オリンピア級の筋肉は減量でどう変わる?体重6.4kg減で僧帽筋の厚み28%減
ミスター・オリンピア出場経験のあるプロボディビルダー1人を分析した事例研究では、摂取カロリーを44%減らした減量期に体重が6.4kg減り、皮下脂肪はほぼ変わらないまま9か所の筋厚がすべて減少した(僧帽筋上部は28.4%減)。研究チームは、筋肉内のグリコーゲン減少が関係している可能性を挙げている。
ミスター・オリンピアに出場するレベルのプロボディビルダーでも、増量期から減量期に移ると、体脂肪はほとんど変わらないまま全身9か所の筋肉の厚みがすべて薄くなっていた――。こんな事例研究が、米国ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)の学術誌「Journal of Strength and Conditioning Research」に2026年に掲載された。オリンピア2026の決勝を前に、トップ選手の体が減量でどう変化するのかを数字で示した貴重なデータである。
どんな研究?対象者と測り方
ジュゼッペ・ロザーチ(Giuseppe Rosaci)氏らの研究チームが、ミスター・オリンピア出場経験のあるプロボディビルダー1人の大会準備を追った。論文では選手の名前は明かされていない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | プロボディビルダー1人(38歳、身長176cm、体重128.7kg) |
| 比較した時期 | 増量期と減量期の2時点 |
| 筋肉の測定 | 超音波(Bモード)で9か所の筋厚と、画像の明るさを補正した「エコー輝度」 |
| 測った筋肉 | 肘の屈筋群、上腕三頭筋、大胸筋、僧帽筋上部、内側広筋・外側広筋、大腿二頭筋、腓腹筋(内側・外側) |
| その他 | トレーニングと食事の記録、皮下脂肪厚(3か所)による体組成の推定 |
減量で何が変わった?結果の数字
1日の摂取カロリーは増量期の約5,620kcalから減量期は約3,140kcalへと44%減らした。一方、筋トレの内容はほぼ変えなかった。
| 指標 | 増量期→減量期の変化 |
|---|---|
| 摂取カロリー | 約5,620kcal→約3,140kcal(−44%) |
| 体重 | 6.4kg減 |
| 皮下脂肪厚(3か所の合計) | 0.7mm減のみ |
| 筋厚 | 9か所すべてで減少(僧帽筋上部−28.4%、腓腹筋内側−12.8%が目立った) |
| エコー輝度 | ほぼ全部位で上昇(肘の屈筋群+28.2%、大腿二頭筋+30.4%) |
体重が6.4kg減ったのに皮下脂肪はほとんど変わらず、筋肉が薄くなった形である。
筋肉が落ちたということ?研究チームの解釈
エコー輝度は、一般に筋肉内の脂肪などが増えると高くなるとされる指標だ。しかし今回は脂肪量が増えていないのに輝度が上がった。研究チームは、減量期に筋肉のグリコーゲン(糖の貯蔵)が減ったことが関係している可能性を挙げている。グリコーゲンは水分と一緒に筋肉に蓄えられるため、筋厚の減少がすべて筋たんぱく質の減少を意味するとは限らない。
研究チームは、エリート選手の大会準備では皮下脂肪に加え、筋厚とエコー輝度を組み合わせて見ることで、食事と練習への筋肉の反応をよりよく理解できると結論づけている。
研究の限界は?
対象は1人だけの事例研究で、結果をほかの選手や一般のトレーニーにそのまま当てはめることはできない。超音波の筋厚は測る位置や姿勢で値が変わりやすく、体組成も皮下脂肪厚からの推定である。筋厚の減少のうち、グリコーゲンや水分の変化と筋肉そのものの減少がどれだけを占めるかは、この研究では区別できていない。
よくある質問
プロボディビルダーの増量期と減量期の食事量はどれくらい違う?
この事例では1日約5,620kcalから約3,140kcalへ、44%減らしていた。筋トレの内容はほぼ同じだった。
減量で筋肉が薄くなるのは筋肉が落ちたから?
必ずしもそうとは言えない。研究チームは、筋肉内のグリコーゲンが減ったことが一因の可能性を指摘している。
KINNIKU TIMESの視点
一般のトレーニーも、減量中に「腕が細くなった」「張りがなくなった」と感じることは多い。今回の事例は、体重や見た目の変化が脂肪だけでなく筋肉内のグリコーゲンや水分の減少も反映しうることを示している。減量中に筋肉の見た目がしぼんでも、筋トレの強度を保ち、たんぱく質を十分にとり続けることが大切だ。トップ選手の食事の数字は、オリンピア直前に公開されたニック・ウォーカーの1日5,760kcalやウェスリー・フィッサーズの減量食の記事でも紹介している。
出典:Rosaci G, Biban S, Bartolomei S. Beyond the Limits of Human Muscle Hypertrophy: A Case Study of a Mr. Olympia Competitor Bodybuilder. Journal of Strength and Conditioning Research(2026年)/PubMed
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