クレアチン・プロテイン・オメガ3、筋力に効くのはどれ?1211人で比較
クレアチン・プロテイン・オメガ3脂肪酸を比較したネットワークメタ分析で、筋力はクレアチン、持久力はプロテイン、回復はオメガ3が最も効果的だったことが分かった。分析対象は35件の無作為化比較試験・参加者1,211人で、いずれも半年以上のトレーニング歴がある人が対象である。
クレアチン・プロテイン・オメガ3脂肪酸を同じ土俵で比較したところ、効果の出方は目的によってはっきり分かれることが分かった。2026年3月、学術誌「Nutrients」に韓国・世宗大学校(Sejong University)と漢陽大学校(Hanyang University)の研究チームが、35件の無作為化比較試験・参加者1,211人分のデータを統合したネットワークメタ分析を発表した。
何と何を比較した研究なのか
研究チームはMEDLINE、Embase、Cochrane CENTRAL、Web of Science、SPORTDiscus、Scopusの主要データベースを横断的に検索し、「半年以上の構造化されたトレーニング歴がある人」を対象に、プロテイン・クレアチン・オメガ3脂肪酸のいずれかを補給した無作為化比較試験を集めた。組み入れられたのはプロテインが14試験583人、クレアチンが14試験417人、オメガ3脂肪酸が7試験211人で、合計35試験1,211人である。頻度論の変量効果モデルによるネットワークメタ分析で直接比較と間接比較のデータを統合し、「筋力」「持久力パフォーマンス」「回復」の3項目について、どのサプリメントが最も効果的かをSUCRA(累積ランキング曲線下面積)という指標で確率的に順位づけした。
結果は「目的によって勝者が違う」
3項目それぞれで、最も効果が高いと推定されたサプリメントは異なっていた。
| 指標 | 最も効果的だったサプリ | SUCRA値 | 効果量(SMD、95%信頼区間) |
|---|---|---|---|
| 筋力 | クレアチン | 82.4% | 0.46(0.29〜0.63) |
| 持久力パフォーマンス | プロテイン | 85.2% | 0.28(0.08〜0.48) |
| 回復 | オメガ3脂肪酸 | 88.7% | 0.40(0.18〜0.62) |
SUCRA値は0〜100%で示され、数字が大きいほど「その指標において最も効果的である確率が高い」ことを意味する順位づけの指標であり、効果の大きさそのものを表す数値ではない。効果の大きさは併記したSMD(標準化平均差)で見る必要がある。
なぜ得意分野が分かれるのか
論文は今回のデータから作用機序そのものを検証したわけではないが、一般的にクレアチンは筋肉内のクレアチンリン酸を増やし、瞬発的で高強度な出力を要する動作を助けるとされる。プロテインは筋タンパク質合成やグリコーゲン再合成に関わり、持久系のパフォーマンスや疲労回復を支えると考えられている。オメガ3脂肪酸は抗炎症作用が知られており、運動後の炎症反応を緩和することで回復を助けている可能性がある。ただし、これらはあくまで一般に知られている作用の説明であり、今回の論文自体が機序を証明したものではない点には注意したい。
数値を読むときの注意点
今回の分析にはいくつかの限界がある。第一に、ネットワークメタ分析による間接比較は、直接比較した無作為化比較試験のデータより不確実性が高いと論文自身が明記している。第二に、各指標の異質性(研究間のばらつき)は「中程度」とされ、結果には一定の幅があることを示す。第三に、オメガ3脂肪酸は組み入れられた試験数が7件・211人と他の2つより少なく、信頼区間もより広い。第四に、対象はいずれも半年以上のトレーニング歴がある人に限られており、運動習慣のない一般の人にそのまま当てはめられるかは分かっていない。論文はGRADE評価により、間接比較部分の根拠の確実性を「低い」としている。
よくある質問
クレアチン・プロテイン・オメガ3を全部摂れば、全部の効果が同時に得られる?
今回の研究は各サプリメントを単独で比較したもので、複数を併用した場合の相乗効果や相互作用までは検証していない。目的に応じてどれを優先するかを考える材料と捉えるのが妥当である。
筋トレを始めたばかりの初心者にもこの結果は当てはまる?
対象は半年以上のトレーニング歴がある人に限られており、初心者にそのまま当てはまるかどうかは今回のデータからは分からない。
オメガ3は筋肥大に効果がないという記事を見た。矛盾していないか?
矛盾はしていない。今回の研究が示したのはあくまで「回復」の指標での効果であり、筋肥大そのものへの効果とは別の話である。KINNIKU TIMESが以前伝えたオメガ3と筋肥大に関する14週間の試験では、オメガ3の上乗せ効果は確認されなかった。指標によって結論が異なる点に注意したい。
KINNIKU TIMESの視点
今回の分析が示すのは「万能なサプリメントはない」という当たり前の事実を、数字で裏づけたことだといえる。筋力を伸ばしたい時期はクレアチン、持久系のトレーニングや疲労回復を重視する時期はプロテインやオメガ3脂肪酸というように、目的とタイミングに応じて優先順位をつける考え方が実践的である。すでにクレアチンの効果に関する別のメタ分析やホエイプロテインの最適摂取量を伝えてきたとおり、量とタイミングを守ることが前提になる。摂取量を検討する際は、価格面では筋トレ最安ナビ(クレアチン)や筋トレ最安ナビ(プロテイン)も参考にしてほしい(筋トレ最安ナビ調べ、価格は変動する)。持病がある人や薬を服用中の人は、サプリメントの利用前に医師に相談することが望ましい。
出典:Wang Z, Qin G, Kim BM. "Comparative Effects of Dietary Protein, Creatine, and Omega-3 Supplementation on Muscle Strength, Endurance, and Recovery in Trained Athletes: A Systematic Review and Network Meta-Analysis." Nutrients 2026;18(6):909./スポーツ栄養Web(日本スポーツ栄養協会)「プロテイン・クレアチン・オメガ3FAのサプリを筋力・持久力・回復の3項目で比較」
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