運動しなくてもクレアチン10gで除脂肪量アップ、45〜65歳64人のRCT
米テキサスA&M大学の研究チームが45〜65歳の健康な成人64人を対象に12週間の二重盲検RCTを実施し、運動指示なしでもクレアチン1日10gの摂取で除脂肪量が平均約1.1kg増え、脚・胸のプレス筋力も向上したことを確認した。運動を併用した群ではさらに増加量が大きかったが、記憶力など認知機能への効果は研究チーム自身が「探索的な所見」としており断定は避けている。
クレアチンは、筋トレなどの運動をしなくても、12週間の摂取だけで除脂肪量(体重から脂肪を除いた量)を増やし、筋力を高める効果があることが、米テキサスA&M大学の研究チームによる二重盲検ランダム化比較試験(RCT)で確認された。論文は2026年8月11日にオンライン公開され、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の学会誌「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に掲載された。
どんな研究だったのか
研究を主導したのは、テキサスA&M大学のリチャード・クレイダー(Richard Kreider)教授(運動・スポーツ栄養学研究室ディレクター)らのチームで、論文の筆頭著者はJisun Chun氏。対象は45〜65歳の健康な成人で、参加を希望した136人のうち条件を満たして説明を受けたのは94人、実際に12週間の介入を完了したのは64人だった。参加者はまず「運動と食事指導のプログラムに取り組む群」と「特別な運動指示を受けない群」に分けられ、それぞれの群の中でさらにクレアチン一水和物を摂取する群とプラセボ(偽薬)を摂取する群にランダムに割り付けられた、2×2デザインの試験である。
運動をしない群でも除脂肪量・筋力が向上
クレアチンの摂取量は1日10g(朝5g・夜5gの計2回)で、期間は12週間。除脂肪量・体脂肪量はDXA(二重エネルギーX線吸収測定法)で、筋力は脚のプレスと胸のプレスの動作で測定された。
特別な運動指示を受けなかった群でも、クレアチンを摂取した参加者は12週間で除脂肪量が平均約1.1kg(約2.4ポンド)増加し、脚・胸のプレス筋力も向上した。運動をしていないにもかかわらず、サプリメントの摂取だけで体組成と筋力の両方に変化が見られたことになる。
運動を併用するとさらに効果が大きい
運動と食事指導のプログラムに取り組んだ群では、クレアチンを摂取した参加者の除脂肪量が12週間で平均約1.4kg(約3ポンド)増加し、運動をしなかった群よりも増加量が大きかった。また、この群では体脂肪率の低下も、運動をしない群より大きく見られたという。
| 群(いずれもクレアチン1日10g・12週間) | 除脂肪量の変化 | その他の変化 |
|---|---|---|
| 運動指示なし+クレアチン | 約+1.1kg(+2.4lb) | 脚・胸のプレス筋力が向上 |
| 運動プログラムあり+クレアチン | 約+1.4kg(+3lb) | 体脂肪率の低下がより大きい |
プラセボ群との詳細な数値の差や統計的有意性(p値)については、記者会見や報道で公開された情報の範囲では明らかにされていない。詳細は学会誌に掲載された論文本体に記載されている。
記憶力などの認知機能への効果はどうか
この試験では記憶力や反応速度なども測定されたが、研究チーム自身が「個々の認知機能・生体指標に関する所見は探索的なものであり、確認のためのさらなる研究が必要」と説明している。現時点では、クレアチンの摂取で記憶力が改善すると断定できる段階ではなく、今後の追加研究の結果を待つ必要がある。
摂取量の目安と注意点
クレアチンについて、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」には摂取基準や耐容上限量の項目はなく、国が定めた摂取量の目安は存在しない。今回の研究で使われた1日10gは、一般的なサプリメント製品の推奨量(1日3〜5g程度)より多い量にあたる。腎機能に不安がある人や持病のある人、通院・服薬中の人は、自己判断で摂取量を増やす前に医師に相談することが望ましい。
クレアチンの価格帯や商品ごとの違いについては、KINNIKU TIMES内の「クレアチンと筋トレ併用、高齢者の筋力が有意に改善 11件のメタ分析」でも解説している。商品選びの際は、筋トレ最安ナビのクレアチン価格比較も参考にできる(筋トレ最安ナビ調べ、価格は変動します)。
よくある質問
クレアチンは筋トレをしていなくても効果があるのか
今回のRCTでは、特別な運動指示を受けなかった45〜65歳の参加者でも、クレアチンの摂取だけで除脂肪量の増加とプレス系動作の筋力向上が確認された。ただし運動を併用した群の方が効果は大きかった。
どのくらいの量をどのくらいの期間摂取した研究なのか
この研究では1日10g(朝夕5gずつ)のクレアチン一水和物を12週間摂取した。持病がある場合は、開始前に医師に相談することが望ましい。
記憶力も本当によくなるのか
記憶力や反応速度も測定されたが、研究チームは認知機能に関する所見を「探索的」と位置づけており、現時点で効果を断定することはできない。
KINNIKU TIMESの視点
クレアチンは筋トレをしている人の間では定番のサプリメントだが、今回の研究は「運動習慣がない45歳以降の人でも、除脂肪量や筋力にプラスの効果が見込める」可能性を示した点で注目に値する。もっとも、運動を併用した群の方が除脂肪量の増加や体脂肪率の低下が大きかったことも研究では示されており、クレアチンだけに頼って運動を避けるのは本末転倒である。ウォーキングや軽い筋力トレーニングにクレアチンを組み合わせることが、40代・50代以降の体づくりでは現実的な選択肢の一つになりそうだ。認知機能への効果はまだ「探索的な所見」の段階であり、続報が出れば改めて取り上げたい。
出典:Texas A&M University, Texas A&M Stories「Study finds creatine's benefits extend beyond the gym」(2026年9月18日)/PsyPost「Creatine improves muscle mass and cognitive function in older adults even without exercise」/ナゾロジー「運動しなくても『クレアチン』12週間で筋肉と記憶の指標が改善、45〜65歳で」/論文:Chun J, et al. "Journal of the International Society of Sports Nutrition" (DOI: 10.1080/15502783.2026.2716273、2026年8月11日オンライン公開)
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