ケトジェニックダイエットで筋肉は落ちる?除脂肪量の減少は0.48〜1.26kg大きい
ケトジェニックダイエットでは、除脂肪量が通常の減量食より0.48〜1.26kg多く減るとするメタ分析がある。ただし水分やグリコーゲンの減少を含むため筋肉が減ったとは言い切れず、たんぱく質と筋トレが最も確かな対策だと最新レビューは結論づけた。
ケトジェニックダイエット(糖質を極端に減らす食事法)で減量すると、除脂肪量は通常の減量食より0.48〜1.26kg多く減るとするメタ分析がある一方、その数値には水分やグリコーゲンの減少が含まれ、筋肉そのものが減ったのかは区別できない。イタリアのサン・ラッファエーレ・ローマ大学などの研究チームが、こうした研究を整理したレビュー論文を栄養学誌『Nutrients』に2026年9月7日付で発表した。

ケトジェニックダイエットで除脂肪量はどれだけ減る?
レビューが取り上げた既存のメタ分析では、ケトジェニック食は非ケトジェニック食に比べて除脂肪量(体脂肪以外の重さ)の減少がやや大きかった。
| 比較の対象 | 除脂肪量の差(ケトジェニック食側) | 95%信頼区間 |
|---|---|---|
| ランダム化比較試験18件のメタ分析 | −0.81kg | −1.32〜−0.30 |
| 21研究・744人のメタ分析 | −0.48kg | −0.73〜−0.23 |
| 筋トレを行う参加者に限った解析 | −1.26kg | −1.82〜−0.70 |
いずれも統計的には差があるものの、著者らは「差は小さい」と評価している。注目すべきは、筋トレをしている人でも除脂肪量の減り方がより大きかった点である。
「除脂肪量の減少=筋肉の減少」ではない理由
レビューが強調するのは測定方法の問題である。多くの研究は、体内の水分量に左右されやすいDXA(二重エネルギーX線吸収法)や体組成計(生体電気インピーダンス法)で除脂肪量を測っており、MRIやCTで筋肉そのものを直接測った研究は少ない。糖質を減らすと筋肉に蓄えられたグリコーゲンと、それに結びついた水分が抜けるため、測定上の除脂肪量は減って見える。このため、筋たんぱく質そのものが失われたのか、グリコーゲンと水分が減っただけなのかは区別できないとしている。
- 著者らの結論:ケトーシス自体が筋肉を守るのか、損なうのかを判断する根拠は現時点で不十分
- 減量初期・適応期・糖質を戻す移行期で、グリコーゲンや水分の量が変わる点にも注意が必要
筋肉を守るために確かなことは?
著者らは、ケトジェニック食は一部の肥満の成人にとって短期的には有効な選択肢になり得るとしつつ、筋肉を守る方法として最も根拠があるのは「十分なたんぱく質」「筋トレ」「筋力と身体機能の定期的な確認」だと結論づけている。肥満のある高齢者では、1日に体重1kgあたり最低1.0〜1.2gのたんぱく質を確保する指針が紹介されている。筋肉量の数値よりも、筋力や身体能力の測定のほうが健康の見通しを示しやすいとも指摘した。
研究の限界
本研究は複数の研究結果を統合して数値を出すメタ分析ではなく、文献を整理した「ナラティブレビュー」である。検索したデータベースはMEDLINEのみで、研究の質の正式な格付けも行っていない。高齢者や2型糖尿病の人、GLP-1受容体作動薬などの薬を併用する人のデータも少ない。薬を使った減量と除脂肪量の関係はGLP-1薬のメタ分析の記事で紹介している。
よくある質問
ケトジェニックダイエットは筋肉が落ちやすい?
除脂肪量は通常の減量食より0.48〜1.26kg多く減るとするメタ分析があるが、水分やグリコーゲンの減少を含むため、筋肉が落ちたとは言い切れない。
減量中に筋肉を守るには?
十分なたんぱく質の摂取と筋トレが、食事法の種類にかかわらず最も根拠のある方法である。
体組成計の除脂肪量が減ったら筋肉が減った証拠?
そうとは限らない。体組成計やDXAは体内の水分量の影響を受けるため、糖質制限の初期には数値が大きく動きやすい。
KINNIKU TIMESの視点
糖質制限を始めた直後に体組成計の「筋肉量」が減っても、慌てる必要はない。数値の変化にはグリコーゲンと水分の減少が含まれている可能性があるからだ。一方で、筋トレをしている人でも除脂肪量の減少が大きかったというデータは軽視できない。どの食事法で減量するにしても、たんぱく質を毎食しっかり確保し、筋トレの使用重量や回数を記録して、筋力が落ちていないかを指標にするのが現実的である。食事だけでたんぱく質が足りない場合の選び方はプロテインの価格比較も参考にしてほしい。食事時間を区切る別の食事法については時間制限食と増量の試験の記事も参考になる。
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