| 除脂肪量(全体) | +1.39kg(95%信頼区間1.07〜1.70) |
| 除脂肪量(経験者) | +1.82kg |
| 除脂肪量(未経験者) | +1.23kg |
| 体重 | +0.89kg(95%信頼区間0.76〜1.01) |
| 体脂肪量・体脂肪率・BMI | 有意な差なし |
経験者の除脂肪量の増加は未経験者の約1.5倍だったが、著者らはこの差は統計的に有意ではなかったと明記している。体重の増加幅は両者で同程度だった。また、クレアチンの摂取量と体重・BMIの変化の間には有意な関連(用量反応関係)がみられた。収録された試験の摂取法は、最初の5〜7日間に1日20g前後を摂る「ローディング」の後、1日3〜10gを続ける形が多かった。
解釈上の注意点
注意したいのは、「除脂肪量」は筋肉そのものだけでなく、体内の水分なども含む指標である点だ。クレアチンは筋肉内に水分を引き込む性質があるため、増加分のすべてが筋組織の増加とは限らない。また、試験の期間や用量、対象者の条件はばらつきが大きく、経験者と未経験者の差については「大きい傾向がみられた」段階にとどまる。個人ごとの効果を保証するものではなく、平均的な傾向として捉えるべき結果である。
KINNIKU TIMESの視点
「数年鍛えてきたから今さらクレアチンは意味がない」と考える必要はなさそうだ。今回の分析では経験者でも除脂肪量の増加がみられ、平均値はむしろ初心者を上回っていた。ただし効果は筋トレと組み合わせた場合のものであり、飲むだけで筋肉がつくわけではない。また、飲み始めに体重が1kg程度増えることがあるのは水分の影響も大きく、「太った」と慣ててやめる必要はない。体重階級のある競技者は、この体重変化を計算に入れておきたい。持病のある人や服薬中の人は、摂取前に医師に相談してほしい。
出典:Ashtary-Larky D, et al. Creatine supplementation and resistance training: a comparison between novice and experienced lifters - a systematic review and dose-response meta-analysis. Journal of the International Society of Sports Nutrition(2025年)/同論文 全文(PMC)