高タンパクなら減量でも維持カロリーでも筋肉は増える、30人のRCTで確認
体重1kgあたり2.5gの高タンパク質を摂取しながら10週間の筋力トレーニングを行うと、カロリーを減らしても維持しても除脂肪量が有意に増加することが30人のRCTで確認された。
スペインの研究チームが専門誌「European Journal of Applied Physiology」に発表した。
体重1kgあたり2.5gという高めのタンパク質を摂取しながら筋力トレーニングを10週間続けたところ、カロリーを減らしても、カロリーを維持したままでも、除脂肪量(筋肉などの脂肪以外の組織量)が有意に増加したことが、30人を対象としたランダム化比較試験(RCT)で確認された。スペインのマラガ大学などの研究チームが専門誌「European Journal of Applied Physiology」(電子版は2026年4月6日公開、印刷版は同年7月発行)に発表した。
どんな研究か 対象は筋トレ経験1年以上の30人
研究チームは、抵抗運動(筋力トレーニング)の経験が1年以上ある成人30人(平均23.0歳、体格指数26.3)を、無作為に3つのグループへ振り分けた。いずれのグループも週4日、10週間の筋力トレーニングプログラムを実施し、体組成はDXA(二重エネルギーX線吸収法)で開始時と終了時に測定した。
- ISO群(10人):維持カロリーの食事+体重1kgあたり2.5gの高タンパク質
- DEF群(10人):維持カロリーから1日250kcalを減らした食事+体重1kgあたり2.5gの高タンパク質
- 対照群(10人):同じ筋力トレーニングのみ実施、食事の指導・管理は行わない
カロリーを減らした群と維持した群、結果に差はあったか
10週間後、体脂肪量はDEF群で平均2.94kg減少(統計的に有意、p<0.001)した一方、ISO群の減少幅は平均1.41kgにとどまり、有意水準には届かなかった(p=0.051)。ただし3群を通した統計的な交互作用の検定では、体脂肪の変化量そのものに群間の有意差は確認されなかった(p>0.05)。
一方、除脂肪量(筋肉などを含む)はISO群で平均0.97kg、DEF群で平均1.04kgそれぞれ有意に増加した(ISO:p<0.001、DEF:p=0.009)。体脂肪組織を除いた除脂肪量(FFM−FFAT)で見ても、ISO群で平均1.22kg、DEF群で平均1.50kgの増加が確認されている。この除脂肪量の変化パターンについては、3群を通した交互作用の検定でも統計的に有意な差がみられた(FFM:p=0.034、FFM−FFAT:p=0.006)。
| グループ | 食事の内容 | 体脂肪量の変化 | 除脂肪量の変化 |
|---|---|---|---|
| ISO群 | 維持カロリー+高タンパク質(2.5g/kg) | −1.41kg(p=0.051) | +0.97kg(p<0.001) |
| DEF群 | 1日250kcal減+高タンパク質(2.5g/kg) | −2.94kg(p<0.001) | +1.04kg(p=0.009) |
| 対照群 | 食事指導なし(トレーニングのみ) | −0.15kg(p=0.782、変化なし) | +0.02kg(p=0.975、変化なし) |
何もしなかった対照群はどうなったか
食事の指導や管理を受けず、同じ筋力トレーニングだけを続けた対照群では、体脂肪量・除脂肪量ともに統計的に意味のある変化は見られなかった(いずれもp≧0.778)。研究チームは、今回の結果について「高いタンパク質摂取(体重1kgあたり2.5g)が、体脂肪量と除脂肪量の同時改善を後押しした可能性があり、従来のエネルギー収支モデルに一石を投じるものだ」と結論づけている。
どれくらいのタンパク質を摂ればよいのか
今回の研究で両群が摂取した体重1kgあたり2.5gという量は、一般的な運動習慣のない成人向けの摂取基準よりかなり多い。KINNIKU TIMESでこれまで紹介してきた研究では、除脂肪量の増加にはホエイプロテインで1日30〜35g程度が目安になるとの分析もあり、必要量は体重や運動量によって幅がある。米国スポーツ医学会(ACSM)が改定した筋力トレーニングの指針でも、筋肥大には十分なタンパク質摂取とトレーニングボリュームの両方が重要とされている。腎機能に不安がある人などは、高タンパク食を始める前に医師に相談することが望ましい。
よくある質問
減量中でも筋肉は増やせるのか
体重1kgあたり2.5gという高めのタンパク質を摂取しながら週4日の筋力トレーニングを10週間続けた場合、軽度のカロリー制限をしていても除脂肪量は平均1.04kg増加したことが今回のRCTで示された。ただし対象は平均23歳の若い成人30人による10週間の結果であり、誰にでも同じ効果が保証されるものではない。
カロリーを減らす方法と維持する方法、どちらがよいのか
今回の結果では、体脂肪の減少幅はカロリーを減らしたDEF群の方が数値上大きかったが、統計的な群間差は確認されなかった。除脂肪量の増加はどちらの方法でも見られたため、体脂肪を早く落としたいか、筋肉の増加を優先したいかという目的に応じて選べる可能性がある。
普通に筋トレするだけでは駄目なのか
今回の対照群のように、食事の管理をせず筋力トレーニングだけを10週間続けた場合、体脂肪量・除脂肪量ともに統計的に意味のある変化は見られなかった。研究チームは、高いタンパク質摂取を伴う食事管理の重要性を指摘している。
KINNIKU TIMESの視点
目的に応じてカロリーを減らすか維持するかを選べるという今回の結果は、無理な減量に走りがちな人にとって参考になる内容である。ただし今回の研究は10週間・30人という小規模なRCTであり、著者ら自身も、体組成の測定に4-compartmentモデルより精度が落ちるとされるDXAを用いたこと、対象が若い男性中心(女性4人・男性26人)であったこと、実際の食事摂取量を厳密に確認できていないことなどを研究の限界として挙げている。長期的な効果や、女性・高齢者での再現性は今後の研究を待つ必要がある。極端なカロリー制限は筋肉量の減少や体調不良につながる可能性があるため、体重・体調の変化を見ながら無理のない範囲で行うことが望ましい。
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