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筋肉のつきやすさは遺伝子で違う?187人・12週、除脂肪量は−3.6〜+7.6kg

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
暗い背景に浮かぶDNAの二重らせん
SUMMARY|この記事の要約

同じ筋トレを12週間続けても、除脂肪量の変化は−3.6kgから+7.6kgまで人によって大きく異なり、約11%は増えなかった。北京体育大学の187人の研究で9つの遺伝的変異が見つかり、それらを組み合わせたスコアで個人差の27.7%を説明できた。

同じメニューで12週間筋トレをしても、除脂肪量(筋肉量の目安)の増え方は人によって−3.6kgから+7.6kgまで開いた。北京体育大学の研究チームが、運動習慣のない若年成人187人を対象にこの個人差と遺伝子の関係を調べ、9つの遺伝的変異を特定したとする論文を、国際誌『Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle』に2026年7月15日付で発表した。

遺伝的スコアの分布と、12週間の筋トレ後の除脂肪量の変化率の関係を示すグラフ
図:Gu Zほか「Genome-Wide Association Study of Lean Body Mass Response to Resistance Training in Young Asians」Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle(2026)Figure 2/出典:Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle/ライセンス:CC BY 4.0(改変なし)。棒グラフが遺伝的スコアの分布、折れ線が除脂肪量の変化率を示す。

どんな研究か?対象者と方法

対象は北京体育大学の学生から募集した、運動習慣のない187人である。女性が51.3%、平均年齢は21.5歳。全員が同じ条件で、指導者の監督のもと12週間の筋トレに取り組んだ。

  • 種目:ベンチプレスとスクワット
  • 強度:1RM(1回挙げられる最大重量)の70%。4週ごとに1RMを測り直して重量を調整
  • 量:論文の記載では8回×10セット
  • 頻度:週2回(2日以上あけて実施)
  • 測定:DXA法(二重エネルギーX線吸収法)で除脂肪量を前後に測定

遺伝子は、約68万の遺伝子マーカーを調べるチップで解析し、除脂肪量の変化と関連する変異を網羅的に探すゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。解析では開始時の除脂肪量、BMI、年齢、性別などの影響を補正している。

筋肉の増え方の個人差はどれくらい?

12週間で除脂肪量は平均45.3kgから47.0kgへ、平均1.7kg(標準偏差1.5kg)増えた。ただし個人差は大きい。

項目 結果
除脂肪量の平均変化 +1.7kg
変化の幅 −3.6kg〜+7.6kg
除脂肪量が増えなかった人 約11%
0〜10%増えた人 約86%
10%以上増えた人 約3%

「筋肉がつきやすい遺伝子」は見つかったのか?

研究チームは、除脂肪量の増え方と関連する9つの遺伝的変異(SNP)を新たに特定した。このうち、神経の形成や筋芽細胞の分化に関わるとされるROBO2遺伝子に関連する変異(rs10212396)は、単独で個人差の7.59%を説明したという。

さらに9つの変異を組み合わせた「遺伝的スコア(GPS)」を作ると、除脂肪量の変化率のばらつきの27.7%を説明でき、スコアが高い人ほど除脂肪量の増加率が高い傾向がみられた。

この研究の限界は?

著者ら自身が、GWASとしては対象者が少ないこと、全ゲノム解析ではなくチップによる解析であること、別の集団で結果を確かめていないこと、変異の働きを実験で検証していないことを限界に挙げている。遺伝的スコアは同じ187人のデータから作られているため、別の集団に当てはめると説明力は小さくなる可能性がある。また、裏を返せば個人差の7割以上は今回のスコアでは説明できていない。筋トレの反応の個人差については、高齢女性を対象にした別の研究の記事も参考になる。

よくある質問

筋肉のつきやすさは遺伝で決まる?

一部は遺伝の影響を受けるが、決まるわけではない。今回の遺伝的スコアで説明できたのは個人差の27.7%である。

筋トレで筋肉が増えない人はどれくらいいる?

この研究では、12週間後に除脂肪量が増えなかった人が約11%いた。ただし週2回・2種目という限られたメニューでの結果である。

遺伝子検査で自分に合う筋トレがわかる?

現時点ではわからない。今回の結果は別の集団で再現されておらず、個人の指導に使える段階ではない。

KINNIKU TIMESの視点

同じメニューでも伸び方に差が出るのは、努力不足だけが原因ではないことを示すデータである。一方で、今回の研究は週2回・2種目という最低限に近いメニューで、食事の管理も主な評価項目ではない。伸びが鈍いと感じたら「遺伝だから」とあきらめる前に、種目数や週あたりのセット数、たんぱく質の量、睡眠を見直す余地は大きい。他人と比べるより、自分の記録や体重、周径の推移を追うほうが、続ける意味を実感しやすい。


出典:Gu Zほか「Genome-Wide Association Study of Lean Body Mass Response to Resistance Training in Young Asians」Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle(2026年7月15日)/PubMed Central 全文