ベータアラニンに反復スプリント能力向上の効果なし、17研究293人のメタ分析
反復スプリント能力を高める目的でのベータアラニン摂取に、統計的に有意な効果は確認されなかった。
17件のランダム化比較試験、合計293人を対象としたメタ分析がFrontiers in Nutrition誌に2026年3月26日付で掲載された。
反復スプリント能力を高める目的でのベータアラニン摂取には、統計的に有意な効果が認められなかったとするメタ分析が、学術誌「Frontiers in Nutrition」に掲載された。中国のJinan University(広州)などの研究者らによる論文で、2026年3月26日付で同誌に掲載されている。
ベータアラニンとはどんなサプリメントか
ベータアラニンは非必須アミノ酸の一種で、体内で筋肉中のカルノシン濃度を高める作用が知られている。カルノシンは高強度運動時に筋肉内にたまる水素イオンを緩衝する働きを持つとされ、短時間の高強度運動を繰り返すスポーツでのパフォーマンス向上を期待して、多くの市販サプリメントに配合されている。
今回のメタ分析は何を対象にしたのか
研究チームは、反復スプリント能力(Repeated Sprint Ability、以下RSA)を評価したランダム化比較試験17件、合計293人(平均年齢16〜28歳、大半が男性、女性のみを対象とした試験は3件)を対象にシステマティックレビューとメタ分析を行った。運動様式はランニングが9件、サイクリングが6件、スイミングが2件である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象研究数 | 17件のランダム化比較試験 |
| 対象者数 | 293人(平均年齢16〜28歳) |
| 摂取期間 | 3〜10週間(大半は4〜6週間) |
| 1日摂取量 | 3.2〜6.4g |
| 総摂取量 | 134.4〜268.8g |
| 掲載誌 | Frontiers in Nutrition(2026年3月26日) |
結果はどうだったのか
論文によると、平均RSAパフォーマンス(標準化平均差 SMD=−0.018、95%信頼区間−0.207〜0.170、p=0.841)、ピークRSAパフォーマンス(SMD=0.205、95%信頼区間−0.073〜0.483、p=0.130)、疲労減衰の指標(SMD=−0.020、95%信頼区間−0.516〜0.476、p=0.929)のいずれについても、統計的に有意な差は確認されなかった。摂取量・期間・運動様式・トレーニング状況で分けたサブグループ解析でも、差は見られなかったという。
なぜ効果が見えなかったのか
著者らは「持続的なベータアラニン摂取は、反復スプリント時の総仕事量・最大無酸素パワー・疲労耐性のいずれにも明確な改善をもたらさない」と結論づけている。理由として、カルノシン増加による緩衝能の向上は、数秒から十数秒程度の反復スプリントを制限する主な要因であるリン酸クレアチン(PCr)の枯渇や、その間の酸化的な回復過程とは関連性が薄いためではないかと考察している。
なお著者らは、GRADE(エビデンスの確実性評価)で平均・ピークRSAの根拠を「低い」、疲労指数については「非常に低い」と評価しており、1群あたりの人数が20人に満たない小規模な試験が多いこと、事前登録のない試験が多いこと、女性を対象にした試験が少ないことなどを限界点として挙げている。
よくある質問
ベータアラニンを飲んでも意味がないのか
今回のメタ分析が否定したのは、あくまで数秒から十数秒の運動を繰り返す「反復スプリント能力」への効果である。それ以外の運動様式への効果まで否定するものではなく、目的によって評価が異なる可能性がある点には注意が必要である。
なぜ効果が見られなかったのか
著者らは、反復スプリントの主な制限要因がリン酸クレアチンの枯渇や回復過程であり、ベータアラニンが高めるカルノシンの緩衝作用とは仕組みが異なるためではないかとしている。
このメタ分析の信頼性はどの程度か
著者ら自身がGRADE評価で「低い」から「非常に低い」としており、小規模な試験が多い点や女性を対象とした研究が少ない点など、今後さらなる大規模研究が必要な段階である。
KINNIKU TIMESの視点
ベータアラニンはクレアチンなどと並んで店頭でよく見かける成分だが、今回の結果は「短時間の反復スプリント」という特定の運動様式に限った話である点に注意したい。関連するアミノ酸系サプリメントの検証としては、シトルリンマレートに関するメタ分析の記事も参考になる。購入を検討する場合は、価格面についてFITPEAKの筋トレ最安ナビも参考にできる。
出典:Liang W, et al. "No ergogenic effect of β-alanine on repeated sprint ability: a systematic review and multilevel meta-analysis of randomized controlled trials." Frontiers in Nutrition(2026年3月26日)/DOI: 10.3389/fnut.2026.1818755
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